とことん「本質追求」コラム第507話 中小企業は、民主主義を排除せよ

 

「この間のコラムは、頭の整理ができました。取り上げてもらって有り難うございます。」

 

2週間前のコラム「第505話 営業マンの社員教育では、売上が上がらない3つの理由」https://www.j-ioc.com/wp2024/column/12231/を読んで、ある読者さんからは「営業研修」が役に立たないという藤冨の主張に対して「なるほど腑に落ちました…」とのメールが送られてきました。

 

・教育は自ら学びたいと思わないと効果は続かない

・どうしても外的刺激でやりたい場合は、営業マンが活動しやすい道具を準備し、その使い方に徹する

・でも、元も子もないのは、営業がスキルを発揮するには、強いメンタル力が下地にないとダメ…と言うところですね、汗

 

と、ここまでは、コラムの主旨を汲み取ってもらえたようですが、最後に気になる一言が…

 

〜コラムに取り上げていただき、ありがとうございました。

おかげでスッキリしました。

今後の対策は、営業マン全員を集めて、どうやっていくか詰めていきたいと思います、と。

 

えっ???

と思わず、二度見してしまいました。

 

「営業マン全員を集めて、今後の方針を決める?」

それも、自分たち(営業マン自身)の方針を???

 

ぶっちゃけ言って、開いた口が塞がりませんでした。

そもそもの「前提条件」を履き違えてしまっていたからです。

 

すぐさま返信をして、本コラムへの転載許可をもらい、そもそも論としての営業強化策をお伝えしたのです。

 

メールを拝読すると、同社は売上が一昨年から連続3割減で、かなり危機的な状況に陥っているとのこと。

 

容易に想像がつきます。

営業マンの士気がだだ下がりになっていることを…。

 

先日、YouTubeでホリエモン と宮台真司教授(社会学者/都立大学教授)の対談で、宮台氏がそのものズバリを指摘していました。

 

「民主主義の成否は、民度に依存している」と。

 

同社の社員に対して「民度」が低いと聞こえてしまうかも知れませんが、主旨はそこではありません。

そもそもの民主主義という制度に対しての指摘です。

誤解なきよう読み進めてください。

 

続けて、宮台氏は、その民主主義の制度に関して、次のように指摘を続けています。

 

・言葉は悪いが、国民の頭が悪いと、間違った判断が下される

・頭脳のスペックを言っているのではない。不勉強すぎるのである、と。

 

国民そのもののスペックが悪いのか、それとも、国民の思考・行動に影響を及ぼす「制度」「空気感(マスコミによる情報操作を含む)」が悪いのか…

 

議論の余地はありますが、この宮台氏の指摘は、構造と本質をずばり突いています。

 

さらに、民主主義は、極論、みんなで考えて、みんなで決めましょう!という仕組みなので、「スピードが遅い」。

この特性を真摯に捉えれば、環境変化が激しい時代は不向きであることは一目瞭然です。

しかも、迅速な対応が必須の「緊急事態下」では、足を引っ張ってしまいます。

 

ここでは、国家・国民というフレームでの話をしていますが、小さな国家である「企業」も、同じ構造と本質の中で動いています。

 

多くの先進国は、民主主義だから、民主主義は素晴らしいと盲目的に信じるのは判断を誤ります。

激変する時代、早急なる対応策が求められる状況下では、専制政治の方がうまく機能するのです。

 

こういう指摘をすると「独裁制」ではないか!感情的に怒り出す人がいますが、指導者が良識と健全な精神を持った人であればなんら問題はないはずです。

 

かの有名な「二宮尊徳」も、藩主から財政再建を指示された際、村民の荒れ果てた生活が今の財政危機の源泉であると判断し、藩主に「(村を再建するための)補助金の支給や年貢の免除は苦しんでいる人々を救うのに何の役にも立ちません。それどころか、救済の鍵の一つは金銭支援を一切やめることにあります」

と、断言したそうです。

結果は、ものの見事に再建を果たしたのですが、これが民主主義のもとで生まれる方針でしょうか?

逆です。もっと補助金を寄こせ! と甘えるだけです。

健全な社会は、健全なるリーダーによって育まれます。

歴史的にみても、決してその逆はありません。

 

そもそも中小企業の社長が専制性に基づいて意思決定をするのは、決して間違いではありません。

失敗した際の負債も不名誉も全て社長の責任です。

 

だからと言って、社員の意見を無視しろ!というと主張しているわけではありません。

社員は、現場や実情をより良く理解しています。

正しい、現状把握はしっかりと行わなくてはいけません。

 

その現状を知るプロセスで「こうした方が良い」という意見も無視してはなりません。

俯瞰的に捉えて、彼の意見が正しければ、それを方針と掲げたって良いのです。

 

やってはいけないのは、今後の方針はみんなで話し合って、みんなで決めよう!というスタンスです。

 

成長する企業へと大きく舵を切りたいのであれば、現状を知り、顧客を知り、未来のあるべき姿をリーダーが示す必要があります。

 

 

御社は強いリーダーシップの元、正しい専制主義で、運営されていますか?