とことん「本質追求」コラム第157話 成功する新規事業の条件

 

「今の仕事がつまらないんです。何か新規事業を立ち上げたい…」

 

先週の金曜日に「事業構想大学院大学」主催の『請負型ビジネスからの脱却 —高収益メーカーとして成功するプロジェクト研究』の説明会が終わったあと、名刺交換のときにポツリと、とある企業の経営者の方がつぶやきました。

 

最後に名刺交換をした方も、その言葉を聞いていて、『実は私もなんです』と請負型ビジネスにおける何とも言えぬ閉塞感を感じたのですが……

新規事業は、『千3つ』と呼ばれ1000の事業を立ち上げたうち3つ程度の事業しか成功しない…といわれている世界。

数値的な信憑性はさておき、たしかに容易くはいかないのが現実です。

 

しかし、容易くないとは言っても、本当に0.3%しか成功しないのか? と思うと首を傾げざるを得ません。

 

逆に言うと99%の事業は、そもそも論として「成功するための条件」を満たしていないのでは…とさえ感じるのです。

 

と言うのも、日本アイ・オー・シーが主催するセミナーは「社運をかけた商品を成功させる…」という謳い文句がついているためか、本当に社運をかけた新規事業を見つめ直すために、全国から経営者の方がお見えになります。

 

社運をかけた新規事業…ですから、成熟した既存事業に見切りを付けた肚の据わった60代、70代の熟練経営者の方も多くお見えになります。

 

幸運にもそういった人生の大先輩であり、経営者としては太刀打ちできないほどの素晴らしい社長さん達と一緒に「新規事業のブラッシュアップ」を行ってきましたが、数々の経験を通じて思うことは、そういった経営者の方々は、「成功するための条件」というものをしっかりと事業に刻み込んでいるからこそ、次なる事業の柱に育つのだと確信するに至っています。(千3つであれば私の仕事が続きません)

 

その「成功するための条件」とは何か…。

 

一言でいうと「私の想い描いている商品(サービス)があれば、世界は変わるのに…」という力強い想いを持っていることです。

 

世界を変える! と言うのは大げさな表現かも知れません。

それでも、「本来はもっとこうあるべきだ」といった既存市場における「不足」「不便」「不満」… と言うより、『怒り』や『呆れ』に近い感情から新しい事業を発想しているケースが、成功パターンの共通要素であることは間違いありません。

 

今のままでは多くの人が不幸せに感じて仕方ない。
なぜ皆それを気がつかないのか。

と言った鬱憤(うっぷん)から「こんな世界観を作りたい!」という強い想いに昇華したとき、その新規事業の成功確度は飛躍的に高まっていくのです。

 

例えば、私が感じるに、iPhoneには「怒り」を内包した力強いイノベーション・メッセージが込められていました。

 

しかし、Appleウォッチには、その片鱗すら見えません。

生産量が少なく店頭の品薄感のためか「売れている」というメディア情報もありますが、現実の販売出荷数は疑問です。

価格が高いとか、デザインが悪いとか、いろんな「売れない理由付け」も同時に飛び交っていますが、そこにも疑問を持ちます。

 

と言うのも、Appleウォッチには、「こんな世界観を作りたい!」という強い想いが感じられません。

 

その理由は、前述のとおりイノベーション・メッセージがほぼ無い状態だからです。

 

iPhoneの発表時において、故スティーブ・ジョブズ氏は、「電話」「音楽(iPad)」「インターネット」が一台のデバイス(端末)になった!と、震えるようなプレゼンを披露しました。

 

しかし、iPhone以前に、「電話」と「ネット」「メール」の機能を備えたデバイスは存在していました。

 

ジョブズ氏がプレゼンで強調したのは、既存市場にある商品に対する「強い不満」です。

 

ブラックベリーブラックベリーなどの既存のスマートフォンを画面一杯にズラッと並べ、端末下部に配置されている「キーボード」を見て、ナンセンスだ!と吐き捨てました。

 

ソフトウェアによって、キーボードやボタンの最適配置は異なるはずなのに、なぜキーボードがハードに固定されているのか?と。

スマートフォンなのに、スマートじゃないと言う怒りがあったのです。

 

ジョブズ氏は、自宅にモノがほとんど置かないことに象徴されるように洗練されたシンプルなデザインに対して強いこだわりを持っていました。

 

パソコンという無機質な存在に、デザインを取り入れ、美しさを組み込んだ第一人者でもあります。

 

だからこそ、既存のスマートでないスマートフォンに怒りを感じていたのでしょう。

 

ジョブズ氏が亡くなってから「iPhone6」や「Appleウォッチ」が発表されました。しかし、「単なる大画面デバイス」であったり、「iPhoneの遠隔デバイス機能」でしかない新製品に留まっています。

 

きっと、あの世にいるジョブズ氏は怒り狂っているのではないでしょうか。

 

スマートじゃないと。

 

この「怒り」や「呆れ」に似た感情は、新商品を成功させる原動力としては強く働きます

 

最も成功する新商品開発のやり方があるとしたら…

最も成長軌道に乗りやすい新規事業があるとしたら…

 

間違いなく私はこの「怒り」や「呆れ」に似た感情が湧き起こる市場、商品、慣習、常識などに、立ち向かうような着想を見つけ出すことが大切だと断言します。

 

「なぜ、あの市場は、不健康なことばかりしているのだろうか…」

「なぜ、あの市場は、あんな重い素材を使っているのだろうか…」

「なぜ、あの市場は、ムダな工程で高コスト体質なのだろうか…」

等など、当社の技術をもってすれば解決できることなのに、現実なし得ていない市場が見つかったら、それは、間違いなく成功する新規事業として花開くことでしょう。

 

そんな大それた発想なんてないよ、と多くの方が言われますが…

つぶさに市場を見渡したり、ディスカッションを重ねたりするうちに、必ずやピカッと光る原石が見つかるものです。

しかも、意外にもすぐ足下から…。

 

御社も力強い成長余力をもった新規事業の着想に…たまには思いふけってみませんか?

■補足=======================

※動画は音が出ますのでオフィスでの再生はご注意ください。

▼スティーブ・ジョブズのiPhoneのプレゼン動画▼

https://www.youtube.com/watch?v=L0XeQhSnkHg 

▼ジョブズだったら、ココまで徹底していたかも? AppleWatch▼
https://www.youtube.com/watch?v=qNyddpmyT30

※満員電車で皆がやったらウルサイけど…(苦笑)

 

 

 

 

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