とことん「本質追求」コラム第511話 「営業部門」と「製造部門」の共有会議で業績アップ

 

 

「いつもコラムを読んでいて不思議だったんです。営業の専門家なのに、どうして「商品企画」だったり「ビットコイン」の話だったり…いろんな話をするのかな?って。でも最近ようやくわかってきました」

 

先日、読者の方から、とても嬉しいメッセージが届きました。

本コラムを5年以上も愛読してくれている経営者の方で、毎週「営業部門」と「製造部門」の共有会議をし始めてから1年…業績が順調に拡大し始めたとのことです。

 

あるバックナンバーを読んだことが、共有会議をするキッカケになったようです。

「2014年2月4日 第89話 販売代理店に依存するリスク(https://www.j-ioc.com/wp2024/column/1047/)」に書かれていた「コンビニでカップ麺やお菓子などのナショナルブランドがどんどん棚から追い出されていき、プライベートブランドに置き換えて「利益率」を上昇させる…」という記事にハッとさせられたそう。

 

以前、日本アイ・オー・シー主催の5時間セミナーにもご参加されていて、「共有会議」というキーワードが記憶に残っていて、「買い手の顔が見えている部門が、売上拡大の起点となる」と、スパークした瞬間だったとのことでした。

 

 

今、同社が行なっている共有会議は、営業部門が、1. 新規顧客の獲得 2. 既存客フォローの状況 3. 新規での失注 をそれぞれ報告。

・受注が決まった理由、背景、目的

・既存客からの改善要望、不満そして声にならない声を拾う営業の観察

・失注した理由と、相手となった競合商品、負けた理由

 

を報告。

そこから、「商品改良計画」「新規事業の創案」そして、営業部門において「提案方法の見直し」「買い手との接点となるHPなどの見直し」のロードマップを作成しながら、進捗管理を行なっている…とのことでした。

 

いわゆる「製販一体」を強く意識した企業文化を育んできたのです。

 

「共有会議」の運営は、やり方を間違えると、製造部門と販売部門の「溝」を大きくしてしまうリスクはありますが、そこを回避できれば、今の時代においては、とても有効に働きます。

 

やり方…と言っても、決して難しい話ではありません。

一言で言えば「経営の目的である”顧客の創造”を組織全体でやっていくぞ!」というリーダーシップが発揮できれば良いだけです。

 

高度成長期の時代のように、需要が旺盛な時代であれば、製造と販売はそれぞれの効率を上げるために、バラバラに活動した方がベストでした。

お互いに自己責任の原則を働かせ、製造部門は、製造コストを下げ、最善の生産量を突き詰めていく。

営業部門は、出来上がった製品を、いかにスピーディーに大量に販売していくか…

セールスだけに特化した方が、全体効率は上がったわけです。

 

しかし、国民経済が均衡を維持しながら全体としての規模を小さく縮めていく「縮小均衡時代」は、経営の姿勢を180度変えていかなければなりません。

 

180度変える!と言っても、やることは10度しか変わりません。

週40時間の労働時間のうち、たった2時間の共有会議で、販売・製造部門の社員が、全て「買い手」に向いて仕事ができるのですから。

 

需要が縮小し、競争はさらに激しくなっている時代においては、「買い手」を起点とした「商品のあり方、魅せ方」を軽視すると、間違いなく業績不振に追い込まれます。

 

営業部門に対して「黙って売ってくりゃ良いんだよ。甘いこと言っているから予算が達成できないんだよ」と、馬車馬扱いしている時代は、とうに終わっています。

 

これからの時代は、「営業部門」はその名の通り「業を営む」のことに視野を広げる必要があります。

買い手との接点となっている営業マンが、今の買い手は何に困っているか、何に不足しているのか、何に不満を抱いているのか…

 

商売のチャンスとなる「ネタ」を吸い上げて、新商品開発・既存商品の改良・パッケージ、価格、ネーミングの見直し…など、

「商品の魅せ方」に関与することで、業績を拡大させていくのです。

 

急激に大きく成長していった企業は、「ヒット商品」を手にしたところがほとんどです。

 

ユニクロの「フリース 」

異物混入事件で売上が激減したまるか食品を救った「激辛ペヤング」や「超超超大盛りペヤング」

(沈みゆく)夕陽ビールと皮肉られていたアサヒビールを救った「スーパードライ」

 

 

いずれも、企業を成長に導いた「原動力」は、買い手目線から作られた「商品」です。

 

「売れる商品」が先か、「売れる人材」が先か…。

ハッキリ言って、売れる商品があれば、優秀な営業マンはいくらでも集まってきます。

優秀なマーケッターも寄ってきて、ウェブサイトでダイレクトに販売する仕組みを提案してきてくれたり、PCC広告やSNS広告で見込客を集めてくれたりもするでしょう。

 

人口減少。

経済停滞。

コロナの次は、ロシアの戦争と、次々と起こる不測事象…。

 

高度成長期のような旺盛な需要に恵まれる経営環境は、この数年間は期待できません。

 

限られた需要、見えない買い手、境界線のない過酷な競争環境…

 

このような時代には、製販一体の組織づくりが重要視されます。

 

その組織づくり・運営ポイントは…

 

顧客視点が脊髄に浸透しているリーダーの存在(または参謀の採用)

営業のフィードバックの品質管理(売れない言い訳を発言する場にしない)

迅速かつ効率的かつ的確な「ものづくり体制」の構築(テストセールス体制など製販一体運営)

 

3つです。

 

詳しくは、次週に解説します。

 

御社も、製版一体型組織運営に着目し、行動に移してみませんか?