とことん「本質追求」コラム第474話 新商品戦略を確実に成功させる「テスト・セールス」とは_後編

 

本日は、「第473話 新商品戦略を確実に成功させる「テスト・セールス」とは_前編(https://www.j-ioc.com/wp2024/column/9294/)」の続きをお伝えします。

 

テスト営業の目的は、

  1. 前に売れるか売れないか「肌感覚」で把握すること
  2. 顧客のニーズを事前に掌握すること
  3. 上市した瞬間「受注リスト」または「見込客リスト」の入手

 

でした。

今号では、その目的を達成するための具体的な「手順」をお伝えしたいと思います。

 

テスト営業の具体的な手順は、以下の6ステップになります。

 

  1. チラシや提案書など、商談の道具の準備
  2. アタックリストの整備
  3. アポ取り
  4. テスト商談
  5. トライアルユーザー契約
  6. ユーザーインタビューの実施

 

以上、一つずつ解説していきましょう。

 

1.まず、試作品の段階で、本気で売り込むための「チラシ」や「提案書」を作ります。

ホームページは、この時点では不要です。

売れるか、売れないかわからない時点で、比較的「費用」と「時間」のかかるホームページを準備するのは、無駄だからです。

チラシだったら、テスト営業用の簡易的なモノなら、100部程度で3,000円もあればお釣りがきます。

提案書は、会社のコピー機で十分。

テスト営業では“自社の新商品コンセプト”をしっかりと伝えるツールがあればOKです。

そして、試作品と営業の準備ができたら、魅力的なプレゼンテーションができる準備を整えておいてください。

 

 

  1. アタックリストの整備

業界団体リストや人脈を辿って、テスト商談先のリストを整備しておきます。

例えば、水道工事業者がターゲットの場合「水道工事業者 協会 会員一覧」とGoogle等で検索すると「公益社団法人 日本下水道管路管理業協会」のホームページが見つかります。その中に「会員一覧」がご丁寧に掲載されています。

これをエクセルにコピペしておけば、アタックリストの出来上がりです。

もちろん、水道工事業者だけでなく、様々な業界が「●●(業界名) 協会 会員一覧」でヒットしますから、いますぐトライしてみてください。

なお、B to Cの場合は、リスト化しにくいでしょうから、「クラウドファンディング」等で、新商品の予告販売をする手もあります。

クラウドファンディングは、成功するための「定石(最善の手法)」がありますから、ご興味がありましたら個別にご相談ください。 

 

3.アポ取り

慣れていない場合は、必ず「トークスクリプト」を作るようにしてください。

これは、電話でも訪問(飛び込み)でも一緒です。

また、電話や飛び込みの前に「手紙(主旨文)」と1の「チラシや提案書」を送っておくのも効果的です。

営業に慣れていない方、手慣れた商品以外の営業は苦手な方には、少々ハードルが高いかも知れませんが、「売る!」というマインドセットではなく、「新商品企画をしている最中だが、市場のニーズを知りたい。ぜひ時間が欲しい」と調査するという体(てい)でアプローチをすると、気が楽になると思います。

相手の警戒心も薄れるメリットがありますから、「売りこみ」ではなく「教えて!」という心づもりでアポイントを取ってください。

話している最中にいつの間にか商談になっても全然平気ですので。

 

 

4.テスト商談

前編のコラムで書いた通り、テスト商談の3つの目的を遂行するために、上述で準備した「チラシ」や「提案書」に基づいて、調査という体(てい)を保ちながら、隙あらば本気で売り込みをかけていきます。

本気で売り込む理由は、相手から「タテマエの感想」を排除するためです。

テスト商談の狙いは「売れるか売れないかの事前調査」です。

タテマエの意見は不要です。

本気で売り込まないと、ホンネが出ません。

本気で売り込むのは、とても簡単です。

商品のコンセプトを魅力的に伝えたあと、相手から「良いね」と評価されたら…

「金額などの諸条件次第だと思いますが…良かったら買ってくれますか?」とテストクロージングをかけるだけです。

これで、本音が出ます。

営業の基本は、このテストクロージングをどのタイミングで、どの程度かけるか…が大事です。

ぜひ、トライしてみてください。

 

 

  1. トライアルユーザー契約

上記のテスト商談で、無事クロージングができたら、次は契約です。

確実にクロージングするために、ハードルを下げてください。

トライアルユーザーの目的は利益ではありません。

トライアルユーザーの目的は、後述しますが、新商品の評価とお客様の声の獲得です。

「最初はご迷惑をかけるかも知れませんから、格安でご提供します。もちろん、基礎的条件を満たせなかった場合は、返金に応じます」 と、原価+フォローコスト程度の利益を上乗せして、トライアルユーザー契約を締結しましょう。

但し、特別価格対応するのですから、必ず「条件」を提示してください。

「商品を使用した感想を我が社のホームページやチラシに掲載させてください」と特別価格の交換条件を提示するのです」

長きにわたって、友好的かつ協力的なユーザーは、この最初の一歩から生まれることが多いです。

 

 

  1. ユーザーインタビューの協力依頼

上述の通り、トライアルユーザーとの契約が取り交わされたら、インタビューを実施します。

上市の際に公開する「ホームページ」や「チラシ・カタログ」に掲載する為です。

具体的なテクニックは、「第381話 潜在客の“欲しい”を引き出す顧客インタビュー技術とは」(https://www.j-ioc.com/wp2024/column/6550/

に記載しています。

ぜひ、復習してみてください。

 

 

以上のように、新商品を発売する前に「テスト営業」を実施することは、極めて有効です。

 

これまで、上市後に売れない…とご相談を受けて、売れる体制づくりをお手伝いしてきましたが、すべて「テスト商談」をしていれば、「売れるか、売れないか」「売るために相当の苦労が必要なのか否か…」すべて事前に分かったハズです。

 

御社は、新商品戦略を遂行する際、机上の空論のままで上市していませんか?

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