とことん「本質追求」コラム第303話 営業活動において時代を読む必要性とは

 

 

 

『《技術の進化によって、人々の生活習慣や行動様式が変わります。そのことで、消費者の思考、価値観、欲求が変わり、結果「購買行動」も様変わりします。》このフレーズを前回のコラムで読んでハッとしました。ただ、どう自分のビジネスに置き換えていいか、イマイチまだ整理がつかないのですよね』

 

 

先週、会食をしたクライアントさんからの感想。

 

イメージが出来にくかったようなので、少し掘り下げお伝え致しました。

 

5分後には、なるほどガッテンがいったようなので、本コラムでも共有したいと思います。

 

至極当たり前のことですが、企業は「売上」がなくては生存できません。

 

その売上を作るのは「顧客の購買時点」の積み重ねです。

 

この購買時点から逆算すると次のようなフロー図が出来上がります。

 

 

1. 広告・宣伝、メディア、営業マンの市場・見込客への働きかけ

2. 問題や課題(又は満足レベルへのギャップ)への気づき

3. 問題や課題の解消や満足度を上げるための「あったらいいな!」を認識

4. 「あったらいいな」に払う対価の妥当性の検討

5. 他の商品も検討し、コストパフォーマンスを比較

6. 「費用対満足」の期待価値の確信

7. 購買意思決定

8. 受注=売上発生

 

 

売上に結びつく流れを顧客の心理状態と重ね合わせると、大方こういった流れになります。

(4と5は、同時並行的または順番が逆になるケースもあります)

 

 

この1〜7までの顧客心理に、どう働きかけるかによって、売上の大きさが変わってきますが、時代の変化と共に、この構造自体に変化が往々にして起きてくるのです。

 

例えば、1の「市場・見込客への働きかけ」は、顧客の生活スタイルや競争状態の激しさによって変化していきます。

 

  • テレビを見る時代から、スマホを見る時間が長くなれば、効果的な宣伝方法が変わります。
  • パソコンでの検索時代から、AIスピーカーでの検索の時代になれば、顧客の受ける情報量や質に大きな変化が現れます。
  • 宣伝競争が緩やかな顧客の気づきは多く得られますが、情報量が膨張してくると顧客は耳を塞ぎ始めます。

 

技術の進化、競争環境の変化、時代の変化などによって、人々の生活習慣や行動様式が変わり、そのことで消費者の思考、価値観、欲求も変容し、結果「購買行動」も様変わりしていきます。

 

 

だったら、我が社は何をすべきか?

 

ここを戦術に織り込んでいく企業が、たとえ大きな環境変化が起きようとも、強くたくましく成長している会社の共通点であることは、歴史が証明しています。

 

 

ただ、こういったことは言ってしまえば当たり前のことなのです。

しかし、自社の売り上げの増減が、どこに強く影響を受けているのか、整理、分析できている企業は極めて少数派です。

 

なぜなら、消費者からの視点でしか、この状況を正確に知るよしがないからです。

 

いえ、正しく言えば正確に知る方法すらないかもしれません。

なぜなら、消費者の購買行動の大半は無意識のレベルでなされているからです。

 

合理的な購買行動ではなく、非合理かつ無自覚な購買行動なので、何が影響しているのかを正確に知ることは、極めて困難を極めます。

 

 

であれば、諦めるしかないのか?

 

と言うと、そんなことはありません。

良い方法があります。

 

それが、冒頭でお話をしていた「技術の進化」などの環境変化から「顧客のおかれる状況の推測」をして、「どのような心理・購買行動を起こす可能性があるのか?」という仮説を立て、その仮説に沿った「営業、マーケティング活動を仕掛けてみた結果を事後分析するアプローチ」です。

 

これは拙著「営業を設計する技術」でも触れていますが、仮説を立て、テスト営業を仕掛ければ、大きな方向性を確認することができます。

 

 

冒頭の社長さんも、「なるほどわかっちゃいたけど、事業計画を考えるときに、このような背景や仮説を織り込むまでには至ってはいなかった。知っているのと、わかっているのとでは大違いですね」と、話されていました。

 

 

 

顧客を知り、なぜ自社商品が選ばれているのか。

または、なぜ選ばれないのか。

 

これを知ることは、企業の目的である「顧客の創造」と密接に繋がっています。

 

であれば、「時代を読む力」「時代や技術的進化による消費者のライフスタイルの変化」その影響を受けての「購買心理の変化」を読み込むことは、経営者や経営幹部にとっては重要な仕事であるはず。

 

 

あなたは、時代の変化を敏感に読み込む習慣を身につけていますでしょうか?