とことん「本質追求」コラム第125話 売上の横ばい原因は、思考の横ばい。

「最近、売上が思うように伸びなくて…」

 

私が主催しているセミナーにご参加される方の大半は優良企業の社長や営業幹部の方々です。

それでも、やはりご時世的なこともあり、手詰まり感を覚えるなか「次の一手」を探しに全国各地から集ってこられます。

 

セミナー終了後にご相談を受ける事も多く、現地に赴き営業の皆さんともお話することもあるのですが……売上が横ばいになっている多くの原因は、「環境変化への未対応」または「マンネリ化の弊害」のいずれかに当てはまります。

 

注意しなければならないのは、この2つは全くの別現象だということ。
原因の追求を見誤ると手痛いしっぺ返しをくらいます。

 

子供がまったく勉強しない…という現実があったとき、その原因がどこに起因するのかを見極めないと対応を間違えるのと一緒です。

「勉強への興味希薄」が原因であれば、勉強の面白さを体感させる機会を設ける必要があります。

「愛情不足による注意散漫」が原因であれば、勉強云々よりも先に「自分の存在への肯定感」を体感させる機会を増やさなくはなりません。

 

愛情不足が原因で勉強しないのに、勉強を押し付ければ余計に勉強嫌いになりますし、勉強への興味希薄が原因なのに、観点のズレた愛情を注いでいても、一向に勉強への興味は湧いてきません。

原因追及を見誤ると効果がないばかりか、逆効果になることさえあるのです。

 

事業でもこれは顕著にでます。

私は営業マン時代から事業責任者や経営者とばかり接してきたので、色々とご相談に乗ることも多かったのですが…

 

この原因追求を見誤り、窮地に追い込まれたり、なかには数年後に倒産に至った方も見てきました。

 

「あるべき姿」が、本来目指すべき道でなく、空中分解することもあります。

しかし、大半のケースでは「現状掌握」…つまり今起きていることの原因究明の見誤りにあったのです。

 

なぜ原因究明を見誤ることがあるのか…。

この主因は「思考の横ばい」が続くことにあると、私は感じています。
つまり売上の横ばいは、思考の横ばいというロジックが働いている…ということなのです。

 

茹でガエルの例を持ち出すまでもなく、断続的に続く環境変化のなかにいると変化そのものも見えにくくなってきます。

 

現象面で温かくなってきた…つまり「売上が横ばいになっている」と感じても、その本当の原因はどこにあるかは、釜に入っていると下から火を焚かれているのが見えないのと一緒なのかも知れません。

だからこそ、少しでも現象面の変化を察したら、原因面の変化を追求する必要があるのです。

売上の横ばい原因が、「環境変化」なら、自社のあり方を見直す必要がありますし、「マンネリ化の弊害」であれば、あり方を肯定し直して、強みを徹底化させる必要があります。

セミナーにご参加されたあとご相談頂く方は、これをご理解されているので第三者の目を入れて、自社を客観的に眺めようと努力されています。

環境変化が起きているのは
「新しい競争相手が登場してきているのか?」
「直接競合の手のうちが変わってきているのか?」
「買い手の購買行動・習慣・価値感などに変化が起きてはいないだろうか?」
または「購入者の質的変化は起きてはいるか?」
など、ディスカッションを通して、発見を試みています。

 

マンネリ化か?と仮説を立てれば、
「旧来の顧客の購買動機と最近の顧客の購買動機に変化が起きてはいないか?」
「新規顧客の獲得率が低下している営業マンが多くなってきてはいないか?」
など、以前の良さが失われていないかをチェックしたり、ずばりご質問されてきます。

 

このように現状を正しく捉えることが、成功確率の高い事業計画が立てらる前提となります。
直接競合の手の内が変わっているのであれば、それを「買い手がどう受け止めているのか」を掌握して、我々のとるべき打ち手を創造しなくてはなりません。

 

一人当たりの新規顧客の獲得率が低下しているのであれば、その推移変化のなかで失われたものを明確し、それを取り戻さなくてはなりません。

 

新しい競争相手に押されているのであれば…その趨勢はどう変化するのだろうか−−− その変化を見極め、事業そのものを見直す必要性があるのかも知れません。

 

いずれにせよ思考の横ばいから脱却し、現状を正しく掌握した上で、新たな成長脚本を描く必要性があるのです。

 

茹でガエルにならないためには、外から釜(会社)を眺めなければなりません。

 

どうすれば、外から釜を正しく眺められるのか…?

現状に流されずに一歩踏みとどまり、冷静に現状と原因を見極める時間を……御社は大切にしていますでしょうか?