とことん「本質追求」コラム第102話 「売れない」を「売れる!」に変える出発点づくり

「そんな事は分かっています!なんどもトライしました!!」

「私が知りたいのは、どうやったら売れるか!だけ。余計な議論は時間の無駄です」

 

コンサルティングをご依頼頂くクライアント候補さんとの初回ミーティングでは、時々先方が「イラッ」と来て、場の空気が硬直状態になることがあります。

 

思うように売れない商品やサービスを、どうやったら売れるかを死にものぐるいで考え、それでも上手くいかずご相談にいらっしゃる。

 

でも私からしつこく質問攻めにされるのは、決まって「御社の提供している価値は何なんでしょう?」という、途方に暮れるような漠然とした質問です。

 

そんなものは、死ぬ程考えてきているのは分かりますし、あまりにも「アタリマエ」の質問だから、『バカにしているのか?』と感じるのもムリはありません。

 

しかし私はバカにしているわけでも、茶化しているわけでもありません。

 

そもそもモノやサービスが売れないのは、突き詰めると2つの理由しかありません。

 

一つ目は「価値そのものが顧客に認識されないとき」

二つ目は「価値の伝え方が間違っているとき」

 

この2つだけです。

 

だからこそ、しつこく追求するのです。

御社が提供しようとしている「価値」は何なのかを…。

 

 

化粧品を販売している会社は、「美しさ」という価値を提供しています。

でも、そもそも「美しさ」から得られる「価値」って何ですかね?

誰にとって、その美しさは意味を持つのでしょうか?

 

着物を販売している会社は、「日本文化の継承」という価値を提供しています。

でも、そもそも「文化」を継承する「価値」って何ですかね?

誰がその「価値」を最も意義深く捉えているんでしょうか?

 

言葉の持っている【意味】を広く・深く考え、さらに言葉を連想させていくことで、「新しい価値」の可能性を追求していく…

 

モノやサービスの魅力を引き出すのは、一つのモノゴトをどれだけ多面的な視点から見る事ができるのか…に掛かっているのです。

 

 

そのためには、同質性との決別という「出発点」を作らなくてはなりません。

 

これは、言語学の観点から見ると、イメージがしやすいです。
例えば、英語のデビルフィッシュという定義は「エイ」や「タコ」の両方を含む概念だそうです。

 

「エイ」には“マンタ”という単語もあり、「タコ」には“オクトパス”という単語もあります。

 

日本語にはデビルフィッシュ…つまり「悪魔の魚」という概念がないですから、奇怪な生物として「エイ」や「タコ」を見る事はありませんが、アメリカ人からすれば、おぞましい生物と映る。

 

アメリカ人が「タコはとても美味しい魚介類だ!」という価値の再定義を行うためには、日本人や欧州人など「デビルフィッシュ」という概念を持たずタコを食べる文化にいる異質な人物を投入する必要があるのです。

 

新しい価値というのは、異質な言語、経験、文化などを「思考の場」に投入しないことには、生み出すことは出来ないのです。
それなのに、「そんな事はもう既に考えたし、実行もした」「余計な議論なんて不要なんです」と、同質性と決別できていない「思考の場」で出た発想が“全て”だと思い込んでしまう…。

 

これでは、「売れない」を「売れる!」に変換させるための「価値の再定義」を実現することは出来ません。

 

とても、もったいないことです。

 

同質性…つまり共通の言語(社内の議論など)、経験、文化には、見えない「枠」が存在します。

その「枠」の中での発想でブレイクスルー出来なかったから、今の苦しい現実があるハズです。

 

「わかったつもり…」「やったつもり…」は、その枠の中で起きただけのこと。
そこで思考を停止させてしまっては、実現可能なイノベーションにすら気づくことが出来ません。

 

今まで出してきたハズの答えが上手く行かない時は、思考の枠を外すことで「新しい価値」が再発見されるのです。

 

そのためには、同質性の環境をあえてぶっ壊し、異質を素直に受け入れ、あらゆる概念をひとつずつ丁寧に捉え直していく必要があります。

 

自社商品やサービスが与える価値は?

商品やサービスに内包している機能ひとつひとつが持つ価値は?

顧客がその価値を受け取ったときの、効用は?

 

とても面倒な「質問」ではあります。

 

しかし、この誰もが面倒な「問」に立ち向かってこそ…

競争優位性が保てる「事業環境」を生み出すことができるのです。