とことん「本質追求」コラム第521話 お先真っ暗に見える事業環境に光を差す方法

「成功体験に溺れると自滅する理由本当にその通りですね。しかし私は、もう年だし、ここまで頑張ってきたし、やることはやってきたし、もう良いかなって、思うんですよ」

 

死をも覚悟しているような悲壮感漂う言葉

この1ヶ月くらいの間で、3件も同じような悩みを聞かされました。

 

いつも不思議に思うことがあります。

全く脈絡のないところから、同じ様な悩みや相談事を聞かされることが、なぜか多い。

いわゆるシンクロニシティがよく起こるのです。

 

シンクロニシティは、「意味のある偶然」という概念で、心理学者のユングが最初に唱えました。

意味のあるまさにその通りだと感じていて「気づきを発信せよ!」と言われているような気がしてなりません。

というのも、三人の同じような悩みというか、思いを抱えた経営者は、それぞれ置かれた立場も、業界も、年商も、全く違うのですが、共通している背景が一緒なのです。

 

背景が一緒であれば、対策も同じように考えることで、現状を打破できます。

 

では、その背景とは何か?

 

本コラムでは、何度も手を変え、品を変えてお伝えしてきたことですが

「時代の変化」が、旧来のビジネスモデルを毀損させ、頑張ってきた経営者の未来に影を落とし始めているのです。

 

馬車の代わりに、自動車が生まれた時代は、馬の売人、馬車の製造業者の未来は、お先真っ暗に見えたでしょう。

 

私も20代の頃に自己投資した「ワープロ」も、今や跡形もありませんし、スマホの前身である「PDA(携帯情報端末)」を持っている人もいません。

 

電車の中で、新聞を広げて読んでいるサラリーマンも全滅状態。

 

時代の変化とともに、恐竜が絶滅したのと一緒で、事業も時代の変化とともに、市場が消滅してしまうのは、ある意味「自然現象」と言えるでしょう。

 

「商品のあり方」だけでなく、「商品の売り方」も同じです。

時代の変化とともに、過去の成功パターンが、通用しなくなっていくことは、自然現象。

 

自然現象ならば、あらがうことなく全てを受け入れた上で、何をなすべきか?をゼロから考える他ありません。

 

しかし、私たち日本人は、答えのある問題に対処する方法は、学んできたのですが、答えのない問題を考え抜く方法は、習ってきていません。

そもそも、今の学校教育では「評価」をすることが前提です。

評価をするには、正解・不正解を判断する必要があります。

従って、「答えが明確に存在している問題」しか、学校教育では教えることができません。

(軽井沢の風越学園は、この問題意識に対応した学校で、非常に興味深い活動をしています)

 

時代が、ある一定方向に向かって、安定的に成長しているときは、過去のパターンに乗じることで成果を出すことができます。なので、「答えが明確に存在している問題」を解く訓練は有効です。

 

しかし、時代が断絶した時は、過去のパターンが通用しない。

否が応でも、ゼロから考え抜かなければならないのです。

 

ゼロから考える方法も知らないし、訓練されていないのに、それをどうやってやるのか?

 

お先真っ暗に見えて、無気力になるのもわかりますが

ここで無気力になったら、本当に「死」が現実的になってしまいます。

 

そんな時に活路を見出すには、自社の事業を理解してくる「ディスカション・パートナー」を仲間に引き入れることが有効です。

 

これまで成り立ってきた事業活動ならば、蓄積してきた「財産」(=強みの源泉)は、何かしから確実に存在しています。

自分の顔・姿かたちは、「鏡」という媒体がないと、全容が見えないように、自社の蓄積してきた財産も、第三者という媒体を通じて、姿形が見えるようになります。

 

強みの源泉である「財産」が、次なる時代の事業に、どう活かせるのか?

その方向性を定めたら、猪突猛進。「不安」や「不安定さ」を振り切って、やるべきことに没頭することで、不安は自然と脳内から消え去っていくもの。

 

テーマが広範囲になるので、本コラムでは抽象論になってしまいますが

 

「次なる時代に生きるための”自社のあり方、次の時代の具体的な事業”を、第三者という鏡を通じて、映し出すこと」

 

これが、お先真っ暗に見える事業環境に唯一光を見出す方法です。

 

しかし、ここで絶対にやってはいけないことがあります。

 

次なる時代を見据えた方向性を定めるのですから、肉親と保守的な性格の人間には相談してはいけません。

双方とも「変化を嫌う人種」である可能性が濃厚だからです。

 

足を引っ張ることは得意でも、未来を切り開くことは不得手。

 

第三者の人選は、以下の3つの条件に当てはまる人材でなければなりません。

 

・先進的、革新的な思考回路で、生きている人

・マーケティングの世界に精通していること

AIIoTARVRなどの時代の変化を促す技術に先見の明があること

 

この3つの要素がある人材でないと、御社の事業を正しく捉え、かつ未来を切り開くような的確な方向づけをしてくれることは、まずありません。

 

センスのある人なら、セルフ診断も出来ますが、それでも、自分の捉えた自社像と、他人から見える自社像は客観視しておくことが大事。

 

方向性が定まるまでは、「悩み」が必要ですが、走り出したら「没頭」しなければなりません

走り出す方向に「命」をかけることができるか。
そこまでは、広い視野で見る余裕が大事です。

 

御社は、次なる時代の「自社像」を明確に描いていますか?