とことん「本質追求」コラム第88話 人々を魅了する事業の条件

「以前は売れていたのですが…最近は下り坂になってしまいました」

 

3年ほど前にお手伝いしていたクライアントさんから週末、電話がありました。

お手伝いした当初は、業績がV字回復して創業以来(7年間)で最高益をあげたのですが…今回の決算では赤字ギリギリまで低迷してしまったとのこと。

キチンとコンセプトに沿って仕事をしていれば、そんなに短期間に陳腐化する事業ではありませんでした。

いえ、それどころか継続することでファン層の厚みが増すようにビジネスを設計していました。

何かおかしいな…と思ってお話を聞いてみると、やっぱり案の定。

コンセプトが、ブレまくっていたのです。

私はフルコンタクトの空手をやっているのですが、手打ちのパンチというのは、いくら体重のある人でも全く効きません。

しかし、体重が20kgちかく軽い選手でも、腰の入ったパンチは強烈に効きます。

鍛えた足腰からの回転運動で打ち込まれるパンチは、一撃でうずくまってしまいます。

これは、営業活動でも全く同じこと。

自社商品の強み、競合他社の動き、時代の流れなどを俯瞰して作り上げたコンセプトは、身体の中心軸に相当します。

会社の姿勢や事業の定義、それに魂を吹き込んでいく普段の事業活動は、足腰に相当します。

商品は、所詮「打ち手」の一つでしかありません。

打ち手というのは、会社の姿勢や事業の定義付けという土台があり、コンセプトという軸を通して放たれるからこそ、パンチ力が発揮されるのです。

ところが、以前のクライアントさんは、その認識が少し足りていなかったようです。

その会社さんは、ギフト商品を販売していました。 
セレクトショップなので、競合他社との差別化はさほどありません。 
センスが良い会社なので、トータルの品揃えでは特徴があるのですが… 
それでも、顧客を魅了するほどの特徴があるとは言えませんでした。

そこで、そもそも論として「なぜギフト商品を扱おうと思ったのですか?」と訪ねると、「人を感動させるのが好き!」というまさに足腰の部分がピカッと光ったのです。

しかも学生時代に「詩」を書いていて、それがコンテストに入賞したこともあるとか。

それなら…と「お祝いメッセージ」を前面に打ち出して、ギフト商品はその「付随商品」として位置づけましょう。とコンセプトを設定しました。

つまり、本来は〈主〉である「商品」を〈副〉とみなし、「メッセージ」を〈主〉としてアピールしていったのです。

というのも、本来のギフトというのは、お礼や感謝の気持ちなどを送るわけなので、メッセージが〈主〉であるはずなのです。

だから、気の利いたメッセージを伝達する仕掛けを施せば、お客様は「こんなメッセージを送りたい。もうココで買っちゃおう!」という気持ちにさせることは、顧客心理から逆算すれば、当然だったのです。

なのに、忙しくなってきたためか…この主軸となっている「メッセージの作り込み」が甘くなり、それを隠すかのように仕掛け自体も前面に押し出さなくなっていたのです。

これでは、売れ行きが悪くなるハズです。

 

コンセプトというのは、営業活動の中心軸なのです。
そこがブレブレだったら、パンチ力のある事業活動なんて出来っこありません。

 

当然のごとく、ゆっくりと…そして確実に…事業は低迷していったのです。

人々を魅了する事業というのは…

  1. 会社の姿勢や事業の定義という足腰がしっかりと安定していること。 
  2. コンセプトが明快で、顧客の利益に貢献できること。 
  3. それらが営業・販売活動を通じて、的確に市場に伝達できていること。

この3条件が揃えることが、必要不可欠なのです。

※本コラムはクライアントさんの了解を得て記載されています。