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第372話 社員を味方につける「新規事業」の進め方

 

 

 

『こんな新商品を考えているのですが、どう思いますか?』

 

昨年セミナーにご参加された社長から「相談したいことがある」とのメールを頂戴し、先週同社に伺ってきました。

本コラムで事例としてご紹介させて頂くことに同意を頂きたいので、固有名詞は避けながら本質だけをお伝えしたいと思います。

 

社長さんは、肝いりの新規事業計画を企てていたのですが、周りの人達から「そんな商品は上手くいくはずがない」と反対意見を言われ続けていたとのこと。

 

誰一人とも「いけますよ!」という前向きな意見がなく、自信満々で企画したアイディアも、日に日に「上手くいかないかも…」と思い始めてきてしまったとお話を聞かせてくれました。

 

ちなみに、周りってどのような方にご相談されました?

と伺うと「家族」や「社員」あとは「取引先」ですかね。とおっしゃるので、念のために深掘りさせて頂きました。

 

「異業種でもいので、経営者には聞きましたか?」とねると…

 

「あっ!」というお顔をされて「いえ…周りにそんな話をできる人が居なくって…」

とのことだったので、社長がお考えになったアイディアを詳細に教えてもらうことにしました。

 

  • 想定されているターゲット
  • そのターゲットを選んだ理由
  • 新商品が打ち出す特徴
  • その特徴が与える顧客メリット
  • ターゲットが享受するメリットの代替商品や現状の代替行動…

 

 

などなど、1時間ほどかけて詳しくお話を聞いたところ、藤冨の肌がぷるぷると震えはじめました。

 

 

「これは、売れる!」と直感が走ったためです。

 

 

 

それを社長にそのまま伝えると「そうですか!やっぱり売れそうですか!」と大喜び。

 

再度、社員を説得してみる…と意気揚々とした表情に変わり、自信を取り戻されていました。

 

そもそも、肉親は「安定」を求めがちです。

今のままで上手くいっているのなら、余計なことはしない方が無難だと思いがちです。

社長にとっては、今は良くても3年、5年を見据えると、危機に感じることでも、周りからするとその危機感はなかなか感じ取れないことの方が多いのではないでしょうか。

 

社員も「余計な仕事を増やさないでほしい」と思いがちです。

それに先週のコラムでもお伝えした通り「変化は好まない人が多い」のが現実ですし、新しいトライをさせられて、それが評価の対象になるかも知れないと感じたら、なおさら多くの社員は腰が引けるものです。

 

できることなら「誰かがやって、上手くいったら自分もやろう…」と典型的なフォロワー思考になるのが一般的なものです。

 

 

これは、ある種の「環境」なので、受け入れるしかありません。

 

したがって、人の思考を変えるのではなく、環境そのものを変えるアプローチをしたほうが効果的です。

 

つまり「環境」に影響を与える「環境」を作り出すアプローチです。

 

 

自信を取り戻された社長は「もう一度社員を説得してみる!」とおっしゃるので、「おやめになった方が宜しいです」とお伝えしました。

 

なぜなら、それは「環境」を変えるのではなく、「人の思考」を変えようとされているからです。

 

それに、一度「社長、その新商品は売れませんよ」とった人達に、また同じようなアプローチで「やっぱりやろうよ」と言ったところで、否定的な意見が出るのは目に見えています。

 

そうなると、いく先の方向性は2つしかありません。

 

「説得」か「断念」かです。

 

仮に「説得」が上手くいっても、2度も否定した社員の皆さんは、自分の発言を何故か守ろうとして、社長の方針に前のめりになれなくなります。

 

モチベーションの低い状態で、事業を進めても成功確率は上がりません。

 

したがって、次に社長から社員に「やっぱりやろう!」と伝えるタイミングは、否定される要素を極限まで排除するプランニングが出来るまで、伝えてはならないとご助言しました。

 

人の話をじっくりと聞きながら、実直にお答えになる社長さんですから、「間違いのない商品」を作り上げるに違いありません。

 

社員の皆さんとも対等に接しよう、という気持ちが強く、一度走り出したら、みんな協力的になってくれる雰囲気も感じ取れました。

 

だからこそ、用意周到に「これは勝ち戦なんだ!」というシナリオを練り上げてから「やっぱり新商品をやるぞ!」と発表する方が、社長も社員の皆さんも動きやすくなるはずです。

 

こんな新規事業をやろうと思うんだ…と商品のイメージだけ伝えても、それが武器になるのかどうか、イメージはしにくいものです。

 

しかし、武器の性能、使い方、実戦での実績など、詳細に説明することで、「これなら勝てるかも…」と、空気感を滲み出させることが出来れば、「受け入れる器」が醸成されていきます。

 

その上で、「新規事業を行う意味合い」や「社会に貢献できる商品であること」を多くの人々が納得してくれるストーリーを作り出せば「いっちょ、やってみるか!」という空気が生まれてくるものなのです。

 

 

名著、山本七平氏の「空気の研究」にも書かれていますが、日本人は「空気」によって、全体的な意思決定がなされている…と分析されており、これは藤冨も非常に納得のいくところだと感じています。

 

 

「あの場の空気ではとても意見を言えなかった」など、「空気」で物事の判断基準が自然と決定されていることは、多くの皆さんも感じていることだと思います。

 

ゆえに、組織の雄であるトップマネジメントは、指示命令や管理・監督よりも、どのような空気感が、組織のモチベーションを駆り立て、マスコミや市場を動かすのか。

そして、最も大事な顧客は、その空気感をどう感じるのか。

 

この世界観の創造に尽力する方が、がぜん新規事業を成功に導きやすいと感じるわけです。

 

御社では、何か新しいことを進める際に、世界観の創造に力を注いでいますでしょうか?

 

 

 

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