とことん「本質追求」コラム第169話 変化を読み取り、事業成功のチャンスを見いだす方法

 

 

「もしも戦争が起きたら、我々の仕事はどうなるのでしょうね?」

 

先週末は、終戦記念日であったためか、クライアント企業さんとの雑談のなかでも、戦争の話がチラホラと出ていました。

 

私は、専門家ではないので、アドバイスをできるほどの知識はありません。

それでも「安保法案」だけでなく、「中国経済の失速」や「対中関係の複雑化」さらには「沖縄問題」など、耳に入ってくる情報を統合していくと「きな臭いにおい」がしてくるので、アンテナだけは高く持つようにしています。

 

というのも、これら断片的な情報も、根っこが繋がっているので…この先「きな臭いこと」が現実化する恐れは充分に考えられるからです。

 

戦争が起きるとかそうゆう問題だけでなく、この問題は日本の財政問題とも密接にリンクしていると私は感じています。

なので、バブル崩壊に続く大不況が訪れる可能性があることも、この「きな臭い」の延長線上にあると感じています。

 

決して不安を煽りたいわけではありません。

私は、コントロールできない問題こそ、コントロールできる余地を探すべきであると考えているので、あえてコラムでこのテーマを執筆しようと思ったのです。

 

営業活動の生産性を高めるお手伝いをしている関係上、この切り分けは、最重要テーマでもあります。

 

政治家ではない、私たちは経済をコントロールすることは出来ませんし、外交に影響を与える事もできません。

 

自らの会社の運命は、経済、税金、為替、法律などに強い影響を受けますが、残念ながら、すべてコントロール不能でこれらを「環境」として受け入れる他ありません。

 

であれば、環境変化が起ることを前提として、「その時が来たら、どのような方針を打ち立て、迅速に実行すべきか…」を準備する必要があります。(※1)

 

物理的な準備もあれば、思考の準備もあります。

 

その準備に必要なものは何か…

 

それは、

 

「どのような環境変化が起きたときに、どのように対処をした企業が勝ち残ったのか…」

「大不況期には、どのような商売が成功していて、その本質的な要素はなんなのか?」

「環境変化が起きたときに、自社が取り組めることはなんなのか…」
を静かに分析することで、チャンスを見いだすことから始まります。

 

私が、20代前半でお世話になった新商品開発専門のマーケティングコンサルタントの師匠は、よく「時代を見る目が大事だ!」とおっしゃっていました。

 

新商品開発は、顧客心理のみならず、時代を見る目が、成功するか否かに強い影響を及ぼすからです。

 

時代を見て、これが今の世の中に受けいれられる商品は何か…。

社員もこのような情報に晒されているから、このような動機づけが必要だろう…。などと、思考を巡らせることが、戦略起案の出発点になるのは、無意識的にせよ皆様も日常生活の中で感じていることだと思います。

 

この時代を見る目が正確であればあるほど、商売は儲ります。

 

では、どうやったら時代を正しく見る事が出来るのか?

これは、歴史に学ぶことが、最も的確だと思います。

 

マーケティングコンサルタントの師匠は、何か調べごとがあると、いつも「図書館に行って、調べてきてくれ…」と私を時々使いに出していました。

 

「日比谷図書館」や「国会図書館」…。一緒にいって、情報を見方も教わったことがあります。

 

その中でも、鮮明に覚えているのが、ある時代の新聞を流し読みすることです。

 

日比谷図書館には、第二次世界対戦直後の「朝日新聞」なども縮小版でみることも出来ます。

もちろん、バブル崩壊直くらいの新しい情報なら、「日経」などの他誌も閲覧することができます。

 

「ある時」が、やってきた時の時代の前後をみることが出来るので、“時代は繰り返す”ことを意識してみれば、近未来の予測も立てやすくなります。

 

少なくても、「時」が起きるまでは、新聞やテレビなどの情報からは、これから起こることは察しが、つきにくいことだけは学べます。

 

ただ、注意深く見ていると、大きな変化は、様々な因子が重なり合って表面化しますから、どのような因子が動き始めたときに、大きな変化が現れるのか…を学びとることは、出来ます。

 

そして、時代の変化を察したら、
・そのときの企業経営では何が生死をわけたのか?
・どんな業種の倒産が多かったのか? その理由は? 生き残った企業がとった施策は?

と調査対象を掘り下げていくことが出来ます。

 

そんな難しいことは考えたくない…という方も、バブル崩壊から数年間の「広告出稿企業」や「世の中で受け入れられた書籍」を見るだけでも参考になります。

 

広告出稿には、それなりの投資が必要です。

その投資を続けている企業は、儲っているから続けています。

 

その業種は果たしてなんでしょう?

 

その時代に売れている書籍は、時代の認識を象徴しています。

つまり、大きな流れでの消費者心理が読みとれます。

 

そのときに売れていた書籍はなんでしょう?

 

すべて図書館に情報が眠っています。

 

新聞記事は、事実をわい曲することも可能ですが、広告はウソをつきません。

企業が出したい情報を出すからです。(広告規制はありますが)

 

新聞記事に書かれた「事実の解釈」は、注意深く洞察する必要がありますが、起こった現実は、ウソをつきません。

 

その起こった現実が、何に影響を与えたのか…。

 

これらの情報を握るだけでも、経営者やリーダーにとって、有益な意思決定の材料となるはずです。

 

経営者やリーダーにとっての重要な仕事は、未来を察知し、打てる対策を施すことです。

 

これから起き得る未来を察知しに…図書館に出掛けてみませんか?

 

 

※  1

政治家ではない、私たちは経済をコントロールすることは出来ませんし、外交に影響を与える事もできません。経済、税金、為替、法律などの変化は環境変化として受け入れられるべき…という考え方は、民主主義国家の一員である人間が匙を投げるのか! とご指摘を受けそうです。

しかし、本コラムでは、政治的な話をしたいわけではなく、経営の話に焦点を絞りたいので、どうかご容赦ください。