第256話 分業体制が、責任の転嫁の元凶となる

2017.4.18

 

 

 

「営業マンが、自ら顧客を見つけることがなくなってきました。これは問題ですよね…」

 

先日、セミナーにご参加いただいた企業さんを訪問した際、社長の横に同席されていた営業部長が深刻な表情で現状を憂いていました。

 

以前は、営業マン自らが、飛び込みやテレアポで新規顧客を見つけ出し、クロージングまで一気通貫で行っていたそうです。

 

ところが、現在はホームページからの問い合わせが中心となり、営業マンはトスアップされた商談を纏めることだけが「仕事」となってしまったとのこと。

 

今は何とか問い合わせ件数が確保できているけど、このホームページという「蛇口」がキュッと締まった瞬間、見込客はゼロになってしまう…。

 

口を開けて待つだけの営業マンしかいなくなった今、不安で不安で仕方ないというのです。

 

これは、同社だけではなく、多くの企業で起こっている現状の共通課題です。

 

何も工夫のない、テレアポや飛込み営業は、いま極めて難易度の高い見込客発掘方法となっています。

 

・心が折れやすくなった若者。

・多忙になった買い手。

・テクノロジーの進展による情報の価値低下

 

など、様々な要素がありますが、現実として営業マンが見込客を自ら発掘する体制を放棄してしまっている会社が、いま圧倒的多数となってきています。

 

しかし、これは前述の営業部長が憂いている通り、とても危険な構造です。

 

YahooやGoogleの広告や検索結果に、自社の売上が依存されており、彼らの戦略や方針転換によって自社の命運が決まってしまうのは、自主独立経営とは言えません。

 

コントロールできるものと、できないものを精査して、売上向上策は出来うる限りコントロール可能にしておくのが、自主独立経営の基本です。

 

さらに、真の問題は「見込客発掘から受注までの営業プロセス」を分業してしまうことです。

 

分業という構造が、責任転嫁のループをつくり出し、問題の本質にマスキングをしてしまう…。

 

これが真の問題です。

 

営業部は、売上が上がらないのを、ホームページを管理している部署の責任に転嫁する。

 

ホームページを管理している部署は、広告予算を出さない社長の責任に転嫁する。

 

社長は社長で、売上が上がらない真の理由を履き違えたまま、営業部門の責任に転嫁する。

 

分業という構造が、責任転嫁のループをつくり出し、問題の本質にマスキングをしてしまう…。

 

これが真の問題点なのです。

 

仕事で成果を生み出すには「責任」という土台が必要不可欠です。

 

責任感を生み出すには、分業という概念を取っ払うことを充分に検討する必要があるのです。

 

多品種少量生産に対応するために、「セル生産方式」という概念が日本で提唱されました。

 

製造ラインに配置され、材料を型抜きする人、部品を載せる人、ネジを締める人…と分業された生産方式から、すべて1人で組み上げていくやり方が「セル生産方式」です。

 

大量生産時代の終焉と共に、一気に普及した「セル生産方式」ですが、在庫変動に対応する効果だけでなく、製造現場での作業者の士気向上や責任感の醸成という副次的効果も注目の的となったのです。

 

よくよく考えてみれば、至極納得できます。

 

これを営業部門に当てはめて考えてみてください。

 

見込客発掘から受注までの仕事を一気通貫させれば、おのずと成果に対しての責任が生まれてきます。

 

成果が出なければ、危機感を抱き、どのように見込客を発掘すれば良いのか…考えざるを得なくなっていきます。

 

飛び込みやテレアポを復活させるべき!と安直に言っている訳でありません。

 

営業の成果は、どこからどのように見込客を流し込むか…自らの責任と判断をもって強く関与すべきなのです。

 

ホームページやDM、パブリシティや広告など、見込客を集める方法は様々な方法があります。その作業は担当やプロに任せても、もちろん構いません。というより、その方が現実的です。

 

ただ、顧客が「欲しい、買いたい」という動機づけが生まれ、「よし買おう」という購買心理プロセスを一番知っていなければいけないのは、営業部門です。

 

そこを分断してしまうと、一気に「顧客理解の能力」が欠如し始めます。

 

顧客理解の能力が組織から欠落すると、売上は当然ながら下降曲線を描き出します。

 

なので、「見込客発掘」の接点となる情報は、営業部門がキチンと責任をもって関与すべきなのです。

 

身体に汗をかく営業活動は今も昔も変わらずに大切です。

しかし、それ以上に頭に汗をかく営業活動は、時代から強く求められています。

 

貴社の営業部門は、頭に汗を書いていますか?

 

 

 

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