とことん「本質追求」コラム第127話 展示会で「売上」に繋げるために、必要不可欠な設計思想とは。

「どの展示会に出展したらベストだと思いますか?」

とあるクライアントさんから、先週末にお電話を頂き複数ある展示会のどれに出展した方がよいか…と、助言を求められました。

大雑把に言うと、Aという展示会は「業種が絞られていること」、Bという展示会は「職種が絞られていること」が大きな特徴でした。

すれ違ってはいけないので、念のため社長さんに電話を入れながら、藤冨なりの意見を申し上げると共に、擦り合わせをおこいました。

自社の顧客層との親和性が高い…という観点から言うと「A」に出展した方がベストです。
しかし、この間見せてもらった新商品は、とても鋭い特徴をもった商品です。
全面に出すなら…と、申し伝えると、

「新商品を打ち出そうと思っているのです。今いろんな業界から引き合いが来ていますし…」とおっしゃったのです。

そうであれば、答えは明白。
即座に「では、Bの方がベストだと私は考えます」と迷いなくお伝えしました。

展示会への出展コストは、100万円程度です。
どちらに出るかによって、収支にかなりの影響を及ぼします。

展示会は、出展先の選定からブース作り、集客(待ちだけでは勿体無い)、展示会当日の見せ方から来場者フォローまで、緻密に設計すればするほど、取りこぼしがなくなるものです。

1件の商談が数百万、数千万円になるなら尚更、戦略的に取り組む必要があるものです。
それでも意外に担当者任せにしている会社を散見されます。

『売る!』と言う発想。
『見せる』と言う発想。
さらには『見込客を囲い込む』と言う戦略的発想。

少なくともこの3つの発想をもつ専門スタッフがメンバーとなり、お互いの英知を融合させる『場』が出来ていれば、担当者任せでも良いのですが……

多くは片手落ちの体制で多額の投資をして展示会に出展しています。

これは非常に勿体無いことです。

展示会のゴールは、あくまでも受注です。

全てはここから組み立てる必要があります。

展示会ありきで、展示会に出展することが目的ではありません。

冒頭のクライアントさんは、そんな事は百も承知ですが……
長年事業を継続していると、目的と手段が混同してしまいがちですから、注意が必要です。

さて、冒頭のご相談に話を戻すと、受注に焦点を定めた場合、通常だと今売れている業種に絞った方が効果的です。
だから、ターゲットの業種が集る展示会に出展するのが一般的な考えです。

メールでご相談頂いた時点では、私も業種に絞ったほうが良い…と思っていました。
業種で絞った方が『あの企業が導入しているのなら間違いない商品だろう…』と潜在顧客や見込客が認知し、市場に波及しやすくなるためです。

しかし、イノベーション商品の場合は、話が別です。
業界スタンダードの商品達が抱えている問題点が常識になっていて、顧客企業は「まぁそれは構造的に仕方がない…」と諦めている商品というのは、意外にも存在するものです。

その「諦めた感」に対し「こんな風にしたら問題点が克服できるのでは?」と“市場に気づきを与えるイノベーション商品”は、該当商品を使いそうなターゲットへ全方位的にアプローチする方が得策です。

業界・業種で市場を絞るのではなく、あるべき姿で市場を絞っていくのです。

どの業界が「待ってました!」と膝を叩き、大型商談先になるか分かりません。

どのような使い方が、その商品を最も輝かせるのかも未知数です。
しかし、確実に「利用場面」があり、そこに「問題点」があり、改善することで顧客企業の利益に直結するならば…。 確実に売上に繋がります。

想像するに…

同社の新商品を発表する専門ブースカテゴリーの周辺では、競合他社が問題を抱えたまま商品を展示しています。これは間違いのない現実です。

その専門ブースカテゴリーには、競合他社のお客さんがウロウロしています。

競合の既存顧客はもちろんのこと、商談中の企業や購入先は決まっていないけど、導入検討している企業までいるはずです。

来期の予算も、あらかた組み込まれる時期にきています。 つまり、「いまスグ客」が、この時期に、同専門ブースカテゴリーをウロウロしていることになるのです。

クルマのカタログを隅から隅まで読む人は、潜在顧客ではなく購入済顧客やほぼ購入を決定した人です。

これと同様に、専門ブースのある展示会に訪れ、出展企業や商品を隈なくチェックする人は、購入決定者(来期予算のため正式発注はまだの可能性大)または、近々の購入予定者が集ってきます。

これは、BtoBであろうと、BtoCであろうと共通する「認知的不協和」を事前回避する行動です。

自分の選択に自信がなければないほど、このような行動パターンを辿ります。
そのような中、根本的な問題点が解決された商品、業界の常識を非常識にした商品が登場したら…結果は火を見るより明らか。

『なんだ、この商品…本当か?!』と興味津々になることは、心理学的なアプローチから見たら、間違いないのです。

・もちろん、通行人がワンメッセージで『えっ?』と気付かせるブースの作り方。
・興味津々になった通行人をキチンと見込客にしていく仕組み。
・接客しきれなかった通行人のリストをとる仕組み。
・集った名刺(見込客)を効率よく受注していくための仕組みや体制。
・フォローできなかった名刺交換客を組織的にフォローする仕組み。
(名刺を集めた営業マンだけがフォローするのは、根本的に誤った発想です)

など、考えること、実践すべきことは、山ほどあり、その一つ一つの精度が「展示会出展の費用対効果」に影響を及ぼします。

営業活動を釣りに例えるのは気が引けますが、分かりやすい表現なので敢えて申し上げると…

いくら、釣り道具がよくても、釣りエサを工夫しても、魚がいない池に釣り針をたらしても、魚が釣れるハズもありません。

魚のいるポイントに、魚が好むエサを、魚が最もよく釣れる道具を選ぶことで釣果が変わるのと同様、「展示会による営業活動」もポイントと仕掛けに工夫を重ねなければ、期待する結果を得る事はできません。

「展示会の選定」は、ポイント選び。
「ブースづくり」は、エサ選び。
「受注促進活動」は、道具選び

このように例えると、各々一緒くたに考えてはいけないことがわかります。
それぞれの専門知識を寄せ集め、融合させることで「期待する結果」に近づくことができるのです。

御社は、展示会に出展されたことはありますか?

もし、出展していたら…… 一連の仕組みを「ゴール」から設計し、受注にむけて最適化した活動を行っていますでしょうか?
数百万円の投資をドブに捨てるか、それとも金の斧を拾い上げるか…
すべては、展示会営業活動の企画・設計にかかっているのです。