とことん「本質追求」コラム第323話 思うように売れない3つの理由

 

 

 

「色々と試してきましたが、ようやくコツを掴みました。ウチもようやく10億円の壁を破りそうですよ」

 

 

先週のコラムを読んだ感想メールを送ってくださった社長から「私も刺激されましたよ!」と嬉しい報告が入っていました。

 

3年前に一緒にプロジェクトを組み、時折スポットで訪問していたのですが、社長ご自身が営業現場まで降りてこられる、とても真摯な方です。

 

細かい営業トークにまで耳を傾け、ご自身の意見を述べて営業部隊と一丸となろうとする姿に、社員も必死で応えようとしています。

 

3年ですっかりと変わったそうです。

 

それまでは、成績の悪い社員を叱責する日々。

しかし、プロジェクトが進むにつれ「成績が悪いのは、自分のせい」だと強く反省されたとのことでした。

 

  • 成績の悪い社員を「外部のセミナー」に出させ、強制的にマインドを変えようとしたり。
  • 人事考課制度を見直して、売れないヤツはボーナスが少なくなる仕組みにしたり。
  • 何かの営業本を読んでは、全社員にそのやり方を強制したり。

 

そんな管理型体制をとっていたそうです。

 

ところが、業績は全く上がりません。

社長が必死で考え、売れる作戦・アイデアを全て実行に移しても、空回りするばかり。

 

「昔の営業マンは、もっと根性があったのに…」

と日々嘆いたそうです。

 

これは、多くの企業に共通するのでハッキリと申し上げます。

 

思うように売れない商品は、3つの理由しかないのです。

 

一つが、顧客メリットと販売価格のバランスが崩れている商品。

つまり、そんなお金を払ってまで欲しくない商品は、一部の剛腕な営業マンしか販売が成立しません。

これを全社的なセールス活動に横展開しようにも結果は火を見るよりも明らかです。

 

二つ目が、ターゲット市場がずれている商品。

ボディービルダーに「大盛りカツ丼」を販売するようなものです。

彼らは高カロリー+炭水化物を極力排除する食事を取ろうと意識づけているのに、「美味しいから」という理由で押し付けても見向きもしてくれません。

「そんな馬鹿なことはしていない」と思っていても意外にもあるのです。

 

三つ目が、潜在顧客とのコミュニケーションができていない商品。

これがほぼ大半を占めています。

お客様は、商品ではなく、自分にとってのメリットを購入しています。

分かっているよ! という声が聞こえてきそうですが、大半の人は、頭では分かっていても、腑には落ちていません。

様々な業種の企業で、様々な商品の売れる方策を考える中で、ほとんどの方が「メーカー言葉」になっています。

メーカー言葉で自社商品の魅力を訴えても、潜在顧客、見込み客には理解できません。

理解できないから、購入しない。

ただ、それだけのことだったりします。

 

非常にシンプルです。

しかし、この「顧客に伝わる言葉」を生み出すことは容易ではありません。

 

実際に、この「顧客に伝わる言葉」がどれだけ重要か?

 

  • DMやホームページなど言葉を一つ変えただけで、問い合わせ件数が増減する事実。

 

  • トークスクリプトを見直しただけで、受注率が向上した事実。

 

など、実戦で「言葉のテスト」を実施したことがある方なら、疑いの余地のない現実だと知っているはずです。

 

 

どのような言葉で、自社商品の魅力を伝えるのか?

 

このシンプルだけど奥深いテーマにどれだけ真摯になれるかが、とても大切なのです。

 

全てのキモは「コミュニケーション」です。

もっと言うと、「市場との対話」です。

 

市場との対話ができれば、ターゲットがずれることはないし、価格設定を間違うこともありません。

 

この3つが全て整っていた上で、売れないのであれば「営業マン」に原因があります。

 

営業マンが、上記の現実を理解せず、コミュニケーション・ギャップが生まれているのです。

 

営業マンの教育はここからがスタートです。

 

  • 自社の商品は、誰に、どのような貢献をもたらすのか。
  • 競合と比較して、どのような優位性があるのか。
  • 購入した費用を上回るお客様が得られるメリットは、何か?

 

この3つを理解し、自信を持って「適切なタイミング」で「適切な言葉」を用いれば、営業成績は高位安定しないほうがおかしいのです。

 

 

魔法の営業手法はありません。

真摯に市場と向き合うことでしか、業績は伸びないのです。

 

御社において、社長含めた全社員の人たちは真摯に市場と向き合っていますでしょうか?