第211話 迫り来る不況に翻弄されない経営者の資質とは。

2016.6.7

 
『消費税の増額が延期になりましたね。世界経済の減速が予測されていますが…日本にも影響があるのでしょうか?』

 

 

先日、とある会合で消費税増が見送られた背景と、今後の日本経済(世界経済)の先行きについての話題になりました。

 

業績の影響を心配されている方もいましたが、正直言って私には違和感を覚えざるを得ません。

 

予測不能な未来などに、心が踊らされるのもムダですし、先行きの見通しが厳しいと思うのなら、打開策を懸命に考え、必要な打ち手を実行すべきだと思うからです。

 

そもそも論として考えてみても、数千億円企業ならマクロ経済の影響を受けますが、数億、数十億円企業なら知恵勝負で何とかなるのでは、ないでしょうか?

 

実際、サラリーマン時代のことですが、私はバブル崩壊とITバブル崩壊直後に、売上を伸ばした組織の営業現場にいました。

 

バブル崩壊時は、日立製作所や中外製薬などの新商品開発のあり方をコンサルティングする会社に勤めていました。

 

景気後退時は、メーカーは、広告予算を削り新商品開発も自粛する。

だから、広告代理店などの関連する企業は、どこも景気後退の影響を受けるに違いない…。

 

そんな言葉が飛び交っていましたし、マスコミ各社も、こぞって消極的な発言ばかりをしていました。

 

しかし、同社は新規顧客を着実に獲得していき、世の暗いムードとは真逆に、期末には全社員で海外旅行に出掛けたほど潤っていました。

 

ITバブル時も同じです。
2002年の米国IT関連失業者数は56万人に達したと報じられ、国内でも多くのIT関連ベンチャーは倒産に追い込まれました。

しかし、私が所属していたITベンチャーは、ちょうどその頃から業績を拡大し始めました。

 

同社は、それまでシステムは販売するのが常識だった時代に、10年以上も先かげて「クラウドサービス」を始めていました。

もちろん、当時はクラウドなどと言う言葉はありません。

 

アウトソーシングサービスという言葉で、売買契約ではなく、役務提供契約を結びまくっていました。

 

世の中で誰も手掛けたことがない新サービスは、市場の啓蒙に甚大な労力を要しましたが、他社が不況で喘ぐなか、同社は着実に業績を拡大し、株式公開までみごとこぎ着けていきました。

 

私は、日本が直面した「大不況」の真っ只中で、営業活動の現場に携わっていましたが、正直「不況」を感じたことは一度もありません。

 

好景気の時だって、苦しいときは苦しいし、逆に不況と言われるときの方が、他社が萎えている分、営業活動は順調だったという実感があります。

 

 

だからこそ、景気と業績は無関係だと言いたいのです。

 

いえ、正しく表現するのであれば、「景気に左右されない業績拡大策」は、必ず存在するはずだ…と頑に信じているのです。

 

 

大手企業は、経済の大きな流れに翻弄されるかも知れません。

ここは、私の専門外なので、思考を張り巡らせることは致しません。

 

また、下請け企業さんも大変でしょう。

元請け企業の懐具合で発注量が決まりますし、川上が苦しくなれば、えげつない値引き交渉をしてきて、利益どころか、社長の給料さえ、元請けに吸い取られてしまいます。

 

でも、それはそれで下請けに甘んじている経営責任でもあります。

 

自らの責任で「商品」を作り、お客様の利用価値や安心・安全を担保するのは、極めて責任が重大ですし、経営リスクも伴います。

 

また、営業・販売活動に馴れていなければ、鬼の首を取りにいくような覚悟がいるでしょうし、実際何の策略もなしに戦いを挑めば、難行苦行を強いられるのは火を見るより明らかです。

 

しかし、そのことを嫌がって下請けに甘んじていれば、彼らの手のひらで自分達の生死が決まってしまっていることを容認しているのと同じ事です。

 

これは、下請けに限らず、販売活動を他社に依存しているメーカーも、構造的には同じリスクに晒されています。

 

 

 

独立、独歩。

自社の生命線を他社や好不況に翻弄されずに、自らの責任で、自ら知恵を絞り、営業・販売活動に精をだし、活路を見いだす企業体質の方が、明らかに健全です。

 

 

誰かのせいにしない人生。

言い訳のない世界観。

その方が潔いと考えるからです。

 

 

そんなことを考えていたら、私は本当に幸運に恵まれていた…と、勤め人時代に、藤冨を雇ってくれた社長に深く感謝せざるを得ません。

 

コンサルティング会社の社長は、本来エリートしか雇用しないのに、学歴の無い私を雇い入れ、勉強をさせてくれました。

 

冒頭にも申し上げた通り、当時は大不況。

本来、どこの馬の骨かもわからない人材に投資する余裕など、どの会社にもなかったはずです。

それでも「面白そうだ!」雇って頂き、23歳のガキンチョに一人で営業活動もさせて頂きました。

 

ITベンチャーの社長も、世に無いサービスで勝負に打って出たものの、当初1〜2年は大苦戦。それでも現場の試行錯誤を寛大に見守ってくれました。

そして、世がITバブル崩壊と叫ぶ中、着々と受注を積み重ねていきました。

 

あれから、15年経って、クラウドの時代が来た! と世の中の流れが変わったときに、改めて同社社長の先見の目には、驚かされましたが、それより何より、一番スゴイと思ったのは、未踏の地を切り開くときの胆力です。

 

 

お世話になった社長お二方に共通するのは、「先見の目」と「苦境の最中でもアクセルを踏む勇気と胆力」です。

 

これが好不況に翻弄されない経営者の資質であることは間違いありません。

いま様々な企業のトップと触れ合っていても、それを実感します。

 

今後、日本、いえ世界規模での明るくない未来が予想されています。

その迫り来るであろう不況が、本当に来たときに…

御社はいかに対応するのでしょうか?

どのような未来に先見の目を光らせているのでしょうか?

そして、アクセルを踏むための準備を…今からしていますでしょうか?

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