とことん「本質追求」コラム第376話 成果を生み出す思考回路

 

 

 

「以前、コピーライターやデザイナーが集結したブランディング支援会社にお願いをしたことがあるのですが、全く売上に繋がらなくて…。数百万円もドブに捨ててしまったんですよ。今なら分かりますが、あの時は本当に馬鹿な判断をしました」

 

 

クライアント企業さんと一献傾けながらお話をしたとき、ほろ苦い昔話をお聞かせ頂きました。

 

「御社の商品を売るには“ブランディング”が必要です。トータル・マーケティングをお手伝いさせてください」と擦り寄ってきたそうですが、1年ほど付き合っても、全く売上が伸びる気配もなし。

 

担当のチーフデザイナーに相談しても「高いから売れないんじゃないですかね? 値下げしましょうよ」と安易な返事しか返ってこず、結局契約を解消したとのことでした。

 

同じ轍を踏まないように、外部の専門家と付き合う時の注意点を整理しようということになり、飲み会が打ち合わせの場と化していきました。

 

この内容がとても有益だったので、皆様にもシェアさせて頂きます。

 

 

まず、外部の専門家と付き合う時は、ゴールを明確にすることです。

これは、私自身も外部の人間なので、注意をしていることですが、ゴールが曖昧だとプロジェクトはまず失敗します。

 

  • まずは利益よりも売上を伸ばして認知度を上げたい。
  • 利益の上がるビジネスモデルを築きたい
  • SNSなどで拡散されるような秀逸なデザインをこしらえたい。

 

など、本当にそれがゴールで良いのか? と何度も自問しながら、自分たちでゴールを明確にする必要があります。

 

その上で、発注しようとしている専門家が、その資質を備えているのか?をチェックしていく必要があります。

 

冒頭のケースでいくと、1年経った後に、「高いから売れない」と言ってきたクリエイターは、残念ながらその資質を備えていなかったと断言できます。

 

なぜ断言できるのか?

 

それは、売上を上げる方程式を理解していなかったからに他なりません。

 

売上を伸ばしたい=トータル・マーケティングでブランディングを行う。

 

この一見正しく見える方程式を打ち出したのですが、売上を上げるために、なぜブランディングが必要なのか? どのようなマーケティング活動を経れば売上が上がるのか?

 

そのツメが行われていませんでした。

 

そのため、何と彼らは数回のヒアリングをした後「自分たちの事務所に戻って、いきなりデザイン、コピーなどの作業に取り掛かってしまった」とのことでした。

 

この時点でアウトです。

方程式が崩れ去っていたことに気づかなければなりません。

 

売上を伸ばす=トータル・マーケティングを行う。結果、ブランディングに繋がる。

 

という方程式が、本来の流れです。

 

なのに、ブランディングから先にスタートを切ってしまっています。

しかも、ブランディング=コピーやデザイン と思考回路のズレた状態でスタートしています。

 

ブランディングとは「世界観の構築」なので、表面的なコピーやデザインだけではカバー出来ません。

 

世界観を作り上げるわけですから、商品力、営業力など広範囲なエネルギーが集結した結果、醸し出されていくものだからです。

 

手段と目的を履き違えたまま、結果が出ることはありません。

 

 

冒頭の社長さんもおっしゃいました。

「今、目的を達成するために適切な手段が行われているのか?」という視点でチェックが出来ていれば、1年待たずとも、最初の1週間で気が付いていたことかも知れない…と。

 

高い授業料になったようですが、売上を上げるために何に集中すべきか?

これが分かってからは、売上が加速しているので、結果オーライ!です。

 

しかし、キャッシュフローに余裕がない企業の場合は、悠長なことは言っていられません。

 

営業やマーケティングには試行錯誤はつきものですが、それでも「的を得た試行錯誤」が必要です。

 

1年も経ってから「価格が問題では?」と気づくようでは、的を外しすぎ。あまりにもお粗末です。

 

全てのステップを詳細にお伝えすることはコラムの性質上不可能ですが、それでもここだけ外さなければ、的を得ることができる!というポイントを列挙してみたいと思います。

 

 

顧客メリットへの集中。

顧客は商品を購入しているのではありません。メリットを購入しているのです。

マーケティング の基本中の基本の概念ですが、ここを徹底することで、商品のあり方、機能・性能、ネーミング、デザイン、パッケージが規定されてきます。

ネーミングもデザインも機能も性能も、極論すれば、作るのではなく、規定されるのです。そして、値段さえもコンセプトによって変わってきます。

ここの出発点が美しければ美しいほど、成功確率は高まります。

 

コミュニケーション方法の創造性を発揮する。

我々の商品を欲しがる顧客はどこに回遊しているのか? そして、我々の商品の存在に気づき、欲しい!買いたい!、いますぐ買おう!と購買欲求を昇華させるには、どのような媒体、言葉遣い、文脈で伝えればよいのか?

この想像力の発揮が、売上に直結していきます。

 

売り手の執念

社長やトップマネジメント層はもとより営業マン、広報マン、販売促進部隊…

が、この商品は拡げる価値がある!という強い信念を持っている商品は、自然と売れていきます。

ただし、無鉄砲な営業活動は避けなくてはなりません。

高度情報化時代には、営業マンの武器(営業ツール)が必要です。

どのような武器があれば、存分に戦えるのか? 士気と道具が営業活動を成功に導く重要なファクターとなります。

 

以上が、売上を上げるための3大ポイントとなります。

 

 

例として取り上げたのは、私の専門分野である売上を上げるという目的を遂行するためのプロセスを記しました が、生産性を上げる。損益分岐点を下げた経営を行う。などなど、様々な目的を達成するためにも適切な事業プロセスがあるはずです。

 

 

その事業プロセスに対して、どこに属するプロなのか?をまず定義し、見極めることが重要になってきます。

 

 

そして、一気通貫で任せるべきか?

それとも自社のプロデューサーが、それぞれの専門家を束ね、最適化を図っていくのか?

 

手段が目的化しないよう、事業プロセスを監視しながら、成果を正しく出せる道筋を整えていくことが、大切になってきます。

 

 

御社では、外部の専門家を雇う際、確立された「接し方」を持った上で、依頼をしていますでしょうか?