『先週のコラムに書いてあったインサイドセールスは真剣に取り組まないといけないですね。もう一度、お手伝い頂けませんか?』
5年ほど前にお手伝いした企業の社長から嬉しいメールが届きました。
当時は、新規事業の売上を立てる仕組みを突貫工事で作り上げた為に無我夢中。
新規事業が上手く離陸できたために、あまり問題意識のないままに、日常をこなしていたそうですが…
インサイド・セールスの概念を知ったとき、5年前に一緒に立ち上げた新規事業の進め方がようやく俯瞰でき「もっと売上が上がる余地があるのでは!」と直感が走ったとのことでした。
それでも、同社の営業体質は5年前から大きく変化しました。
曖昧な井戸端会議のような定期会議が、数値で語れる会議に変貌。
売上が増減する要素を継続的に監視し、どのような努力をすれば売上が上がるのか…組織的に学習し続ける文化が根付くようになったそうです。
素晴らしい習慣です。
インサイド・セールスで最大のメリットを享受するためには「計測可能」なセールス・プロセスを構築することにあります。
なぜ「計測可能」なセールス・プロセスが重要なのか?
それは「成長のモノサシ」が手に入るからです。
成長のモノサシは「いつ」「どんな活動がキッカケとなって」「どの様な成果が出たのか?」を明らかにすること。
つまり「活動」と「成果」の因果関係を明らかにする道具が手に入るわけです。
例えば、売上を上げるための活動として、広告によって「認知度向上」や「直接購入」を促す活動の場合…
伝統的な「広告」の手段として「TVコマーシャル」「新聞広告」「雑誌広告」「ラジオ広告」などがあります。
これらの宣伝広告活動は、未だに健在であるものの、20年前より一般社会に深く浸透してきている「インターネット系の広告」に今では追い抜かされてしまいました。
今後、ますますこの動きは加速するのは間違いありません。
そう確信が持てる理由は、顧客からの支持率を既存メディアよりも遥かに高めることが可能になるからです。
なぜ、支持率を高めることが出来るのか。
上述の通り「計測可能」な仕組みの上に事業が成り立っているからです。
テレビは「誰が」「何を」「どの程度の時間見たのか」「ある番組をいつ見始めて、いつチャンネルを変えたり消したのか…」、局側は掌握することができません。
新聞、雑誌も「誰が」「どのページを読んで」「どの程度精読したのか」「何時間、何分目を通してくれたのか」を掌握することは出来ないでいます。
もちろん、視聴率はアンケート等で必死に掌握しようとはしています。
しかし、全体像を掌握することは出来ていません。
おおよその目安でしか、顧客の嗜好、行動パターンを理解するのが精一杯なのです。
顧客の嗜好や行動パターンを的確に掌握できなければ、次にどんなモノが求められるのか、クリエイターの経験と勘に頼らざるを得ません。
つまり言語化しにくく、売れる要素を共有化しにくい、極めてクローズドな事業環境の上で商売をせざるを得なくなっているわけです。
反対に、ネット系は緻密な顧客の嗜好、行動パターンを掌握しています。
藤冨が、Amazonビデオの「A番組」を土曜日の12:00に見始め、番組途中の30分で終了。また20時から続きを視聴。毎週このパターンでA番組を見ている。
また「子供向けのB番組」は日曜日の21時前後から見始めて1時間番組最後まで視聴している。
など、詳細なデータが蓄積されています。
いわゆるビッグデータと言われる緻密な嗜好、行動パターンがデータベース化されているわけです。
今では、このビッグデータを活用するために「AI(人工知能)」が発達してきており、ある属性データ(藤冨は50歳、男性、都内に暮らしている2児の父など)の嗜好や行動パターンの分析が可能になっています。
その上で、いわゆる「オススメ提案(レコメンド機能)」の選考データと照らし合わせれば、かなりの確度で「その属性の嗜好・行動パターンが読み取れ、マーケティング活動にフィードバック」出来る様になるのです。
これは、天才的な人材にクリエイティブを依存しなくても、組織的な活動で「売上を上げるための活動」が出来る様になることを意味しています。
事例が少し大きな話になってしまいましたが、中小零細企業が実施しているセールス活動にも、同じことが言えます。
「全国の歯科医7万件に対し」「ある仮説を基にしたDMを発送」「そのDMから何件ホームページを閲覧しにきて」「何件申し込まれたか」
という、セールス設計をしたとしましょう。
この時に成果を左右する要素は…
「ターゲットの的確性」
「仮説の優秀性」
「ホームページの出来栄え」
などで成果が変わってきます。
同じDMでターゲットを変えただけで、売上が増減したりします。
同じターゲットでも、DMの内容を変えただけで、売上が増減したりします。
ホームページの申込ページを少し変えただけでも、売上が簡単に増減したりもします。
ある一定の営業施策を計測化し、活動内容を変えることで、どう数値が変化するのかを「見える化」することで、買い手の感情を読み取っていくことが可能になるのです。
藤冨は、この活動のことを「市場の対話」と捉えています。
様々な仮説を市場に発信することで、市場と対話し、受け手の感情を理解し、何が求められているのか…。
活動内容と結果の数値を吟味することで、次なる「売上増大ポイント」を探っているのです。
「計測可能」な活動は、市場との対話を通じて、顧客の嗜好や行動パターンを掌握することにあります。
顧客の嗜好・行動パターンがわかれば、売れる商品やセールス手法が浮き彫りになってきます。
成果を上げるには、顧客を知ること。
そのためには、セールス・プロセスの中で「計測」する仕組みを取り入れることは、欠かすことができないはずなのです。
御社の計測可能なセールス・プロセスを営業活動の中に組み込んでいますか?