とことん「本質追求」コラム第123話 思い込みは失敗の元。事実掌握は成功の元。

「最近、売上が落ちてきていまして、こんな対策を考えているんですけど…」

アベノミクスで景気が上向いてきたか…と、夏前は感じていましたが、ここ最近は全体的にまた停滞ムードになってきているように感じます。

様々な業種、様々な規模の企業さんから、「売上が伸び悩んでいる…」と最近よくご相談を頂くことが多くなってきましたのも、そう感じる原因かも知れません。

 

ただ、正直言うと景気云々と業績は関係ない!と藤冨は思っています。

 

売上高、数兆円・数千億円規模の企業ならいざ知らず、数十億円規模であれば、マクロ経済の影響が大打撃になることは考えられないからです。
自社が努力できる範囲のなかで、何かしらチャンネルがズレているのが原因と捉える方が健全なのではないでしょうか。

 

実際、私はクライアントさんになって頂いた企業の営業マンと営業現場に同行させてもらうことが多々あります。

この工程を入れる理由は、「売れない真の理由を発見すること」または「効果的なセールスポイントを発見すること」にあるのですが…
実際に営業現場に出向くと面白いことが起こります。

 

当初、営業の人が社長に進言していた「売れない理由」と私が同行して感じた「売れない理由」が、ほぼ100%ズレているのです。


原因の特定が異なれば、打つべき対策をまったく違うものになります。

 

100m走の陸上選手がタイムを縮めたい…と思い、コーチに相談したら「筋力が弱いのが原因だろう」と半年間辛い思いをしながら筋トレに励んでみたところ、逆にタイムが悪くなってしまった。

 

ところが、別なコーチに相談したらスタート時の足の踏み込み位置が悪い…と指摘され、1週間練習したところ、スグに目標のタイムまで縮まってしまった…

 

こんなケースは、どの世界にも共通する出来事です。

正しい原因を特定しないことには、正しい対策は施せません。

 

見誤った原因特定は、ムダな投資、ムダな労力、ムダな時間を費やし、逆効果を招きます。

 

だからこそ、営業で成果が上がらないときには、まず正しい事実掌握に注力をすることが肝心なのです。

 

決して、営業マンの話だけで事実掌握をしてはなりません。

 

これは、営業の誰それさんの能力が低い……とかそういう話ではありません。

ある一定条件下に置かれると、誰にでも起こりえる「働き手の心理」が働いてしまうものなのです。

 

人間は誰しもが少なからず「私は正しい行動をしている」と思い込んでいるものです。

とくに、経営者や幹部の評価次第でお給料がポジションが変わってしまう社員さんは、自分が間違った判断で動いている…とは思いたくないものです。

意識的、無意識的に関わらず、自己正当化の心理が働きやすくなる。これが一定条件下で置き得る普遍の心理です。

 

この心理状態が危険なのは、モノゴトを「感情」で捉えている点です。

 

私たち人間がモノゴトを捉えるのは、この「感情」と「思考」そして「事実」の3つしかないと言われています。

 

ここまで書くと、もうお分かりの通り正しい原因を特定するには「事実」を踏まえなくてはなりません。

 

感情はときに事実を歪曲させ、ときに盲目にしてしまうからです。

 

成功している経営者を見ていると、これが分かっていて、スグに対策に走るよりも先に、この事実掌握・原因特定にしっかりとお金と時間を投資しています。

 

経営不振に陥った旅館やホテルを次々と再建している星野リーゾトの星野佳路社長も、最初にしっかりと事実掌握に努めた上で、どのような対策を打つべきか…を考えていることが著書を拝読するとわかります。

 

もし御社が「業績が下がって来ている」または「思うように売上が伸びない」と、不本意な結果が出ている状況であれば、徹底した事実掌握に努めてみてください。

 

数字も、だいたい…ではダメで、正しく掌握できるように、整理・集計してみてください。

1円単位まで合わせる必要はありませんが、「だいたいの感覚でこうなっている」という数字掌握だけは避けることが賢明です。

売上が下がっているのであれば、客数が落ちているか、客単価が落ちているのか…推移を捉えることはアタリマエですが、客数が落ちていれば、どの市場に喰われているのか…そう想定した市場の新たな競合は、同数程度売上が上がっているのか…

 

客単価が落ちているのであれば、値引き対応されているのか、売れている商品が変わっているのか…。

 

経営数字だけではなく、商談現場で発生している「売れない理由」などの事実情報の掌握にも努めてください。

 

商談に同行していると、営業のツメがあまく、そこで「理由」を判断しちゃダメだろ…と思う事も現場にいると多々あります。

 

テストクロージングもせずに、ちょっと否定されただけで、それが売れない真の理由と捉えてしまったり、1件の商談で思うように行かないと、それが市場全体の評価だと認識してしまう…そんなケースは、枚挙にいとまがないのです。

 

 

何度も言いますが、正しい事実を把握しないことには、正しい対策は打てません。

逆に正しい事実さえ分かれば、自ずと打つべき対策は見えてきます。

 

現場判断だけに任せず、正しく事実を掌握すること…。

御社は、この事実掌握にしっかりと時間とコストをかけていまでしょうか?