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第537話  10年後に生き残る営業活動のあり方を考察する

「藤冨さんは、営業が専門なのに、なぜ商品企画の分野にも首を突っ込むのですか?」

 

先週、クライアント企業の社長と一献傾けていた時に質問をされました。

 

セミナーでは毎度・毎度お伝えしていることですが、どうも伝わりにくい概念のようなので、本日のコラムで噛み砕いていきたいと思います。

 

そもそも論からお話ししたいと思います。

そもそも、営業に求められる役割とは何でしょうか?

時代と共に、役割が変わってきていますので、頭の整理が必要です。

 

営業の主目的は、当たり前のことですが「受注を獲得する」ことです。

この目的を達成するために必要な役割が大きく変わってきています。

 

藤冨が20代のころ…今から30年前くらいは営業マンは「情報提供」の役割を担う側面が強かった時代です。

ネットで情報を入手する文化がなく、買い手は、売り手からの情報に頼らざるを得ない時代。

「ウソつき営業マン」「ゴリ押し営業マン」が闊歩(かっぽ)していた時代です。

もちろん、今でも「ウソつき営業マン」「ゴリ押し営業マン」は存在しています。

以前、成長企業に勤めるセミナー参加者が「ウチは、情報弱者がターゲットです。藤冨さんのセミナーはあまり参考になりませんでしたよ」

と捨て台詞をはいた人がいましたが…そう言ってもらえて本望でした。

いくら成長企業と言えども、そんな詐欺師的な企業に藤冨も関与したくありませんので。

 

2011年3月に藤冨が「ムリせずウソをつかず1億売れた営業トーク」を執筆した背景は、前近代的な営業からの脱却をして、買い手に押し付けるような営業から、買い手に歓迎される営業活動をしていかなと企業は衰退していく…そう危機感を抱いていたためです。

買い手が、必要な情報をいつでもどこでもリーチできる時代が浸透すれば、この流れは顕著になるはず。

インターネットの社会浸透は、間違いなくそのトリガーとなる。

そう感じていましたが、ネットの社会浸透を加速させたスマホの普及推移の統計を調べると、なんと藤冨の出版と同じ頃。

2010−2011年の間に、普及学でいう16%の壁をあっという間に突き抜け、類をみないほど急速に社会に浸透していたのです。


(出版の企画時点のスマホ普及率は、まだ9.2%程度でした)

 

 

情報提供が主の役割だった時代は、ここで終焉を迎えたことがデータ上からも読み取ることができます。

 

必要な時に、必要な情報が誰でも簡単にリーチできる時代には「情報」に価値がなくなります。

 

つまり、買い手からみた営業マンの重要な役割は「単なる知識としての情報」ではなく、「その商品を購入したら、結局私にとってはどうなるの?」と、情報を咀嚼(そしゃく)する能力…言わば「知恵としての情報咀嚼力」の優先順位が上がっていくことになります。

 

言い換えれば、「商品知識だけの営業マン」は時代によって無価値化され、「顧客の価値に基づいた提案」が買い手から求められる時代になっていく…

この流れは、決して後戻りすることなく、今後ますます強くなっていくのは間違いありません。

 

もちろん、30年前でも「顧客の価値に基づいた提案」をしていた営業マンは、それなりに優秀な成績を納めていました。

しかし、受注獲得率からすると、ゴリ押し営業の方が、あらゆる営業対象者に通用するため、生産性が高く「営業成績」においては、彼らには敵わなかった。

 

これが、大きく逆転する時代が本格到来してくるのは、統計データからも読み取れていたのです。

 

見方を変えて、総務省の人口統計データを見ても、それが浮き彫りになっているのが分かります。

感覚的には、一人一台のパソコンがオフィスに配備されるようになったのは、藤冨より10歳若い位の世代だとすると、39歳未満の世代の労働人口は、全体の42.9%ですが、10年後の現在の人口統計のままスライドさせると68%にも増加します。


※総務省の人口推計を元に算出(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202210.pdf

 

つまり、情報リテラシーの高い世代が、労働人口の多数を占めるようになるので、知識としての情報が無価値であることを認識する人が増加し、これまでの営業活動に限界を感じる人が多くなっていく。

そうなると「顧客の価値に基づいた提案」をしていた営業マンの成績が良いことに気づきだし、ようやく営業の役割の見直しが必要だと認識する組織が増加してくる。

これは、すでに起き始めていることであり、大きな流れとなる間違いのない未来となるでしょう。

 

すなわち「受注を獲得する営業」と言う職域を通り越して、顧客から支持をされる価値の提供…すなわち商品の見せ方→あり方まで入り込んだ商品企画の分野まで首を突っ込む組織が常識的になっていく

 

その先駆的事例がキーエンスだと、藤冨は感じています。

 

営業利益率50%とダントツの利益率を誇るキーエンス社の営業マンは、商品企画部門の「インプット役」としての機能も求められています。

 

顧客や見込客の現場から、「こんなものが欲しかった」という情報源を掴みとり、付加価値の高い商品を生み出している源になっている営業マン。

このお陰で「新商品の7割が世界初」と言われるほど高い新規性にも関わらず、着実に受注を勝ち取っているわけです。

 

こうした事例を考察すると、現場に根ざした強い企業の営業マンは「受注を獲得する」だけでなく、「受注しやすい商品を企画する」と言う役割まで担っていることが分かります。

 

結果、営業の生産性が上がり、個人の営業成績だけでなく、組織全体の業績向上にも貢献できていく。

 

優秀な営業マンの定義を書き換える時代が、もうすでに到来していると断言しても良さそうです。

 

御社にとっての優秀な営業マンの定義は、受注獲得だけにとどまっていませんか?

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