第239話 失敗しない新規事業の選択

2016-12-20

 

 

「新規事業の発想法のコラムを読んで、奮起しました。直感を信じて成功させたいと思います」

 

読者さんから前向きな意気込みを書いたメールが、前回のコラム配信後すぐに送られてきました。

送ってもらったメールの本文には、今考えている新規事業の概要も書かれていましたが…

それを見た瞬間に「まずい…」と嫌な直感が走りました。

 

以前、セミナーにもご参加いただいたことがある方だったので、コラム掲載へのご許可を頂く条件で、メールでアドバイスをさせていただいたのですが…

 

なぜかここ最近同じようなアドバイスが続いています。

 

着物屋さんが、自社の事業の先行きを案じて、飲食店を開業する…

事務機器屋さんが、競合に圧倒されつつあるので、健康食品事業に参入する…

 

極端にいえば、そんな感じです。

 

誰が見ても「そんな新規事業は成功しないでしょ…」と感じることでも、不思議と自社のことになると見えなくなってしまうことが往々にしてあります。

 

これが、不思議と多いのです。

 

新規事業の成功確度を上げるにはシナジー(相乗効果)を効かせなければなりません。

 

ユニクロの柳井社長も「成功はゴミ箱の中に」という書籍で、こう書いています。

 

 

「野菜ビジネス」に進出したときにも失敗した。

本来新しく始める事業とは、ユニクロの力が生きる業種、もしくはプラスの相乗効果が望める業種でないといけない。そうでなければ、新しい事業に進出する意味がない。

これ、当たり前のことです。原理原則です。

僕も一応は原理原則だと知っていました。

けれども、本当の意味では、この原理原則を「わかっていなかった」

分かると言う事は、身にしみるということです。

 

このフレーズを読んだ時には、偉大なる経営者でも間違いをおかすのか…とビックリしました。

が、これはマジックにも近い感じです。

 

本当に自分のことになると中々見えない。

手痛い失敗をすれば同じ轍を踏まない行動指針が生まれるかも知れませんが…

多少の傷だとすぐに忘れてしまうもの。

 

だからこそ、何度でも何度も「新規事業はシナジーを効かせる事」と唱え続けることが大事です。

 

 

ちなみに、このシナジーを効かせるにも、様々なアプローチがあります。

 

強みのある技術にシナジーを効かせる方法
素材にシナジーを効かせる方法
顧客にシナジーを効かせる方法

 

などです。

 

この中で最も成功確率が高いのが、「自社の強みのある技術にシナジーを効かせる」ということです。

 

 

強みにシナジーを効かせて成功しているケースでは、富士フィルムが代表例でしょう。

写真時代に培ったコラーゲンやナノ化技術などを使って、アスタリフトという化粧品事業を4年で100億円台に乗せたり、医療機器事業も大成功を収めています。

 

同社は、本業のフィルム事業でも、ドブ板営業で全国制覇をして、トップブランドを勝ち取った歴史があるので、強い営業力のDNAが宿っていることも成功要素ですが…

 

それを値引いたとしても、自社特有の強みある技術力で開発した商品であれば、営業マンも自信をもって売り込む事ができます。

 

これまで様々な業種のお手伝いをするなか、自社の強みが不明確な商品の売り込みを続けていて疲弊している組織を沢山見てきました。

 

もちろん、営業力でもカバーはできます。

しかし、営業マンのオーバートークでクレームが頻発したり、売れる営業マンと売れない営業マンの成績格差が顕著になったりと、ストレスが多い組織運営になるケースが大半です。

 

ゼロからイチにする新規事業は、とかく強いパワーが必要です。

その強いパワーは「これなら売れる!」という自信から育まれます。

 

自社特有の強みある技術であれば、私にしか言えない営業トークが繰り出せますから、営業マンは「これなら売れる!」という意識が芽生えやすくなる。

 

だからこそ、強みある技術力のシナジーを効かせた新規事業が成功確率が高くなるのです。

 

 

素材シナジーは、醤油屋がポン酢を作るような新規事業です。

 

これも素材に独自性があり、自社にしか出来ない素材を活かした新商品であれば、売り込みやすいのです。

 

 

しかし、なんら特徴のない素材や仕入商品の素材だと、「なぜ我々がこの商品を推奨するのか…」という理由づけが貧弱になるため、強い営業パワーは生まれてきません。

 

顧客シナジーも一緒です。

よくマーケティングや経営本でも「成長戦略は、同一市場に新商品を売り込む事が定石です」と書かれたりしています。

 

その論調を見る限り、彼らはきっと新規事業を立ち上げたことがないから、一見、楽に見える方法論を推奨しているのでしょう。

 

まったく「顧客が商品を買う瞬間」をイメージ出来ていません。

 

これだけ情報社会になれば、買い手と売り手の関係性よりも、顧客はより良い選択をしようという購買心理が働いています。

 

顧客リストがあるから、売り込みやすいだろう…というのは、営業経験のない馬鹿げた見解です。

 

顧客リストがなければ、新しくアプローチリストを入手すれば良い。

そのアプローチリストに対して、鋭い提案をするほうが、よほど成功確度は高いのです。

 

これは、私と一緒にプロジェクトをやった方なら、すぐに頷いてくれるでしょう。

 

つまり、シナジーを効かせるといっても、自社にしか出来ない事自社にしか出来ない提案であればあるほど、強い推進力が生まれやすくなります。

 

ゼロをイチにする強いパワーが必要な新規事業は、強い推進力が必要です。

 

御社は、新規事業を創案する際、シナジー効果を強く、強く意識していますでしょうか?

 

 

 

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