とことん「本質追求」コラム第54話 売上ルートの複線化が成長のカギを握る

メーカーは威厳を失ったのか…。

最近、コンビニの棚を見ると妙な違和感を覚えます。
安っぽいパッケージのPBが棚から消え、かわりにナショナルブランド(NB)商品のロゴが入ったPB商品が並んでいるのです。 価格も1割か、2割引きといった安さ。 初めてNBのロゴ入りPB商品を見た時「メーカーは魂を売ったのか?」とさえ、感じてしまいました。

長い年月をかけて、莫大な資金と人材を投入しブランドを育てあげてきたのに、安いPB商品に、そのブランドイメージを受け渡すなんて… 棚から排除される恐怖から言いなりにならざるを得ない…そんな背景が透けてみえます。 
ただ、安さだけではなく、NB商品より高いけど美味い商品がセブン -イレブンの店頭に並びヒットしている事実を見ると、本当の支配力の誇示はこれからだろう…と思わざるを得ません。
先日、たまたまセブン -イレブンに行った時、レジ前に山積みになった「金の麺」(ラーメン)が気になって思わず購入してしまいました。 これが意外な程…と言っては失礼ですが、NB商品よりも美味いのです。 家族に聞くと、「金の食パン」も非常に美味いとの事。 価格はメーカーの食パンよりも倍近く高いのに、かなり売れているようです。

メーカーの威厳はもろくも崩れ、小売企業の言いなりにならざるを得ない状況は、今後ますます加速していくのは間違いありません。 

アタリマエの事ですが、企業は販売力を持つところが市場競争の強者になります。 メーカーは販売を外部企業に依存するリスクを改めて考えなければなりません。 そう、メーカーはありとあらゆる手段をつかって「販売の手段」を創造し売上ルートの複線化は図る必要があるのです。
直接買い手と繋がる方法はないのか?
新しい販売チャネルはないのか?
想像力を発揮して、果敢に営業攻勢をかけていかなければ、買い手との距離はますます遠のくばかりです。

極めて低い投下資本で立ち上げられるインターネット主体の通信販売による自社の直売システムの確立。 このテーマは、今後ますますチカラを入れて行かなければなりません。 拡販体制を作り上げる上でインターネットは切っても切れないツールなので、支援先などにノウハウを提供しています。
ところが、かなりの確率でこうネガティンブな意見が出てきます。 今まで、Googleなどへの広告もかなり出したけど、まったく効果がなくて…。 ウチの事業にはインターネットは合わないのかも知れません、と。 そんな時は、ハッキリとこうお話しています。 インターネットが適さないのではなく、御社のホームページそのものが、顧客の欲求に適していないのです。と。 
どのような商品、どのような事業体であれ、インターネットによる最終顧客とのコミュニケーションや直接販売は有効です。
非常にニッチな商品を取り扱っている法人営業主体の企業でも、ネットからの見込客にチカラを入れ、売上が倍増した事例があるほどです。 

また、通販以外にも、新たな販売手法の確立も模索する必要があります。 富山の薬売りのようなカタチでオフィスにお菓子のボックスを置いておき食べた分だけ売上を立てる「オフィスグリコ」なんかは、とてもユニークな販売手法です。 調べたところ、オフィスグリコは7年連続で右肩上がりの成長を続けており売上は2011年の時点でなんと41億もあるとのこと。 

自社商品の売上ルートの複線化。 ぜひ、積極的かつ果敢にチャレンジしてください。