とことん「本質追求」コラム第110話 営業と経営のジレンマを解消する方法

「業界で最高性能商品なのですが…まったく売れないのです」

 

拡大鏡メーカーの社長さんがセミナーに来られ、後日会社に訪問して課題を伺ったときのことです。

 

自社商品と競合商品がズラッと並べられた研究室に通され、その違いを目の当たりにしたのですが、まぁスゴいのなんの。

 

美しい大自然に包まれているかのような感覚に陥るほど、小さな文字がレンズから鮮明に映し出されているのです。

 

肉眼では見えない文字が書かれたA4の紙の上に新商品と競合商品を滑らせながら比較してみたのですが、透明感というのでしょうか……一目瞭然で違いがわかるほど優れた商品であることは、業界ど素人の私にでもわかりました。

 

優れた商品なのに、なぜ売れないのか?

 

その答えが見つからず、ご相談頂いているのですが……すぐさま答えが出るはずもありません。

 

今年2月に発売した拙著「営業を設計する技術」を読んだ方からは、ポンポン売れるアイディアが出る人! と勘違いされているようですが、私は「打ち出の小槌」ではありません。
一定の思考の手続きを踏まないと、売れる切り口は見つからないのです。

 

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そもそも「なぜ売れないのか?」と問いても、答えは見つかりません。

 

なぜなら、その前に突き詰めておかなければならいこと…
そう「売れる商品に仕立て上げる大事な質問」が抜けているからです。
その質問とは「なぜ、その優れた機能(商品)が必要なのか?」という根源的な問いです。

 

これがプロジェクトに携わる人達全員が明快に答えられなければ、営業現場では、誰にどう売ればよいのかが分からず、無駄な試行錯誤が発生してしまいがちです。

 

無駄な試行錯誤は、営業現場から徐々に士気を奪っていきます。
「新商品はダメだな…。まぁ今までの商品を売って予算だけ達成しておけばいいか…」と。

 

営業現場では、こういった思考回路に陥りがちです。

 

営業マンは予算を抱えていますから、真面目な営業マンであればあるほど、このような思考回路になるのは、当然と言えば当然なのですが……

 

そのような近視眼的な仕事への取り組み方では、いずれかのタイミングで経営に陰りが出てきてしまいます。

経営者は、今の商品のままでは将来陰りが見える可能性があるから新商品を打ち出しているのです。

 

営業と経営のジレンマ。
これは、意外にも多くの企業で見受けられる状態です。

 

ただし、これらは決してトレードオフの関係にあるわけではありません。

営業が新商品に注力しても予算が達成できやすいように環境を整備していけば良いだけなのです。

 

評価制度や専門部署の設置なども一つの解決策です。

 

が、その前にやるべきことがあります。

 

それが前述した「なぜ、その商品(機能)が必要なのか?」という存在意義に対しての明快な回答づくりなのです。

 

 

「この新商品の社会的意義」なり「ある顧客層に対しての存在意義」を明快に言語化し、社内で共有する必要があります。
すると、自然と「あるべき売り方」というのが決まってきます。

 

つまり「なぜ、その商品は必要なのか?」が分かると、「どう売れば良いか?」は必然的に答えが見えてくるものなのです。

 

こういった問は、営業は営業部内で。製造は製造部内で。販促はマーケティング部内で…。と個々バラバラに行ってはいけません。

思考が矮小化するからです。

お互いのポジションや役割を尊重しながら、自由闊達な議論を展開し、意見をぶつけ合う事で、本質が見えてきます。

その本質が、我が社の未来を決定していく重要な問になるのです。

 

営業と経営のジレンマを解消するためには、まず徹底的に本質の追求をしなければなりません。

・我が社は何の為に存在しているのか?
・当社商品は、誰のために、何の為に存在しているのか?


御社は、この問に社員全員がキチンと答えることはできていますでしょうか?