とことん「本質追求」コラム第594話 常識価格はジリ貧となり実質価格は利益を生み出す

「何だ、この薄っぺらい本は!これで1200円ってあり得ないだろ!って、最初は思ったけど、一気に読めて内容も良かった。この手の本を続けて出すのもアリだな」

20代前半に修行させてもらったマーケティング・コンサルティング会社の社長から出版祝いの酒席で、嬉しい言葉を頂戴しました。

最初の一言目はドキッとしましたが…合格ラインに達していたようで、ほっと胸をなでおろしました。

狙い通り…というとカッコつけすぎですが、「部門横断チームで稼ぐ組織の作り方」のコンセプトは、1時間で読めて、実行に移すための材料を提供すること…にありました。

そもそもAmazon Kindleの電子書籍は、2万5000文字程度が適切とされているようです。
これは、一般的な書籍の1/4の量です。

部門横断チームは、当初5万文字近くまでありました。
贅肉を削ぎ落とす必要があります。
文字量ダイエットの目的は、電子書籍の平均を目指す必要もありましたが、それより「スグに行動したくなる」「スグに行動できる」に主眼をおきたかったのです。

「勉強になりました!」という感想よりも、「部門横断チームを作ったら、ヒット商品が、生まれましたよ!」という感想の方が、私にとっては100倍嬉しい。

拙著の目指すところは、読んでくれた方が「元を取ってもらう」ことだからです。

10万文字で1000円の書籍を読んでも行動に移せなければ、お金と時間を浪費したことになります。

一方、3万文字で1000円の本で行動に移して、翌月売上が1000万円上がったら、1万倍のリターンが得られることになります。

どのような金融投資よりも、自己投資の方がリターンは良い…
この快感を味わって欲しいと、切に願って執筆しました。

私にも、受け手としての体験があります。

15年ほど前、自社サイトのダイレクト販売で、さらなる売上向上を目指すために、私は3泊4日のセミナーに参加したことがあります。

参加費用は、破格値の200万円。
清水の舞台から飛び降りる覚悟で参加しました。

ところが、初日の受講を受け終わった段階で、帰ろうかと思ったくらいガッカリの内容でした。
それでも、何か得るものはあるかも知れない…と2日目も参加したところ、私の脳天をドキュン!と撃ち抜く話を講師がしはじめたのです。

藤冨のセミナーでもよく登場する「顧客の購買ブロックの3大ポイント」です。

聞いた瞬間「これだ!このボトルネックを取れば、確実に売上につながる!」と確信しました。

その後、講義は、上の空で流しながら、その場でホームページを刷新。

3泊4日のセミナーを終えた時には、売上をつながる仕掛けが全て出来上がっていました。

翌日以降、予想通りコンバージョン率が改善し、翌月にはこれまでの天井をぶち抜き、過去最高記録を更新。
月100万平均だった、ダイレクト販売サイトが200万円になり、高額セミナーの参加費を2ヶ月かからずして回収することができました。
累計売上からすると軽く40倍のリターンを得た計算になります。

200万円のセミナーは、常識的に考えると確かに高いです。
それでも、実質的な価値をもたらしてくれたことを考えると激安と捉えることができます。

【常識価格】ではなく、【実質価格】で捉えることは、買い手の立場で見るだけでなく、売り手になった時も、大事な視点となります。

拙著「部門横断チームで稼ぐ組織を育成する」に詳細を書いていますが、(株)キーエンスも、ココでいう【実質価格】での価格設定を徹底していることが見受けられます。

粗利益率80%超え。
平均年収2000万円支払っても、営業利益率50%超えと言う脅威の数字は、間違いなく価格設定がカギを握っています。

粗利80%の受注を全営業マン、全商品において死守できる価格設定が出来るのは、顧客が受け取るベネフィットから逆算した【実質価格】にあるからです。

 

京セラを創業し、死に体のJALを建て直した稲森和夫会長も「値決めは経営である」と言う格言を残しています。

どれだけの価値を顧客に提供できるか…
そこだけに焦点を当てた価格設定をするべきです。

一般的に見れば、これくらいの価格かな?
という常識に引きずられないでください。

顧客だけに焦点を合わせ「顧客が価値を受け取った時のリターン」に全神経を集めた値決めをすることが大切です。

御社は、同調圧力に負けて常識的な価格設定に甘んじていますか?
それとも顧客価値に焦点を合わせた「実質価値」を大胆に設定していますか?