とことん「本質追求」コラム第299話 自社商品を売れる人材の見極め方

 

 

 

「こんな経歴の営業を入れようと思いますが、どう思いますか?」

 

先日、長年お手伝いをさせてもらっている社長さんから、1通のメールが届きました。

 

前職で成績が優秀だったようで、顔つきもしっかりとした好青年。

 

ただ、同社は技術系の会社なのに、応募してきたのは理系とは離れた業界にいた人間。

 

営業という仕事は、その商品を愛せるか愛せないかで業績に強い影響を及ぼすので、仕事の相性はとても重要なチェックポイントになります。

 

もちろん、商品でなくても、企業や社長に惚れていれば、時間経過とともに、商品に惚れ込んでくれる確率は高いのも事実です。

 

しかし、残酷に聞こえるかも知れませんが、ニワトリが空を飛べないように、

営業という職歴を持っていても、商品を変えると全くもって売れない!というケースは意外にも多いのが現実です。

 

特に、理系型商品は、ロジカルな思考回路が必要となるので、このような思考回路を持ち合わせていない人には、理解したくても理解できないことが多いもの。

 

藤冨自身もシステム屋の営業をやってきたので、痛いほど経験してきたテーマです。

 

もちろん、血の滲むような努力をすれば、能力を開花させることも出来るでしょうが、今の時代で、そのような努力家を見つけるほうが大変。

 

仮に、すごい努力家が入社しても、既存の社員が「働きすぎを抑制する空気感」を作ってしまえば、努力家も思う存分仕事ができません。

 

反対に、努力を強いようものなら、パワハラだのブラック企業だの言われかねない世の中です。

 

個人的には、努力なくして成長などするはずもないので、このような社会的な空気感にある種の危機感を覚えてはいます。

しかし、これは大きな時代の流れですから、逆らえるものでもありません。

 

となると、最初のお見合いで「当社の商品を販売するために、必要な能力があるか否か」は、出来る限りに見極めたいものです。

 

また、そもそも論として、「今、会社にはどのような機能が必要なのか?」を原点から考える必要があるかも知れません。

 

何故なら「売上を上げる」「会社を成長させる」という目的を達成するために、必ずしも営業という機能が必須とはならないことも多々あるからです。

 

どこに「売上」や「成長」のボトルネックがあるのか…。

この見極めを間違えてしまえば、対処も100%間違えてしまいます。

 

需要が有り余る中で、営業マンを採用すれば確実に「注文書」が増える状況であったとしても、生産能力に限界があれば、当然ながら売上は増えません。

 

この時のボトルネックは、生産能力の向上ですから、まずはココを解決が第一優先になるはずです。

 

反対に、需要が見えず見込客の発掘に苦労しているのであれば、営業マンを採用しても、営業マンは空回りするばかりです。

 

この時のボトルネックは、見込客の発掘がテーマですから、まずはマーケティング機能の強化が第一優先課題となるわけです。

 

今、目標とするゴールを目指すために、どこがボトルネックになるのか、またなっているのか?

 

ボトルネックを取り外す機能は、何がベストか?

 

このそもそも論を突き詰めて、営業、いえもっと広義のビジネスフローを最初から設計することが、まず初めの一歩となります。

 

藤冨の著書「営業を設計する技術」では、「営業とマーケティングの融合」によって、売上を上げるために存在する処処のボトルネックを一気に外すことを目的として、営業を設計する流れの重要性を説いています。

 

しかし、現実のコンサルティングでは、そんなに簡単には処処のボトルネックを一気に外すことなんて出来ません。

一つ一つの課題を突き詰め、頭を悩ませながら、問題の本質を探り、最適な解決策を企業の方と一緒に考えて、やっつけています。

 

話が深まってしまいましたが、色々と考慮した上で、「営業」という機能がどうしても必要ならば、次に、自社商品を売る能力があるか否かをチェックする「手掛かり」が必要になってくるでしょう。

 

ただ、このチェック方法は、明確な論拠があるわけではありません。

あくまでも藤冨の経験値から得たものなので「手掛かり」としてしか、お伝え出来ません。

 

が、これまで職種不適合のケースを時々目の当たりにする中、ここだけ押さえておけば状況はかなり変わっていたはず。という「手掛かり」なので、ご参考にはなろうかと思います。

 

具体的な内容に入りましょう。

まず自社の商品をずらずらと説明した上でこう質問してください。

 

「お客様は、当社の商品にどのような価値を感じて購入しているのでしょうか?」と。

 

例えば、生産性向上とすぐに「ありきたりの答え」が出てしまう商品なら、次に「なぜ生産向上の向上を目指すのでしょうか?」と、答えをドリルダウンしてみてください。

 

その答えも「人件費の削減」と、意外と簡単に「ありきたりの答え」が出るようでしたら、次に「本当に人件費は削減できると思いますか?」または「どのような人件費が具体的に削減できると思いますか?」と、相手の回答を次々とドリルダウンしてみるのです。

 

「答え」をドリルダウンすることで、抽象化能力文脈を読み取る力をチェックすることが出来ます。

 

全くドリルダウンする力がなければ、特に理系商品を売るのは難しいです。

 

また、理系型商品以外でも、抽象化能力があり、文脈を読み取る力があれば、営業での万能性が高い! と判断しても大きな誤差はないでしょう。

 

御社では、自社商品を売る力を見極める「手掛かり」を用意した上で面接をしていますでしょうか?