とことん「本質追求」コラム第3話 経営者の「肌感覚」が業績を左右する

先日、知人が「中国に行くと日本が負けている理由がわかるよ。アッチはすごい。
人々がエネルギーに満ち溢れているんだ」と話を聞かせてくれました。

私は、まだ一度も中国に足を踏み入れたことがなく興味津々。
家族旅行では100%却下されるから、仕事での口実が出来るまでのお預けですが・・・
こういった時代の感覚は「肌」で感じたいですね。

20年前、バブルが崩壊して日本中が停滞モードの時、私が入社した会社の業績は、業界では珍しくも絶好調でした。

ご褒美として、社長は私達を「韓国旅行」に連れていってくれたのですが、私はそこで衝撃を受けたのです。

当時の韓国は、まだまだ発展途上国として位置づけられていました。
サムスン電子の売上高が現在の7%しかない時代です。

社長と朝5時に起き、町中の食堂で朝ごはんでも食べよう!と立ち寄ったとき、私はそのエネルギーに圧倒されました。

東京・丸の内では、朝5時といえば、まだ人影もまばら状態。
出会うサラリーマンもうつむき加減で眠たそうな目をしています。

ところが、韓国の朝は、人々で溢れかえり、朝からガッツリご飯を食べ、意気揚々と早歩きで町中を闊歩しています。

このエネルギーを感じたとき、この国は間違いなく成長する。
と感じたのを今でも皮膚が記憶しています。

この「肌感覚」・・・。

経営には、とても大切だと最近つくづく感じています。
肌感覚は、たいていの期待は裏切らないのですが、問題点もあります。
それは、論理的に説明することが出来ないので、下から上に上げにくい・・・という点です。

いくら感度のよいサラリーマンが「こうした方がイイと思います!」と言っても、「なぜそう思ったの?」と上司に聞かれ、キチンと説明できなければ、そのアイディアは却下になってしまいます。

「いや、直感なんですけど、きっと間違いありません」と言った所でよほどの信頼の厚い部下でない限り、取り合ってもくれないでしょう。
だからこそ、現場の肌感覚は、経営者自らが感じ取るべきなのです。

20年前に勤めていた会社の社長は、マーケティングを語るとき、よくこんな話をしていていました。

「美味しいものが食べたい・・・」
「何が食べたいの?」
「うーーーん、何か美味しいもの!」と(笑)

食べるものの選択肢が膨大に広がり、自分では、どんなニーズがあるのか、何を求めているのかさえ、わからなくなっている消費者像を揶揄している話です。

そもそも商品というのは、顧客の「現状」と「あるべき姿」のギャップを埋めるために効用をあたえる存在です。

顧客は、個人客であろうと法人客であろうと、「現状」というものを正しく認識していませんし、「あるべき姿」にも中々気づけない。

iPhoneの登場は、まさにこの現実を見せつけた好例です。

電話というコミュニケーションツール。
メール、SNSなどネット通信機器というコミュニケーションツール。
さらに、コミュニケーションがない時間帯を埋める「ネット」や「音楽」や「ゲーム」などのツール。

これらを一つのデバイスとしてまとめたiPhoneは、その操作性やデザイン性という付加価値がつけられ、爆発的に顧客から支持を得ました。

決して、お客様の声からはでないアイディアです。
ニーズは「現状」と「あるべき姿」のギャップからしか生まれてきません。
しかしニーズの元になる「現状」と「あるべき姿」は、心理学で有名な「ジョハリの窓」でも解説されている通り、他人が知っていて、自分が知らない自分という現実も確かに存在します。

つまり顧客は自分の置かれた「現状」と「あるべき姿」に気づいていない事が確かに存在するということです。

そこを肌感覚で掴み、企業活動に落とし込めるのは、やはり経営者しかいません。

営業現場を通じて、顧客と真摯に向きあう姿勢。
昔も今も、これらも・・・逃げてはならない現実ですね。