とことん「本質追求」コラム第500話 営業支援会社の営業トークを鵜呑みにする悲劇

 

『今度WEBマーケティングの会社が提案にくるのですが、同席してもらえないですかね?』

 

セカンドオピニオン的に依頼を受けた仕事。

ここ最近テレアポ代行会社の酷い実態を見たばかりなので、興味津々。

 

是非、お受けしましょう…と二つ返事をして、当日を迎えました。

 

やってきたのは女性営業マン。

「コンテンツサイトを作成するので、御社にスポンサーになって欲しい」

「同じようなコンテンツサイトを、弊社では7000事例ほど立ち上げてきています」

「成功事例は…」

と、遠回しに話し始めましたが、要は「ランキングサイト」を作って、そこに御社を優位なポジションで掲載しますよ。

という営業でした。

 

ランキングサイトとは、例えば「デジタルカメラ」と入力すると、「撮影目的」「撮影スキル」などのユーザーニーズからの選択基準や、「画素数」「レンズ交換の有無」などハードの選定基準など、顧客がデジタルカメラを比較検討する際のナビゲーター的な役割を果たすサイトです。

 

消費者の視点から見ると、欲しい商品があった際に比較検討しやすいためにとても親切なサイト。

しかもご丁寧に「ランキング」まで表示されていますから、選択・判断がしやすくなっています。

 

ただ、この「ランキングサイト」は、マッチポンプ。

スポンサーになった企業が優位になるような「選択基準」を作って、意図的に「1位」にランキングさせていきます。

 

この是非については、いろんな考え方がありますから、ここでは敢えて指摘はしません。

そもそも個人的には、選択基準が誤っていなければ問題ないと考えています。

 

しかし、問題は、そのランキングサイトに投資する価値があるか否かの判断です。

 

上述の女性営業マンは、「現在の検索順位レポート」「検索エンジン上の競合サイト分析」などなど、初訪問の企業に対しても懇切丁寧に現状を調べ上げて参上してきました。

 

営業の姿勢はパーフェクト!

そして、営業トークも秀逸です。

 

「もっと問い合わせが増えるはずなのに、もったいないです」

「コンテンツサイトからの誘導は、コンバージョン率が高いんです」

 

と、あたかも「ランキングサイト」が効果的に見えるように滑らかに説明してきます。

 

 

隣で聞いていて「こりゃ素人はやられるわ…」と思いながら聞いていましたが、今回は仕事。

 

遠慮なく、ズバズバと指摘させてもらいました。

 

 

クライアント企業のサイト分析を見る限り、「プロダクト検索」からのサイト閲覧者数は、全体の10%以下。

「ニーズ検索」(悩み検索など)からはなんと90%以上も占めていました。

 

しかも、ニーズ検索は様々な業界が使う固有名詞が多く、様々な言語からアクセスがきています。

目を凝らして見る限り、これを集約するのは不可能。

 

それをランキンングサイト運営の女性営業マンに伝えると、「いえ、こんな事例もあります」と応酬話法を切り返していました。

 

営業マンとしての姿勢は完璧ですが、切り返した内容(事例)はトンチンカン。

あたかもまともに切り返しているように一瞬感じましたが、よくよく構造を読み解くと「それもプロダクトでしょ!」と思わずツッコミを入れてしまいました。

 

ダンマリを決め始めた女性営業マン…。

 

 

隣で聞いていた社長が「ちなみに費用は営業マンを一人の年収くらいって言っていたけど、500〜600万円くらいかかるのですか?」

と質問。

「はい!」とスパッと答える女性営業マンに、最後の最後まで「営業の姿勢は素晴らしい!」と思いつつ、強い違和感を感じた商談でした。

 

私は、クライアント企業に対して、価値を高めて、価格をあげた方が良い!と常々伝えています。

 

価格で勝負をするってことは、考えることを諦めたってこと。

 

我が社は、誰のための何のための商品・サービスを提供していくのか。

どうやったら、お客さんはもっと喜び、驚き、感動してくれるだろうか。

 

そうやって、価値を高めていくことで、その労力の対価として価格を上げていく。

そして、得られた利益によって余裕が出来たら、その余裕をまた「考えること、行動すること」に投資をしていく。

この好循環を作ることが、会社を未来永劫繁栄させていくことに繋がっていくのです。

 

誰にとって、どんな役にたつ商品・サービスなのか?

この追求は、商売の原点です。

 

冒頭のランキングサイトも、「プロダクト検索型の商品・サービス」であれば、非常に効果的です。

しかし、「ニーズ検索型の商品・サービス」かつ「顧客の業種が多分野にわたり、検索してくる言語が多岐に渡る場合…」100%成果が出ない!と断言できます。

 

構造を客観視すれば、火を見るより明らかです。

 

500〜600万円もかけて、投資回収するのに10年以上もかかっていたら、やらない方がマシ。

時代が激変する現代では、最低でも2年で回収できるような投資しかしてはいけません。

 

それがわかっていない営業マンは、勉強不足。

わかっていてゴリ押ししようとする営業マンは、詐欺師です。

 

ここ最近、マーケティング・営業支援会社からの提案を評価して欲しいという依頼が増えてきていますが、残念なほどにトンチンカンな提案が多い。

にもかかわらず、めちゃくちゃ高額。

 

今回のケースは、同席させてもらったので事なきを得ましたが、下手をすれば営業マンの魅力的なトークを鵜呑みにして、大損をしていたところです。

 

御社は、営業支援会社の営業トークを鵜呑みにして、無駄な投資をしていませんか?