とことん「本質追求」コラム第81話 購買心理から「戦略」を逆計算する

2013年12月3日。 
今年最後の自主開催セミナーを開催しました。

アンケートを拝読し、胸が熱くなるメッセージを複数の方から頂きました。 
ご参加されました皆様、心より御礼申し上げます。

私自身がアンケートや感想など見聞きする時に最も大切にしていることがあります。 
それは、自分自身が意識的に取り上げていない「言葉」でも、ご参加頂いた方が「これは!」という気づきを得た言葉が何か…という分析です。

おおかた「強み」というのは無意識に行動しているものです。 
無意識にまで刷り込まれた行動だからこそ「強み」なのです。

だから本人はなかなか自覚することが出来ません。

私がクライアントさんのお手伝いをするときも、多くの社長さんは自社の強みや社長ご自身の強みを正しく御認識されていないケースが大半です。

これを言語化し、社内に明示して、戦略に組み込んで行くお手伝いをする事が、私の役目でもあるのですが…。

これが自分自身の事になると途端に見えなくなるので、ご参加頂いた方のアンケートやご感想が頼りになるのです。

さて、本題に入りたいと思いますが、今日は、このアンケートの中から「ここが参考になった!」というフレーズを1個だけシェアします。

そのフレーズは「絞れば、絞るほど”伝説”は生まれやすくなる」というもの。

これは波及営業の第一歩となる「市場に狙いを定める」というステージで、私自身がもっとも大切にしていることでした。

「絞ってください」 
「伝説をつくりましょう」

というフレーズは意識していましたが「絞れば、絞るほど”伝説”を作りやすくなる」 
ここまでは意識化できていませんでした。

ただ、クライアントさんと一緒にプロジェクトを進めるときには、必ずといってほど視野に入れてご助言していることでもありました。

なぜなら、これは購買心理に深く根ざしている為、意識しないと「強い販売力」を身にまとえないからです。

ハロー効果という心理状態をご存知かと思います。 
ようは「東大を出ている人は、仕事でもすごい…」などと、ある事実が不確定の要素を評価に強い影響を与えること。

つまり、東大=仕事でも頭脳明晰とは決して限らないのに、多くの人は「=」で評価してしまうのです。

このような「認知バイアス」は、購買行動のプロセスでも同様に働きます。

  • 宮内庁御用達の商品であれば、美味しいに違いない。 
  • オリンピック選手が愛用しているスポーツウェアなら高機能に違いない。 
  • 一流企業が採用しているコンピュータなら高性能に違いない。

商品説明を一切しなくても、誰が愛用しているか…という事実だけで、その商品は好評価を獲得してしまいます。

取引先が一流であれば、自社商品も一流に映る。

これは心理学から見ても、紛れもない事実なのです。

小さな市場でも、大きな占有率を獲得し、伝説を作り上げる。 
そして、この伝説を「錦の御旗」に掲げて、次なる大きな市場に挑む。

購買心理から逆算すると、とても合理的な戦略設計の視点なわけです。

「絞れば絞るほど”伝説”を作りやすくなる…」

悪用な絶対に禁物ですが、営業や販売に際して、このような心理状態が働く事は明確に意識し、戦略プロセスに組み込んで行く事はとても重要なことだと考えています。