とことん「本質追求」コラム第156話 モチベーションの源泉

 

「営業の士気をあげるって、どうすれば良いのでしょうか?」

 

先週のコラムで営業マニュアルについてお伝えしましたところ、とても反響がよく、読者数が通常の1.5倍、精読率(ページ滞在時間)に至っては、通常の倍以上という結果に跳ね上がりました。

 

じっくりと読み込んでもらったようで、書き手冥利につきます。

 

また、冒頭に書いたようにマニュアル制作以外のご質問もたくさん頂いたのですが、営業のやり方以前の問題を抱えていらっしゃるケースが、これまた多いことがわかりました。

 

やり方以前…つまり「営業の士気(モチベーション)向上策」です。

 

モチベーションのあげ方(動機づけ)で、スグに思いつくのが「金銭による報酬」だと思います。

しかし、金銭によるモチベーションアップには注意が必要です。

と言うのも、金銭よる報酬は、「貰うのがアタリマエ」になってしまうと、損益計算書を圧迫するだけで、売上上昇の力学は働きにくくなってしまうという性質を持っているからです。

 

ベースアップや定額ボーナスは、その典型的です。

あるのがアタリマエ…、無いのは不満という環境をつくり出してしまうと、中長期的に見ると非常にしんどいのは、火を見るより明らかです。

 

また業績に連動させた「成果報酬」などがありますが…これも考えものです。

営業は頑張れば高給を貰えるのに、私たちはいくら頑張っても評価されない…と他部署の人間の士気が下がってしまうリスクがあるためです。

 

「製造」が欠陥なく作ってアタリマエだったら、「営業」も売ってアタリマエではないでしょうか。
少なくても私自身が現役営業マンのころは、営業は売ってアタリマエ!だと認識していたつもりです。

 

それでも、結果に対して給与と連動させたいのならば、前回コラムでも書いた通り、「売上結果」そのものではなく、「成果に繋がる態度や行動」を人事評価に組み込んだ方が、理にかなった組織運営ができます。

 

結果に焦点をあてると、売れる人は売れるけど、売れない人はいつまで経っても売れない…という二極化を招くからです。

 

売れない人でも「成果に繋がる態度や行動」の徹底化すれば評価され、それが結果(売上)に結びつく構造の方が、営業組織の底上げに繋がるからです。

 

よくこのようなお話をすると「トップセールスがヘソを曲げてしまう」とか「トップセールスが居るからこそ会社が成り立っている」という反論がでてきます。

 

しかし「成果に繋がる態度や行動」をトップセールスマン達からエッセンスを抽出しておけば、これまでと変わらずの評価ができるはずです。

彼らは「成果に繋がる態度や行動」を無意識にやっているだけです。

逆に、そうでない営業マンは言語化して「何をどうすれば成果に繋がり、会社から評価をされるのか?」を明確にしないと、正しい営業活動が出来きません。

 

 

そもそも、売れる人と売れない人の大きな差は何でしょうか?

コミュニケーションスキルでしょうか、それとも押しの強さでしょうか。

どれも大切ですが、最も強く影響しているのは「会社、事業、商品に対する誇り」です。
これは、とくにメーカーのトップセールスマンに話を聞くと顕著に現れます。

 

「ウチの商品を買わないなんて、あの人はバカなんじゃないか?」とさえ思っているトップセールスが数多くいるのです。

 

だからこそ、自然と押しが強くなりますし、自然と理解しやすいようなコミュニケーション方法を自助努力で研究しているのです。

 

自尊心をもって、正々堂々とセールスをし、お客様にちゃんとウチの商品を理解してもらおう…とあの手この手を使って接触しているのです。

 

この事実を厳粛に受け止めると、「自社の商品に誇りをもち、自尊心をもって正々堂々とセールスするマインドの形成」が、すべての動機づけのベースになることがわかります。

 

 

経営の神様と呼ばれたP・Fドラッカー批判をしているにも関わらず、当の本人から「マズロー最高の著書」と言わしめた「完全なる経営」なかにも、これを裏づける記述が見て取れます。

 

・「何か重要なものの一員となる。これが自尊心を回復させる特効薬となる」

 

・「我々の商品は業界の発展に貢献している」「我々のサービスは、人々の幸せに貢献している」と語るとき、その人はその会社の一員として栄光、歓喜、誇りを味わうことが出来るのである。

 

価値ある大義や重要な仕事と一体化しそれらを内部に取り込むことによって、自己を増大させ、その価値を高める。

 

・こうすれば、知能、才能、技能がなどが現実に不足していても、それを補うことができる。

 

・そもそも事業というのは、矮小な人間を偉大な人間に変える術という見方もできる。

 

これらを営業組織の運営目線で翻訳すると…

 

「我が社の商品に誇りを持つことで自尊心が芽生え、売ること自体に喜びを感じ、営業スキルが多少低くても、それを補うほどの営業力が生まれるようになる」

 

と解釈することが出来ます。

 

商品に誇りを持ってもらうためには、会社の共通用語としての“大義名分”が必要です。
「当社商品は、社会からなぜ必要とさせているのか」

この「問い」に真摯に向き合った答えが「大義名分」になります。

そして、この大義名分こそが、本質的な営業マンの士気向上になり、組織全体の営業力を引き上げる源泉となるのです。

 

 

御社の営業部員は、「大義名分」を掲げ意気揚々と営業現場に出向いていますか?