とことん「本質追求」コラム第415話 不確実性の高い未来を切り開く5つのポイント

「次なる時代に向けた新規事業に本腰を入れていきます。ちょっとアイデアがあるので聞いてもらえますか?」

 

ここ最近のコラムからは様々なご意見や決意表明(?)、また「ちょっと聞いてよ」といったメールを頂戴しています。

 

前回のコラムの反響もたくさん頂き、数名の社長さんが「次なるビジョン」を提示されていました。

 

不安を抱えながらのチャレンジですが…

不確実性の高い未来であっても、藤冨は一定条件を満たせば未来は必ず切り開けるものと信じています。

根性論ではありません。

これまで、ゼロからイチの世界をクライアント企業さんと共に、幾度も立ち上げてきた経験から掴み取った定石です。

 

では、その未来を切り開くための定石をご紹介します。

ポイントは5つあります。

 

  1. 時代を正しく認識すること。
  2. 強みを履き違えないこと。
  3. ポジショニングを洗練させること。
  4. 不屈の闘志を持ち続けること。
  5. トライ&エラーのエラー時にたくさんの引き出しを持っていること。

 

この5つの要件を網羅していれば、不確実性の高い未来を切り開くことが出来ると確信しています。

 

 

まず、1番目の時代を正しく認識すること、を解説しましょう。

 

時代を捉える際、平時での未来と、断絶の時代での未来の捉え方は、大きく異なることを忘れてはなりません。

 

平時では、今起きている現象、感じ取れる状況から、その延長線上に未来を見いだすことが出来ます。

今を感じる眼力さえ備えていれば十分です。

 

しかし、今まさに起きている断絶の時代は、歴史の中から類似現象を特定し、来るであろう未来を予測する必要があります

そして、その未来の状況下において、人々の生活、価値観、消費行動の変化を推測することが大切になってきます。

 

時代によって、買い手の気持ちはガラッと変わることがあります。

成長している時代は「スピード」が重視されていたけど、成熟時代は「自分らしさ」が求められるといった感じです。

断絶の時代は、この思考チェンジが出来るか否かが、まずは成果を勝ち取るための前提条件となります。

 

 

2番目の強みを履き違えないことも大事です。

よくある失敗事例なので、胸に手を当てて読んで下さい。

 

例えば、同じ「食事を提供する」と言っても、定食とお弁当とでは顧客から要求される品質が大きく異なります。

定食は熱いものは熱く、冷たいものは冷たく提供することが、美味しさの一部として組み込まれています。

しかし、お弁当は冷めても美味しく、しかも隙間なく詰めることで持ち運びの時に型崩れをさせないことなど配慮と技術が必要になってきます。

 

(食べる)場面によって、要求されるスペックが変わるのが、消費者心理です。

 

しかしながら、おおよその料理人は、自分の腕に過信してしまいます。

美味しければ、同じだろう…と。

 

残念ながら消費者を冒涜している限り、決して大きく事業は伸長しません。

弁当を研究し尽くしているテイクアウト専業企業とは、ノウハウに雲泥の差があるはずです。

 

自社の強みを履き違えたままでは上手くいくものも上手くいきません。

どうやったら、競争相手よりも優位に立てる強みを見つけられるか、この追求が不確実な未来を切り開く原動力となるのは間違いありません。

 

3番目のポジショニングが洗練されていることは、上記の延長線上にいる概念です。

 

マーケティングにおいて、どこを攻略するために(セグメンテーション)、どこでどのように戦うか(ポジショニング)を決めることは、とても重要な決定事項です。

しかし、このポジショニングをゆるく考えてしまっているケースが散見されます。

 

ポジショニングとは、買い手が、「購入を決定する特徴」を二極化して捉え、どのポジションを取れば確かな「顧客欲求」があり、かつ自社の強みを活かせるのか?を俯瞰する戦略決定手法です。

 

例えば、コップに「飲み心地」を重視しているのか、それとも「耐久性」を重視しているのか…これをX軸として設定してみます。

さらに、Y軸に「クールなデザイン」「ポップなデザイン」と対極を設定した際、既存商品群がどこに配置され、何が売れているのか?を精査していきます。

 

すると、今の消費者が「不満に感じていること」「こんなのあったら時代的に面白いかも!」と思えることが浮かび上がってきます。

商品企画アイデアが先にあった場合でもOKです。

そのアイデアが、買い手にとって競合商品と何が違い、どんな魅力があるのか?を客観視して見ると、その商品の売り方や売れ行きがある程度イメージできてきます。

 

売り手の感覚として「売れる、売れない」を思案するのは無意味です。

あくまでも買い手の立場に立って企画をすることは極めて重要です。

 

消費者の目は厳格です。

商品の製造に入る前のコンセプト草案の段階で、このポジショニングを明確にしておくことは、無駄骨を折らないための重要なプロセスとなります。

そもそも、ポジショニングが曖昧なままだと的確な販売戦略も組めません。

第一ボタンをかけ間違えると、全てやり直し。

売り手のやりたいことを商品化するのではなく、買い手を魅了するコンセプトをベースに商品化をすることが大事です。

 

 

4番目の「不屈の闘志を持ち続けること」は成功者が一様にしていうことです。

当たり前のことですが、ここでは不屈の闘志を持ち続けるポイントをお伝えします。

特にリーダー1人ではなく、組織的に不屈の闘志を燃やすためには「使命感」が大事になってきます。

「こんな世の中を作りたい」「こんな人たちを救いたい」…

目先の売上ではなく、ミッションに対して本気を持ち続ければ、不屈の闘志は自然と湧いてくるはずです。

 

 

最後、5番目「トライ&エラーのエラー時にたくさんの引き出しを持っていること」は、突破力の要になります。

もちろん、最初のアイデア通りにすんなりと成功すれば、それに越したことはありません。

しかし、普通は何かしらの「壁」が立ちはだかります。

その時、壁を乗り越えるのか、脇から回るのか、それとも壁そのものを叩き壊すのか、様々な選択肢があるはずです。

幾度も壁を乗り越えないでいると、諦めてしまう確率が高まります。

本来は成功するプロジェクトなのに…です。

すんなり行くかどうかは別として、ここは経験がモノをいう部分。

行き詰まったら助言者の意見を聞くことも大事です。

 

断絶の時代を乗り越え、新しい時代で新しいポジションを築くことは容易なことではありません。

しかし、これは間違いなくチャンスです。

一見ピンチに見えますが、間違いなく成長の芽があちこちに見えてきています。

 

それを見つけ育てることが出来るか否か。

大多数の個人、企業は、分かれ道に立たされていることは間違いありません。

 

あなたは、新時代に新しいポジジョンを築く準備を整えていますか?