とことん「本質追求」コラム第158話 売れない商品を“売れる”に変える発想法

「この商品は売れますでしょうか?」

 

新商品を世に出すときは、最もワクワクするときであり、同時に根拠のない不安が覆いかぶさってくるものです。

 

個別にご相談頂くテーマとして最も多いのも、新商品に関わらず…ですが「この商品は売れるのか」「どうやって売れば、最も売上げが伸びるのか」という内容です。

 

商品がヒットするのは、「商品力」か「販売力」のどちらかの着想が優れている場合です。

逆に言うと、売れないのは「商品」は、魅力がないか、売り方が悪いかのどちらかです。

 

営業部は、「こんな商品を作って、商品企画・製造部の人間は、売れると思っているのか?」と、愚痴る。

商品企画・製造部は「ウチの営業は、まったく柔軟性がない。こんなに優れた商品が売れないはず無いのに…」と愚痴る。
よくよく有りがちな光景ですが、実はこの両者の発想自体が売れない最大の理由でもあるのです。

他責の念を抱いている時点で、「売ろう!」という思考回路がストップします。

諦めなければ、すべては上手くいく! なんて「脳みそお花畑」の発想をしているわけではありませんが、思考回路のストップ=諦めて時点で、終息へと向かっていくのは事実です。

 

何が悪い…と言う視点で商品を見るのではなく、その商品がどうやったら売れるのかと、あらゆる面からアプローチすることが大切なのですが…

 

そのアプローチ法を知らないがために、思考回路がストップしてしまうのでしょう。

 

なので、今回のコラムでは「売れない商品をどうやったら売れる商品に育てあげるのか…」を考え抜くためのコツをお伝えしたいと思います。

 

これは、新商品・新規事業だけではなく、既存商品の売上が下がってきたときの「テコ入れ」にも利用できます。

 

そのアプローチ法とは…

 

一言で言うと「買う理由づけインデックス化して4Pで整理していく」という発想法です。

 

1年半前のコラム(第78話 優れた営業スキルを会社の財産にする方法)でもお伝えしましたが、同じ商品でもお客様によって「購入する理由」は異なるものです。
喉が渇いているから水を買う人もいれば、健康を意識して水を買っている人もいます。
リフレッシュのために水を買うひともいれば、薬を飲む為に水を買う人もいるのです。

様々なお客様が、様々な理由で「水」を買っています。

 

ここが全ての出発点になります。

 

つまり、水が持っている「顧客に与える価値(ベネフィット)」をすべてリストアップしていくのです。

 

そして、商品に付けられたいくつものインデックス(ベネフィット)を4Pを使って整理していきます。

 

4Pとは、「製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)」の4の視点で戦略を作り上げる…というものですが、現在は、前近代的だと軽視されがちです。

それでも、私は思考を整理し漏れなく考えるためのツールとしてはとても有効だと思っています。

 

例えば、「薬の薬効を素早く効果的に身体に行き渡らせるのに優れた機能」(製品)を持った水であれば…

 

病院内や病院周辺のコンビ二、調剤薬局などに「常温自販機」を設置(流通)し、自販機で「薬効が行き渡る理由」を明記(プロモーション)する。

 

価格は、通常の水よりも機能的であるが故に、20%高めに設定する(価格)。

 

 

と言った具合です。

 

このとき、流通やプロモーションは、実務レベルで発想するときには、営業に置き換えても構いません。

商品と顧客を関係づける「言葉やイメージ」が、プロモーションなのですから、営業トークや、ホームページ、DM、広告、展示会のファサードメッセージなどなど、何でも当てはめて考えることができます。

 

情報の伝達は、まったく同じことを言っても、顧客が受け取る場所、時間、置かれたシュチエーションによって、脳みそへの刺激が変わってきてしまいます。

 

喉の乾きを訴えるには、どこが効果的なのか…。

爽やかさを訴えるには、どこが効果的なのか…。

健康を訴える…これは少し抽象的なのでもう少し具体的に突っ込んで、血液ドロドロの解消を訴えるには、どこが効果的なのか?

 

こういったお客様が置かれたシチュエーションに感情移入して発想することで、当社が提供するベネフィットをより効果的に伝達することが可能になります。

 

このように、インデックス化されたベネフィットに対して、顧客と商品が初めて出会う場所(流通、プロモーション)や価格の見せ方を構想していく。

 

そして、どのインデックスが『自社の強みを効果的に発揮できるか?』『売上、利益のサイズは十分か?』と、戦略案を検討していくのです。

 

売れないのは「商品」が悪いわけではありません。

顧客が受け取るベネフィットが明確にされていないからです。

仮にベネフィットが明確であったら、その伝達方法や価格の見せ方がズレてしまっているのです。

 

御社では、売れない理由や売上が下がってきた理由を「人」や「環境」のせいにせず、「買う理由づけ」から逆算をして考え続けていますか?