とことん「本質追求」コラム第438話 営業利益を稼げる商品企画のたて方

 

 

「広告や販促コストそれと営業コストを抑制するためには、売れる商品企画をすることが大事…言われてみれば当たり前なのに、出来ていなかったですね」

 

 

先日、コンサルティングが終了した帰り際に、取締役がポロッと所感を述べてくれました。

 

既存事業を下支えするような「企画」を考え、それを次なる柱に育てよう!とプロジェクトがスタートしたのが、どうしても「モノレベル」からの発想から脱しきれず「売れる企画」が創案できずに苦しんでいる最中…

 

藤冨が言っていることは理解できるけど、どうしても自分の事になると途端に分からなくなってしまう、と肩を落としていました。

 

「売れる企画」があれば、広告や販促において、高い費用対効果が見込め、間違いなく既存事業を下支えしてくれます。

 

売上よりも、利益が大事。

今、同社における最重要課題となっています。

 

ちなみに、私がプロジェクトに携わる際は、「粗利益の高い商品」よりも「営業利益の高い商品」を企画するよう方向づけを行なっています。

 

ちょっと考えればわかりますが、雑誌の広告に50万円払って、粗利1万円の商品が、100個売れれば利益は出ます。

しかし、40個しか売れなければ、赤字です。

 

当たり前のことですが、「営業利益の高い商品企画」を考える習慣がなければ、この発想は出てきません。

 

「売れない、売りにくい企画」を営業マンに売らせている会社も多いのですが、これも「営業利益の高い商品企画」ができていない証拠。

 

営業マンの人件費のみならず、社会保険、福利厚生費、交通費、消耗品費…営業活動をするためのコストは、目に見えないコストも含めて多額の費用が発生しています。

 

売れる商品であれば、そのコストを吸収し、利益を捻出できますが、売りにくい商品や中々売れない商品は、営業コストが吸収しきれずに「営業利益」を圧迫していきます。

 

藤冨はこれまで「波及営業法」を利用して、様々な業界で様々な商品の売上拡大に携わってきましたが、商品そのものを企画し直して、成功しているケースが殆ど。

 

商品そのものをいじらなくても、ターゲットを変えたり、切り口を変えたりして、「売れる企画」を練り直してきました。

 

しかし、様々なプロジェクトに携わってきて、今確信を持って言えることがあります。

 

「最初から企画に携わらせてくれれば、苦労は半減、売れる確率は倍増するのに…」と。

 

 

やはり、川下(営業)から、川上(商品企画)を逆算して、企画を練り直すよりも、川下を視野に入れながら、川上から「売れる企画」を行なった方が、無駄なコストや手間がかからずにスマートに仕事を進めることが出来ます。

 

本コラムでも、時折「売れる商品を企画するためのアプローチや考え方」をお伝えしてきましたが、川上から考える重要性は、中小企業においてはあまり認識されていないようです。

 

これはとても勿体無いこと。

 

ヒト・モノ・カネの経営資源を効率的に使い、利益を捻出するには、絶対的に「川上重視の戦略」が必要です。

しかも、今の時代は、「川下…つまりは営業現場から”売れる企画”を考えること」ことが大切。

 

いえ、もっと言えば「大海原である”買い手”から、売れる企画を考えることが、営業利益を最大化するためのアプローチ」になるのです。

 

 

言ってしまえばアタリマエのことです。

しかし、知っていることと、わかっていることは違います。

さらに言えば、わかっていることと。出来ることは、もっと違います。

 

藤冨のセミナーでも「売れる企画は、モノで考えてはダメ。お客様候補になる人が置かれた状況や、何かのタイミングで何かを求める瞬間から、企画することが大事」と、様々な事例を通じて、共通認識を持てるよう伝えています。

 

それでも、受講した方からは、「言っていることは、すごくよく分かる。でも、自分の事業に当てはめた途端に分からなくなる」と、おっしゃる方は、一人や二人ではありません。

 

「分かったことはわかったけど、出来無いよ…」と頭を抱えてしまうことは、決して恥ずかしいことではありません。

 

自分自身が一番見えないのが、人間の性(さが)だからです。

私たちは、鏡がないと自分の姿を客観的に見ることが出来ません。

だから、売れる企画を考える上では、第三者の意見を聞くなど媒介が必要となるのです。

 

また、人は、目に見えるものがあると、どうしてもそれに惑わされます。

テレビでVRを体験している人たちが、映像の中で綱渡りをさせられているのに、足がすくんで動けなくっている映像を見たことがあるでしょう。

虚像だと分かっていても、現実だと認識してしまう。

 

これは企画においても同じような錯覚が起きていて、実際にモノがあるとどうしても、実際に起きていることを認識できなくなってしまうようです。

 

モノで認識していては、売れる企画は出来ません。

なぜなら買い手は、モノを購入しているのではなく、モノから得られるメリットや利益を購入しているからです。

 

 

これを認識するためには、相当の訓練が必要です。

 

それは、

 

  お客様候補になる人の思考、行動、習慣をイメージする力

  お客様候補になる人たちの生活場面をイメージする力

 

Bto Bであれば、相手先のビジネスモデルや仕事の仕方、仕事を進める上でよく出くわす課題や問題…

 

など、お客様候補の人たちの立場になった時をイメージしながら感情移入し、

  何が不足していて、何を求めるのか

  何が不便で、どうすれば解消できるのか

  何が不満で、どうすれば満足できるのか

 

などをイメージし、言語化することで、売れる商品企画が出来上がっていきます。

 

売れる商品が企画できれば、広告・販促コストが相対的に下がります。

営業マンも売りやすいのですから、相対的に営業コストが下がります。

結果、営業利益の高い企画になります。

 

御社は、営業利益を稼げる商品企画を意識して、事業計画を立案していますでしょうか?