とことん「本質追求」コラム第250話 営業力より企画力で売る時代

 

 

 

「業績が思うように伸びないのは、営業マンの努力不足だと思っている経営者って多いです。でも先週のコラムを読めば、業績向上は企画力だということが分かりますよね」

 

先週のコラムを読んだ方との会食時に、まさに藤冨が言わんとしていることを一言で片付けられてしまいました。

 

そうです。

業績向上の根底にあるのは、まさに企画力だと藤冨は確信しています。

 

業績を向上させるためには現場にいる一人一人の「努力」ももちろん大切です。

「行動力」も重要ですし、「マネジメント力」も必要です。

現場のヤル気を上げるための「人事評価制度」も必要でしょうし、販売するものをカタチにする「技術力」もカギを握ります。

 

でも、それら全ての根底に横たわっているのは「企画力」です。

 

企画力がしょぼい商品をいくら一流の技術でカタチにしたところで、販売では苦戦を強いられてしまいます。

 

企画が市場の欲求とズレているのに、いくら行動量を増やす努力をしたところで、結果に繋がる確率は低いままです。

 

低レベルの結果に甘んじたままで、いくら人事評価制度をいじっても持続的な活力は組織に芽生えてきません。

 

拙い結果のなかで、いくらマネジメントを強化しても、人のヤル気は失せて、売上は上がっていくことはありません。

 

 

どのような商品を、だれに販売するのか…という企画力がすべての土台にあるわけです。

 

経営者や企業幹部の仕事は、いまあるリソース(人やモノ、金、情報)のなかで、最もスピーディーに、最も高い結果が望める「企画」を企てることです。

 

このスピードは、成果に結びつけていく上での重要な要素です。

 

兵は拙速(せっそく)を聞くも、未(いま)だ恒久(こうきゅう)を賭(み)ざるなり

 

という孫子の言葉があります。

短期決戦で成功した例は聞いても、長期戦になって成功した例は見たことがないという意味ですが、個人的な経験を振り返ってみても、まったくもって頷けます。

 

成果を出す為にディテールに拘ることは重要ですが、完璧を求め過ぎてスピードが遅くなっては本末転倒です。

 

どれだけ回転数を上げて企画を実践できるか…。

ここは重要なポイントとなります。

 

そして、最も大事なことは、高い成果が望める企画を打ち出すことです。

 

企画のポイントは、3つ。

1.売れる切り口をつくること。
2.市場に確かな欲求があること。
3.認知しやすく、感情に強く働きかけるメッセージを作り込むこと。

 

この3つが「的」を得ていれば、必ず業績は向上します。

ピントがズレていれば、また高速で企画をし直し、修正案を市場に問うてみる。

これを繰り返し・繰り返し行えば、「失敗」という2文字は辞書から消去されます。

 

 

1.の売れる切り口は、私も様々な業種のクライアント企業さんと一緒に頭を悩ませますが、一番見つけ出したいテーマは「渇望感」です。

 

私が23歳のときに修業をさせていただいたマーケティングコンサルタント会社「日本オリエンテーション」の松本勝英先生は、「満腹の王様にごちそうを提案する時代」では、ニーズのリサーチではなく、如何にニーズを開発するかが重要である…任天堂社長の岩田氏の言葉を借りて、よく話をしていました。

 

満腹の王様は、お腹一杯ですから、もうご馳走は欲しくありません。

それでも、王様の欲求を刺激する「別腹提案」はあるのか?

それとも、満腹でも満たされない「欲求」を見つけ提案するのか?

はたまた、空腹の庶民を探すのか?

 

様々な角度から渇望感のあるポイントを探し出すことが「売れる切り口」の発見になります。

 

商品開発から、これらの発想を織り込むことが重要ですが、すでに開発してしまった商品の場合にも策は残されています。

別途入口となる「ドアノック商品」の開発や、サービスとのドッキングをして、売れる切り口を“後付け”する方法です。

 

私も情報システムの営業マン時代、高額なシステム提案をいきなりするのは、困難であるため、世にも珍しいお金のカウンターシステムなどを「ドアノック商品」としてぶらさげて見込客の懐に入り込んでいました。

 

拙著「営業を設計する技術」の中でも、化粧品メーカーさんが、サロン向けの教育プログラムを販売した事例を紹介していますが、まさにこれもこの視点です。

 

2.の市場に確かな欲求があること…は、自分の思い違いを無くす為にも、市場と対話することをオススメします。

 

 

 

具体的には、1で作った「売れる切り口」を商品が出来上がる前でも、後でも良いので、実際にセールスをしてみることです。

簡単にチラシを作って、ドアをノックしてみて、ドア越しから「こんな商品ありますけど、聞いてくれませんか?」と投げ掛けてみる。

 

こうすることで、コンセプトを修正したり、コンセプトとモノのギャップを修正することが出来ます。

 

3.の認知しやすく、感情に強く働きかけるメッセージを作り込むこと…は、当コラムのバックナンバー検索(https://www.j-ioc.com/wp2024/category/column/)に「メッセージ」と打ち込むと様々な考え方やノウハウを見る事ができます。

 

ぜひ、お時間のあるときに、トライしてみてください。

 

いずれにせよ「売れる企画をつくること」

御社は、営業開始前に、「1.売れる切り口をつくること」「2.市場に確かな欲求があること」「3.認知しやすく、感情に強く働きかけるメッセージを作り込むこと」の3つのポイントを意識して事業計画を企てていますか?