とことん「本質追求」コラム第114話 「それ欲しい!」と思うに至るまでの5つの疑惑

「まさか、これだけメルマガに反応があるとは…」

 

昨年末、当社セミナーに参加されていた食品メーカーの社長さんから「ウチの営業は腰が重たくて…新商品の案内もロクにできないんですよ」と、ご相談を受けていました。

 

話を伺うと、ほぼ2〜3ヶ月に1回は新商品を出していて、問屋さん経由で販売する商品もあれば、飲食店に直販する商品もあるとのこと。

 

一人の営業マンが抱える顧客数は、多い人で100件、少ない人でも30件は抱えていました。

 

数としてはさほど多くないと感じたのですが、営業の皆さんに話を伺うと仕事はかなり細かく、日々忙殺されている様子。

 

まぁ、現場にいて「私ヒマなんです」という人はいませんし、これ以上仕事をしたくない…という現場の人の人口は意外にも多いもの。

だから、そのまま話を鵜呑みにすることはできないのですが、ちょっと事務所の様子を拝見しただけでも、次から次へと電話が鳴り響いていて、あながちウソではなさそうだ…と察しました。

 

グッと入り込んだお手伝いが出来れば、既存業務の分析もできますが、まずは、聞いた話の制約条件の中で、考えうるワンポイントアドバイスすることにしました。

 

社長さん曰く、卸問屋さんでも飲食店さんでも、新しい商品の情報は喉から手がでるほど欲しいはず。お客様に飽きられない様に、努力する必要がありますからね。だから電話でも何でも良いです。とにかく新商品の情報を取引先に伝達できれば、もっと売上はあがるはずなんです…とのこと。

 

しかし、営業部隊は日々忙殺されていて、周知徹底ができない。

 

「そこで、既存顧客だけでなく、取引見込客を含めて、メルマガで周知徹底することから初めてはいかがでしょう」

とお伝えしたのです。

 

今の時代、無料のメルマガ配信ソフトもありますから、投資リスクはゼロ。

しかも、名刺からリスト化するシステムも5万円も出せば、ビックリするほど早いスピードで連続スキャンしてくれる機械も販売されています。

2000〜3000件位の名刺であれば1日もあれば充分にリスト化できてしまうほど、以前の機械とは比較にならないほどの高性能機器が続々と登場しています。

売上につながるインフラ整備が、ほとんど投資ゼロで構築できあがるのですから、検討する価値はあるはずです。

 

以前「名刺は会社の財産です」というコラムにも書きましたが、営業マンが受注に至らなかった名刺が通常1000や2000件は眠っているものです。

箸にも棒に引っ掛からなかった名刺も、会社の環境や担当者が変わったり、あるタイミングがくれば、見込客になる可能性は充分にあります。

 

また、営業マンのフォローが行き届いた取引先であっても、新商品の情報などは「メルマガ」「営業マンからの提案」と何度も情報に触れさせることは重要です。

 

冒頭の食品メーカーのように、既存顧客に新商品の案内が行き届かない企業であれば尚更その必要性は高いはずです。

 

業界や業種によっては、違いはありますが、メルマガで驚く程の成果をあげるケースもあるので見逃してはなりません。

とある社長さんは「営業マンを雇うより、こういった仕組みを動かし続ける優秀なスタッフを雇いますよ。そもそも営業は良いヤツが採用しにくいし…」という方もいるほどです。

 

ご相談を受けた社長さんも、早速指揮を執り「メルマガ配信環境」を整え、新商品の案内をやりはじめました。

 

しかし、結果がでません。

半年くらい続けたそうですが「今のところは、残念ですが効果らしい効果は感じられない」とおっしゃるのです。

 

では、一度送っている内容を私にも見せてください…と伝え、3通程内容を拝読すると…

 

「これでは、反応は帰ってこないだろう…」という残念な文章だったのです。

 

そこで、1回だけリライトしますから次回は配信前に私に送って下さい。

とお伝えし、翌月のメルマガは藤冨がリライトした文書で新商品の案内を送ったところ…

 

いままで無反応だった仕組みが、突如動き出し、30件以上の引き合いがきたのです。

送った母数はたったの1200件です。

 

メルマガが悪いわけではありませんでした。
送る内容が悪かったのです。

 

これは、ホームページしかり、DMしかり、広告展開しかり……ですが、上手くいかない時は、多くの人は「その手法や方法論がいけないんだ」と思いがちです。

 

しかし、多くの場合は、手法や方法論が悪いわけではなく、やり方や内容が間違っているのです。

 

中途半端な理解をしている広告代理店やコンサルティング会社に踊らされて「仏つくって魂を入れていない」ケースがあまりにも多く、あちらこちらで散見されます。

 

新商品の案内などは、読者(案内を受けた人)が疑問に思うことについて、予め答えを用意しておかなければ、スルーされてしまいます。

だからこそ、反応率を上げるためには、「それ欲しい!」と思うに至るまでの5つの疑惑を解消しておく必要があるのです。
その5つの疑惑とは……

1.私(当社)にとっての課題・問題点を解消してくれるか。または欲求を充足してくれるのか?

2.他の代替案よりも、より良くそれを満たしてくれるのか?

3.私(当社)が享受するメリットは、他にあるのか?

4.売り手が言っていることは信用できるのか?

5.対価に見合った満足を得られそうか?

 

この「5つの疑惑」について明快な答えがない情報発信は、反応が極端に落ちてしまうものなのです。

 

御社が新商品の案内を出す際、この5つの疑惑に対して、真摯に向き合ってメッセージを作り込んでいますでしょうか?
まだ…の場合は、営業、販促、広報部など、顧客と接点をもつ部署をまとめあげ、全社的に統一したメッセージつくり込むことが大切です。

その際、顧客が提案された新商品に疑問を抱く5つの疑惑に対する答えを忘れずに。