とことん「本質追求」コラム第519話 ランチェスター戦略を鵜呑みにするな!

2ヶ月間に及ぶコラムの休止中には、たくさんの方から応援メッセージを頂きました。

毎週のコラム配信を楽しみにしてくれる方が多いことを知り、とても励みになりました。

ご連絡をくださった皆さま。

この場を借りて、深く御礼を申し上げます。

 

6月30日に成田空港で、最愛の息子としばしのお別れを告げたことで、寂しくなりますが、一方で仕事、私生活を充実できる大チャンス!

これからも公私ともに精力的に活動していきますので、今後とも宜しくお願い致します。

 

さて、久しぶりのコラムは、ちょっと挑戦的なタイトルです。

先に、お伝えしておきますが、私は「ランチェスター」や「孫子の兵法」などの古典的な戦略書を冒涜する気は一切ありません。

それどころか、学びの宝庫であると認識しています。

 

但し重要なのは、教える側の器量だと痛感させられることが、時々あります。

 

藤冨は、すべての事象は「前提が変われば、対応も変わる」だと信じて疑いません。

と言うより、それは「真理」であるはずです。

 

具体的な内容を見ながら、そのことを説明したいと思います。

 

先日お会いした社長がポロリと藤冨に打ち明けた状況報告なのですが…

 

「ウチが思うように売上が伸びないのは、全社員対営業マン比率の黄金律を守っていないからですかね」

 

と、ランチェスター戦略を学び始めた!と言う社長が、自社の反省点を感じ取っていました。

 

聞けば、ランチェスターを教える講師は、全社員に対して、27%の営業社員を採用することが、ランチェスターの黄金律だと、教えたようです。

 

受講者である社長は、「業績が伸びない=営業マンの人数が足りない」という判断を下している状況。

極めて危険なパターンだと感じ、ズバリ指摘しました。

 

「社長、黄金律なんて無視して良いですよ」と。

 

「何を根拠に頭ごなしに否定するのか?!」と文句が来そうですが…

そもそも論として、ランチェスター戦略の基本法則は、「兵器の性能」が、攻撃力を規定するはず。

 

このランチェスターを教える講師は「兵器の性能」という概念を自分の頭で考えることができない「頭でっかち人間」か、または、教え方にかなり問題があると感じました。

 

数字とは恐ろしいもので、それなりの権威ある立場から言われると、多くの人は、それをそのまま鵜呑みにしてしまいます。

 

これは、非常に危険です。

 

全社員に対して、27%の営業社員を採用することが、ランチェスターの黄金律という教えの出所や根拠はよく分かりませんが…

 

もし、この黄金律があるとするならば、必ず「前提」があるはずです。

 

その「前提」を知らなければ、その教え手は、九官鳥講師と言わざるを得ません。

学んだことを、実践の中で咀嚼せずに、そのまま伝えているのは、本質的な「教え手」の姿勢ではないからです。

言葉は悪いですが、学びをそのまま伝えるだけなら、それこそ本物の「九官鳥」にだってできます。

 

また、「前提」を知っているのに、伝えないのは、ミスリードだと言わざるを得ません。

 

「教え手」が伝えた内容で、受講者である社長が間違った経営判断をしてしまえば、下手をすれば経営悪化のトリガーになってしまいます。

 

正しい「教え手」の姿勢は…

「その教えにある”背景””前提”は、何か?」

「その教えができた背景や前提は、今の時代も変わらないのか?」

 

経営戦略なり営業戦略の「教え手」は、時代や環境を考察し、ある教えを実行した際、「本当に勝てるのか?(成果を出せるのか)」を熟慮して伝えることが大切であるはずです。

 

今、ロシアvsウクライナの戦争でも、圧倒的に有利とされていたロシアが苦戦を強いられ、戦争が長期化しています。

その背景には、欧米がウクライナに供給する兵器の性能がロシアの想定を超えているためと考えられます。

 

営業の世界に話を戻すと、今や「ホームページ」だけで、見込客の説得から、クロージングまで出来る時代です。

兵器の性能が、20年、30年前とは激変しているのです。

 

某ゴリゴリ系の営業会社では、保険会社から資料請求リストを買い取り、そのリストに訪問営業マン0人で、100億以上の売上を上げている組織も存在します。

 

たった一人の営業マンでも、3億以上の売り上げを上げている組織だってあります。(営業マン比率はなんと3%)

 

ランチェスター戦略の基本法則(第二法則)では、「攻撃力=兵力数の二乗×武器の性能」と教えていますが、武器の性能が、当時の概念を遥かに超えていれば、「二乗」という係数すら怪しくなっていきます。

 

ランチェスター戦略の基本法則をお勉強ではなく、実戦者として身に染みていれば、営業マン比率の黄金律など、糞食らえ!のはず。

自分の頭では何も考えられない九官鳥講師のせいで、まともなランチェスターの使い手が、戦略自体に疑義を唱えられるのは社会的損失です。

 

今や誰でも情報発信者になれる時代だから、めちゃくちゃな情報が氾濫してしまいがちです。

でも、これはある意味仕方のないこと。

インフラが整ってしまった以上、もう過去には逆戻りできないのですから。

 

そうなると、大事なことは、情報の受け手である我々が、物事の本質を見極める力を身につけないと「溺れてしまう」という認識を強く持つことです。

 

あなたは、物事の本質を見極める訓練、自分の頭で物事を考える訓練をしていますか?