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第377話 トップの大志が実現できない原因とは

 

 

 

「インドでは、多くの事業が構想されますが、よく頓挫することが多いのです…」

 

 

20年前に大変お世話になった方からお声掛けを頂き、インド企業とのジョイントビジネスをやらないか?とお誘いを受けました。

 

非常に興味深いビジネスですし、何よりも信頼できる方の仲介をもって、海外企業との共同ビジネスができるチャンスは、滅多にやってくるものではありません。

 

早速、視察と基本合意のすり合わせに、とインドに渡りました。

 

日系企業や政府機関へのヒアリングの場も設けて頂き、インドの実態を見聞。

非常に印象的だったのが、インドでは多くの事業が頓挫する傾向にあることでした。

 

理由が知りたく、複数の仮説を立てながら、ヒアリングと実地見聞を重ねました。

 

結論的には様々な事由があると思いますが、一つの大きな理由として、トップマネジメントの広大な構想を戦術に落とし込む人材が欠如している可能性が大だと感じました。

 

これは、日本で様々な企業と触れ合う中でも、薄々感じていることでしたが、インドでは「それが際(キワ)に達している」ため、わかりやすく感じ取ることが出来たのです。

 

大きな事業を成し遂げるためには「大志」が必要であることは間違いありません。

 

しかし、「大志」だけでは、物事は具現化されません。

やはり、その大志を実現するための、具体的な道筋を描き、実行していく必要があります。

 

つまり、戦略・戦術の立案実行のプランへの落とし込みが必要となるわけです。

ここのトランスポートが上手くいかないと、いわゆる「絵に描いた餅」に終わることになります。

 

聞くところによりますと、インドの一般社員は、よく分からなくても「イエッサー」とは言うそうです。

しかし、実行には至らない。

 

その理由は、「(大志を戦略、戦術に落とし込む手順が)よく分からない」からだと言います。

 

 

とても、お粗末な状況に聞こえますが、これは大なり小なり、日本の中小企業の中でもよく見受けられることでもあります。

 

実際、頓挫する事業や伸び悩んでいる事業を俯瞰しますと、多くは「戦略、戦術への落とし込み」が、的外れであったり、煮詰まっていないことが原因であることが往々にしてあります。

 

この状況に陥っていると、どれだけコストをかけようが、どれだけ人を投入しようが、利益を生み出すことは出来ません。

 

利益にならないどころか、噛み合っていない歯車を回し続けることで、組織を摩耗させてしまいます。

 

優れたビジョンや大志にもかかわらず、どうも上手くいかない時には「戦略、戦術への落とし込み」をまずはチェックすることが大事です。

 

では、トップマネジメントは、どのような戦略・戦術案を採用すべきか…、その選択基準を考察していきたいと思います。

 

実際に事業を成功させるには、様々な方法論が存在しています。

つまりゴールに向かうための道筋は、複数ルート(戦略・戦術)が存在するわけです。

 

未知なる世界を目指してのゴールですから、どのルート(戦略・戦術)が正解かは、誰にも予測・断定は出来ません。

大きなビジネスになればなるほど、正しいルートを主張する人たちが、一人増え、二人、三人…と増えていきます。

 

このとき、誰が考えたルートを歩み進めるべきか?

この意思決定が、ゴールにたどり着く時間と成否の分かれ道になります。

 

では、トップマネジメントは、どのような意見を取り入れれば良いのか?

この判断基準を手に入れる必要があります。

 

最初に私の結論を言います。

 

「成功するための道筋と、その道筋で想定される“懸念事項”と“対策案”をどれだけ具体的に、かつ鮮明に描けているか?」

 

このストーリーを天秤にかけることです。

 

戦略・戦術とは、ストーリーです。

描かれた大志にたどり着く道順です。

 

映画で言えば、脚本になります。

 

その歩みゆく道筋で、何が起こるかを想定できていない戦略・戦術などは、単なる空想でしかありません。

 

末梢(まっしょう)な例にはなりますが、今回のインド出張で感じた分かりやすい例をあげましょう。

 

インドではひどい交通渋滞が万年の課題のようです。

交通渋滞の問題点を、血液の循環に例えてみると、様々な機能を壊死させているので、国力にも影響を及ぼす大問題でもあります。

 

人、物、金のトラフィックをスムーズにし、快適な生活と生産性向上に繋げていこう! このような大志を実現させるために、どうアプローチをするか…。

 

皆さんも行けばすぐに気づくと思いますが、インドでの渋滞は人々の性格、慣習が災いの元になっています。

 

軽い接触事故は日常茶飯事だそうで、皆が我が物顔で割り込みをしてきます。

タクシーに乗っていると、あっブツかる! とヒヤヒヤするのが、3分おきに訪れるほどです。

 

それほど、我こそ先へ!と、車線も無視して割り込んできます。

3車線なのに、横一列を数えると5台以上も車が入り乱れるものですから、渋滞するのも無理がありません。

しかも、そこに牛が乱入しているのですから、なおさら悲惨な状況になります(笑)。

 

この問題解決を図るには、システムで統制するほかありません。

 

  • 信号機を作ること。
    (私が訪れたグルガゴンという都市には驚くほど信号機がありません)
  • 路面の整備状況がひどいので、路面整備を図ること。(至る所に水道などのパイプが通る凸凹があるため、しょっちゅう減速しなくてはいけない)
  • 交通違反を自動摘発する監視カメラ・システムを配置すること。
  • 駐車違反の取り締まりを徹底化すること。

 

などなど、渋滞が起きる原因を全てピックアップした上で、それを採用した時に、どのような弊害が起きるのか、その弊害を取り除く対策案は考えられるのか…など映像に浮かぶほど鮮明にストーリーを描いていく必要があります。

 

「いや、システムで統制するのではなく、人々を教育した方がコストは安いはず!」

 

と言う戦術代替案が出た時に、「100%の人々に教育が行き届くだろうか」「行き届いたとしても、徹底されるだろうか」と懸念事項を書き出してみる。

 

そして、有効な「対策案」が打ち出せない時には、「戦略・戦術そのもの」が未成熟なわけですから、別な「戦略・戦術の代替案」を検討する…。

 

このような「選択基準」を明確に持つことは、意思決定の際にとても有効ですし、何よりも、感情に支配されることなく「大志」を実現させることができるはずです。

 

御社では、「大志」を実現できていますでしょうか?

戦略・戦術案は、成果に結びつくストーリーとして、描ききれていますでしょうか?

 

 

 

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