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第309話 新規事業を成功に導く3大要素とは

 

 

 

「今回の新規事業は正直失敗しそうです。何かうまくいくやり方はないでしょうか」

 

以前、プロジェクトをご一緒した企業からの久しぶりの連絡。

電話では何ですから一度お会いして話しましょうと、一献傾けながらお話を伺うことにしました。

 

伺えば、既存顧客のルートを活かした新商品を考えたようで、販売シナジーが働くので成功すると思われたようです。

以前、私のコラムでも「シナジーのない新規事業は成功確率が低い」とお伝えしておりました。

 

確かに、既存の販売ルートを活かせる新規事業ですからシナジーは働いています。

 

しかし、文書だけを平面に読み込めば、正解のように見えるものでも、具体的なビジネスモデルを伺えばシナジーが働くか否かの勘所はある程度見えるものです。

 

非常に申し上げにくかったのですが、1時間足らずで「早期撤退」をご助言させてもらいました。

 

概念的には、業務用食材を販売している会社が、自社の販売ルートを使って不動産ビジネスをしようとしているようなものだったからです。

 

自分では「シナジー」が働いていると思っても、こうやって概念的に他者事例を出すとハタと気がつくものです。

 

販売シナジーを働かせるには、「販売ルート」に対して「既存の取扱商品、ブランド・企業イメージ」にマッチした「新商品」である必要があります。

 

シナジーを考えるときには「どれだけ親和性を高められるか?」を突き詰めることは、とても大事です。

 

失敗する新規事業の共通する特徴は、この親和性がありません。

食材屋と不動産に何の脈絡もありません。

社長のお父さんが不動屋をやっていたら、わかります。

それなら販売ストーリーをつくることも出来ます。

 

でも、儲かりそうだから。何か次の柱を立てたいから。といった「自社の生存欲求を満たすだけの新規事業」だと消費者から見透かされた瞬間に、モノは売れなくなります。

営業社員だって、売りたいとは思わないでしょう。

 

 

消費者は、商品やサービスを購入しているのではなく、期待を購入しているという現実を忘れてはなりません。

 

失敗しない新規事業を創案するには、商品と一緒にこの「期待」も一緒に開発することが大事です。

 

期待を作り上げるには、3つの要素を絡み合わせることが大事です。

 

1つ目の要素は、「作り手の想い」です。

木の「根っこ」に該当する概念で、最も大事なポイントです。

 

なぜ私(当社)が、この新規事業を開発しようと思ったのか?

この《背景》に共感を得ることができれば、既存顧客のみならず新規顧客のハートも惹きつけることが出来やすくなります。

 

単なる金儲けなのか。

それとも、想いがあるのか。

 

消費者は、無意識的にそれを嗅ぎ分けているのでは? と思うほど、選択眼は厳しいものです。

天性の営業マンなら、その金儲けの匂いをマスキングしてセールスを成功させますが、普通の人には、それは無理。

大多数の営業マンが普通の人ですから、やっぱり「想い」のあるビジネスでないと企業としては成り立ちにくいのが現実です。

 

 

2つ目の要素は、「開発のストーリー」が魅力的であること。

木の「幹」に該当する概念で、この幹の力強さによって事業の推進力も変わっていきます。

 

他人が作ったものを横流しするような安易なビジネスは、失敗が前提になっていることが多いものです。

開発投資をしないので、撤退による流血が少ない。

それが前提になっていることが多いので、ちょっとうまく行かないと尻窄みになってしまう。

そんなケースが本当によく散見されます。

 

しかし、本気で作っているところは、当初苦戦を強いられても心が折れません。

その本気度が消費者にも伝わり「期待」に変わっていくのです。

 

「この商品なら間違い無いかも…」と。

 

特に高額商品の場合は、この開発ストーリーを魅力的に見せることができれば、成功確度も高まっていきます。

 

 

3つ目が「ディテール(細部)へのこだわり」です。

木の「葉っぱ」に該当する概念で、この“こだわり”が多ければ多いほど、魅力的なセールスメッセージへと変換することが出来ます。

 

もちろん、たくさんあれば良いというわけではありません。

一つでも二つでも構わないのですが、徹底的にディテールにこだわるという姿勢も消費者の「期待」を生み出していきます。

 

日本マクドナルドの創始者である故、藤田 田(ふじた でん)社長は、日本の文化に馴染みの無い、ハンバーガーを日本で定着させる一つの作戦として本を出版していました。

 

「天下取りの商法」「世界経済を動かす ユダヤの商法」「企業戦争の極意」「頭の悪い奴は損をする」など、キャッチーなタイトルで読者を惹きつけ、その中で、ハンバーガービジネスの細部を惜しげも無くオープンにしています。

 

  • コーラーのディスペンサーの温度は、摂氏4度にセットされている。
  • ハンバーガーのパンの厚さは、17ミリである。
  • パンの気泡は5ミリにしている。

 

これらは、人間が一番うまいと感じる科学的根拠の上で成り立っているとのこと。

 

また、人間が一番うまいと感じるのは、母乳を吸うスピードであると斬新な切り口で惹きつけ、マックシェイクは、わざと飲みにくくして母乳を飲むスピードに合わせているとアピールしていました。

企業秘密とのことで著書には書いていませんが、ストローの構造とマックシェイクの温度でそれをコントロールしているとのことですが、これらの細部にわたるノウハウがマクドナルドには、2万5千も詰め込まれているとアピールされれば、「もっと知りたい、確かめたい」という欲求が生まれ、自然と購買意欲が喚起されます。

 

これらは、すべて商品価値にも繋がっているのですが、すごいのは、これらのすべてが「セールストーク」にも繋がっていることです。

 

 

「作り手の想い」「開発のストーリー」「ディテール(細部)へのこだわり」の一連の絡み合いは、商品のすごさを補完・助長し、購買行動をより強く推進してくる重要な3大要素です。

 

商品のみならず、顧客に期待を持たせる3つの要素もしっかりと開発に織り込み、言語化していくこと。

 

これが新規事業の成功確度を上げる最重要ポイントとなります。

 

御社の新規事業には、3大要素が組み込まれていますでしょうか?

 

 

 

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