とことん「本質追求」コラム第122話 大型商談の獲得では「希望」を排除せよ

『決まりました!来週調印式に行ってきます』

 

1ヶ月半に渡る攻防戦を終えたクライアントさんから週末に吉報メールがはいりました。

 

この商談が決まれば、横展開に拍車が掛かるインパクトユーザーの受注。
商談規模も2000万円と申し分ありません。

波及ステージでの、課題はまだまだありますが、まずはホッと一段落です。

 

この商談。
展示会で知り合った新規案件だそうですが、話が前に進まず3ヶ月以上も膠着(こうちゃく)状態が続いていたそうです。

その理由を担当している営業の方に聞くと、イマイチ要領が摑めない状況。

社長も気になっていたようすですが、ずっと見込客リストに上がったままで次の打ち手に手をこまねいていた状態でした。

もちろん、営業の方がサボっているわけでもなく、やる気がない訳でもありません。

「この商談が決まれば、予算達成も確実になるから何とか決めたいなー」とハッキリと意思表示をしていたほどです。
しかし、社長との3者面談をしていたこの時、何やら嫌な予感が走りました。

私も過去「大勝負の商談」を何度も経験していますが……自分の身の丈以上の商談を決めるときには、「希望的観測」ではなく、絶対に決めなくてはならない…という「信念」が宿ったときにしか結果がでなかったのを体験的に知っていたからです

 

単に自分自身の営業予算が達成できればいいな……くらいの気持ちだと、相手にも「この会社は、売れればいいのか?」的な“気”が伝わってしまいます。

 

商談先はリスクを背負っているわけです。
数千万円もの投資をするわけですから、失敗するわけには行きません。
もし、失敗したら上司に叱責されるでしょうし、下手をすれば昇進にも影響します。

昔のように誰でもがソツなく仕事をしていれば定年まで安泰だ…なんて会社はもう絶滅危惧種になっています。
だからこそ、この商談を通じて、相手さんが感じているリスクを極限までなくさなくはならないのです。

担保とか保証とか、そんな形式的なことではありません。

「どう転んでも絶対に損はさせません」
「必ず、この商品をもって御社に貢献します」

という信念が、商談先を安心させ商談を成功に導かせるのです。

 

ここぞ!という時の大勝負。
決まれば嬉しいな…的な「希望」は捨てる必要があります。
この商談を決めて、自社も顧客もワンランク上のステージにいくぞ…という「信念」を注入する必要があるのです。

 

クライアントさんの営業の方と話した時に、商談がずるずると長引くとモチベーションが下がる…と言っていたので、こう助言しました。

 

「逆の立場になって考えてみてください。表面的な提案は素晴らしいのだけど踏み込みの甘い営業マンと、提案はイマイチだけど、絶対に何とかしてくれそうな営業マンを比較したら、どっちに軍配をあげますか?」と。

すると、ハッとした表情に代わり「このままではロスるかも…」とつぶやいたのです。
危機感は、力強いパワーの源泉です。
「希望」が消え、「信念」を入れこむ器が出来たら、あとは、それをどう実現するか −−− だけです。

 

もう一度、提案先に駆け込み「今までの提案だと、こういったリスクが想定されるかも知れないことに気がつきました。もう一度、現状を詳しく教えて下さい…」と伝え、丁寧に現状と要望を拾っていきました。

 

先方の担当者もそれを待っていたらしく、どんどんと情報提供をしれくれたそうです。
集った情報をテーブルにあげ、社長を含めてこの商談にどう会社として取り組むか…を真剣に話し合いました。

その上で、当社が考える「御社への最善の提案」にまとめ直し、商談先に結論を迫ったところ…。
御社が一番うちを理解してくれた上で提案してくれました…と他社よりも少し値段が高かったにも関わらず、採用を決定してくれたそうです。

 

同じような商品、同じような提案、同じような営業テクニックであれば、信念を持った営業マンが勝つに決まっています。
だからこそ、ここぞの大勝負を抱えた営業マンには、まず「信念」を注入することが大切なのです。
会社として商談先に向き合い、営業マンの心を支える環境づくりが必要です。
お前が売って来たら、会社が全面的に支えてやる…。
こういった空気感が、営業マンに信念を宿らせるのです。

御社では、営業マンに信念を植え込む環境づくりにまで、気を配っていますでしょうか?