とことん「本質追求」コラム第334話 売上を上げたければ「顧客接点の改善」からスタートするしかない

 

 

 

「藤冨さんのコンサルティングが言葉にこだわる理由が良くわかりました」

 

前回のコラム「たった5分で行き詰まったプロジェクトが動きだした理由」に書いてあった「相手が理解できないものは、行動に移せない」という、言っては当たり前だけど、なかなか出来ないものですよね。

 

 

現在、一つのプロジェクトが完了し、別プロジェクトをお手伝いしている会社の役員さんが、しみじみ語ってくれました。

 

 

どうしても、メーカーサイドとして言いたいことが前面に出てしまうことが多く、チラシもホームページも顧客目線から外れてしまう傾向にあります。

営業マンのロープレをチェックしても印象は同じ。

 

顧客接点となるセールス・コミュニケーションの大半が、相手に伝わっていない可能性が高いのです。

 

いくらデザイナーに高いお金を払い、かっこいいホームページやチラシを作ったところで、顧客の行動を促すセールス・メッセージが織り込まれていなければ、単なる絵画と一緒です。

 

商品やサービスの差別化が困難な時代は、デザイン性の有無はとても重要です。

しかし、それは今の時代の必要条件であって、十分条件ではありません。

 

十分条件は、非顧客が興味・関心を抱き、商談のテーブルに座っても良いと思い、実際に契約、購入に至るまでの“動機付けとなる言葉”を練り上げることにあるのです。

 

私がコンサルティングで関与し始めたばかりのプロジェクトメンバーの皆さんは、「藤冨はなんでこんなに些細なことにこだわるのか?」と恐らく辟易(へきえき)してくる方が多いのではないかと思います。

 

そう感じるのは、「顧客接点の重要性」についての温度差があるためです。

 

商品チラシ、会社案内、ホームページ、営業マン(アプローチブックや提案書、セールストークを含む全て)などの顧客接点は、全て「売上の源泉」です。

その源泉が、整備されていれば富の泉から売上がコンコンと湧き出てくるし、整備されていなければ、売上はチョロチョロとしか湧き出てきません。

 

なので、これに気づくと、プロジェクトメンバーの皆さんも、取り組む姿勢が真剣になっていきます。

 

皆さんも一度掘り下げて考えてみてください。

 

非顧客に伝わる顧客接点を整備すれば、成果につながる確率が2倍に増えたとします。

 

ホームページ閲覧者が月に1万人いて、問い合わせにつながる確率が1%から2%に改善しただけでも、100商談から200商談へと案件獲得数は倍増します。

 

ダイレクトメールやメルマガなど反応率も同じように改善すれば、投資への心構えも大きく変化していきます。

 

営業活動も一緒です。

10名の営業マンがいたとします。

100万円の商材を担いで毎日2商談している企業で、成約確度が1%改善されれば、100万円×2商談×10名×20日×12ヶ月=48億円の売上ポテンシャルに対し、20%の受注確率であれば、9億6千万円の売上規模になります。

 

これを1%改善するだけで、10億8百万円になるので、差額4千8百万円の売上増になるわけです。

 

顧客接点の改善は、このように大きな効果を生み出します。

 

実際、ホームページの反応率を1%も改善するのは、相当の苦労を要しますが、多くの場合は、十分に投資対効果に見合うケースばかりです。

 

三流のマーケッターに10万円を払うよりも、一流のマーケッターに100万円払ったほうが投資対効果は高いと言われるのは、そのためです。

 

 

「不思議、大好き」や「おいしい生活」などの代表作を持つ糸井重里さんにコピーライティングを依頼すると1行1000万円と言われていますが、それで億単位の売上は十分に変わる商品を取り扱うわけですから、十分な費用対効果が得られるわけです。

 

 

ドラッカーも、『企業は何よりもアイデアであり、アイデアを生むことができるのは個々の人間だけである』と言っています。

 

 

非顧客が顧客へと変わる接点。

これが、売上を上げる全てなのですから、アイデアに対する金銭的、時間的な投資活動を惜しむことは、結果「労多くして功少なし」の事業活動を強いられることになります。

 

多くの経営者は、事業アイデアを生み出す能力には長けています。

しかし、顧客接点に対するアイデアには、無頓着になる傾向が多いのが現実です。

 

どんなに素晴らしい内装デザインを施しても、建物の中に入ってもらえなければ、その価値を伝えることは出来ません。

 

 

富の源泉の入り口は、顧客接点にあるのです。

 

 

御社では、経営陣から現場に至るまで、顧客接点に着目した仕事に取り組んでいますでしょうか?