とことん「本質追求」コラム第280話 微差の行動蓄積が業績に大差をつける。

 

 

 

「成果があまり出ないのに、同じことをやり続けるなんて、最初は不合理に感じていました。でも、その意味がようやく分かってきました」

 

昨年、プロジェクトをご一緒した社長が、上京されるというので東京で一献傾けることになりました。

 

1年かけて新商品の売上を右肩上がりで伸ばし続け、確かな手応えを感じているとのこと。

 

プロジェクト終盤に固めたセールスプランを実行した時にも、確かな手応えを感じてはいたのですが、その後1ヶ月経ち、2ヶ月経つと…

「あれっ?」というほど、反応が薄くなったとのこと。

 

都度、メールでのご相談は受けていたので、方向性を変えないで、言葉尻だけを変えてテストを続けてもらうようにご助言をしていたところ、少しずつ「何が響く言葉なのか?」「どうすれば惹きつける見え方ができるのか?」が分かり始め、ある時を起点にして、右肩上がりで成果が出始めていったそうです。

 

その起点となったのは、ある営業マンの一言だったそうです。

 

隔週月曜日に開いていた販促会議で、トップセールスが「売るのをやめましょう」と言い放ったのです。

 

彼は、とても素直でオープンな性格。

一緒にプロジェクトをやっていた時にも意気投合していました。

 

そんな彼が、「売るのをやめる」と言った真意は、きっとスランプを経験し、そこから苦労をして再起した経験があるからこそだと感じていました。

 

事実、翌日電話をかけて聞いたのですが、ズバリ仮説は的中。

 

「スランプの時って、焦っているのですよ。でもその焦りが見えた瞬間に客は分かるんですよね。なんか違うな…」って。

 

「営業の時(セールストーク)も、販促の時の言葉や文章も、同じですよね。

反応の薄いチラシをずらっと並べていたら、“聞いてくれ、分かってくれ!”っていう印象を強く受けたんです。これが引く原因かも…」って。

 

そう気が付いてから、販促会議で8人いる営業マン全員で、当初の反応があった時のホームページを印刷したものやチラシなどを見比べて、顧客目線で見直すよう全員のコンセンサスを取り始めたところ…

 

翌月から、また反応率が復活。

体たらくな状態から復活を遂げたとの報告をしてくれたのです。

 

 

売れている営業マンと、売れない営業マン。

反応の取れる企画マンと、結果の出せない企画マン。

 

この差は、自分目線で発想するタイプか、相手目線で発想するタイプかの違いです。

 

が、売れる営業マンと、売れ続ける営業マン。

反応の取れる企画マンと、反応を取り続ける企画マン。

この差は、愚直な努力をやり続けるタイプかの違いです。

 

WEBサイトから毎月20件、コンバージョン率(※1)で2%の状態をどうすれば、3%まで引き上げられるか…

様々な仮説を打ち出し、テストをし続ける愚直な努力。

※1 コンバージョン率とは、ホームページを見た人のうち、何%の人が問い合わせをしてくれたかの値。優秀なホームページほど、コンバージョン率は高い。

 

 

DMでも、今回のは何故コンバージョン率は●%なのか? どうすればもっと反応率を上げられるのか? を毎回、毎回ずっと考えて仮説を出し続ける愚直な努力。

 

この非常に繊細で地味な行動の蓄積が、業績に大差を生む土壌を作っていきます。

 

これは少し考えればすぐに分かることです。

 

例えば、2%の反応率が取れるホームページがあり、実際に受注できる確率が、2件に1件だとすると、ホームページのアクセス数の1%が成約率となります。

 

1件あたりの受注単価が、10万円だとしましょう。

 

ホームページに一人来るたびに、1000円の収益が入る計算になります。

 

実際には、1000円がチャリン!と入ってくるわけではありませんが、理論上は、1000円入る計算になるわけです。

 

インターネット・マーケティングの世界では、これを「ビジターズバリュー」と言います。

 

この「ビジターズバリュー」の意味するところは、広告費の上限が分かるということ。

 

例えば、グーグルの広告は、1クリックされると何円という単価が、キーワード毎に設定されています。

 

ワンクリック800円の広告に出稿をすると、100クリックされると広告費は、毎月8万円にもなるわけです。

 

しかし、ビジターズバリューが1000円であれば、ワンクリック800円の広告費を払っても、@200円の儲け。 現実の受注と広告費では、2万円の増益になるという計算が成り立つわけです。

 

これが、コンバージョン率1%増えるとどうなるか?

ビジターズバリューが15000円になり、広告費も1.5倍を上限としてかけられるわけです。

 

競合が、「クリック単価が、1000円以上にもなったら、怖くて広告なんて出せない…」と思っていても、ビジターズバリューの価値を上げていれば、広告費の高騰は怖くはありません。

 

競合が去ったら一人勝ち。

 

これが、企画マンの手腕の差となって出てくるわけです。

 

たかが1%。

されど1%。

 

経営者からすると、何をチマチマやっているんだ!という目で見る人もいますが「大山も蟻穴より崩る」という格言を忘れてはいけません。

 

冒頭の社長も、弊社セミナーで「大山も蟻穴より崩る」という言葉がひどく響いたらしく、地道な営業努力を評価するように制度として取り入れたとのこと。

 

結果、同社も“的を射た”微差の行動蓄積が、着実に業績に結びついていきました。

 

御社でも、微差な行動蓄積をしっかりと評価する仕組みは築けていますでしょうか?