とことん「本質追求」コラム第353話 優秀な営業マンの特性とは。

 

 

 

「商談力のカギを握るのは、観察力と表現力だと改めて実感しました。本当にガラッと商談の流れが変わるものなのですね」

 

現在、プロジェクトに関与している企業の営業部長から、嬉しい報告がメールで飛んできました。

 

先月の課題であった「重要商談先」からの注文が無事に獲得できたとのこと。

 

この商談が決まるのと、決まらないとでは、今後の営業のやりやすさが劇的に変わりますから、社長もめちゃくちゃ喜んでいました。

目標としていた「インパクトユーザー」を早々に獲得できたからです。

 

インパクトユーザーとは、「売り手のセールストークを担保する取引先実績」を言います。

 

セールスで重要なことは、「この商品を使うことで、御社(あなた)には、こんなメリットが得られます」という顧客利益を明確に伝えることです。

 

本コラムでは、何度も、何度も切り口を変えてお伝えしていることですが、顧客は商品を購入しているのではなく、商品を使うことによるメリットを購入しています。

 

したがって、そのメリットを本当に得ることができるのか?という、商談相手の不安を如何にして拭うかに全力を注がなくてはなりません。

 

冒頭の営業部長が「観察力」と「表現力」が営業のカギを握る!と言っていたのは、まさにここにフォーカスした結果です。

 

ちなみに、同営業部長は理解していますが、商談の際には「観察力」+α 「洞察力」も駆使する必要があります。

 

観察力は、表情、相手の発言など、知覚できるものを見逃さない力です。

しかし、商談で最も重要なのは、その表情、発言に紐づいている「深層」に気づける洞察力です。

 

深層…つまり「価値観」「心理」「性格」などに触れることで、相手の心に響くコミュニケーションが出来ますから、「好意」や「購買欲求」を引き出すことが容易くなります。

 

ただ、残念なのは、洞察力を身につけるのは、一朝一夕にはいかないことです。

研修などの即席知識で身につくものではないからです。

 

それでも、訓練次第では、誰でも着実に洞察力は磨かれると藤冨は思っています。

 

営業の場面だけに限りますが、過去の商談を振り返り、「どのようなタイプのお客様が、どのような価値観を抱いているのか」という普遍的な原理を引き出しに整理していくことで、着実に洞察力は磨かれるはずです。

 

商談が成功しても、失敗しても、常に「何故だったのか?」を問い、客観的に事実を突き詰める努力をし続けること。

これが何よりも普遍的に原理を見定めるポイントになります。

 

商談の成功は、驕り高ぶりが邪魔をして、客観的な事実を歪曲する傾向にあります。

商談の失敗は、自尊心を保つために、環境や第三者のせいにして、同じく客観的な事実を歪曲することがあります。

 

全ての結果は、自己責任である。

このマインドがあってこそ、普遍的な原理が蓄積されていき、洞察力を磨くことができるので、簡単ではありませんが、真摯な人であれば十分に体得可能です。

 

同営業部長は、まさに自己責任型。

もともと、溜まっていた普遍的な原理が、商談で繰り出され、営業力を発揮できたのでしょう。

 

営業は、人間性が大事と言いますが、同営業部長を見ていると深く頷けます。

 

また、もう一つの「表現力」

これも、非常に重要です。

 

同じことを言うにしても、言い方を変えると、相手への伝わり方は180度変わることすらあります。

 

わかりやすい例を挙げてみましょう。

例えば、ちょっと太めの方にダイエット商品を提案しようと思います。

 

ダイレクトに「痩せますよ」と言えば、「なに? 私が太っているという意味?」と反感を買うリスクがあります。

 

しかし、表現を変えれば、反感なしに価値を感じ取ってくれる道筋ができていきます。

 

「お風呂で3分間のエクササイズをすれば、基礎代謝が10%もアップしますよ」

「血流が改善するので、余分な水分や老廃物が排出されます」

「アドレナリンが分泌されると代謝が上がるので、脂肪が分解されるのです」

 

など、表現を変えれば、相手に与える印象を大きく変えることが出来ます。

 

表現力は、研修や教育でも十分に習得可能です。

 

ただ、営業の世界に限って言えば、この表現力も「わかっていること」と「できること」は、全く別世界でしょう。

 

 

クロージング力などのように、頭でわかっていてもメンタル負けして「言えない」ということがあります。

また、そもそも論として、どのように表現するか…は、観察力と洞察力を駆使して、相手の認識、性格、価値観に触れる必要があります。

 

「表現力」と「観察・洞察力」は、営業・マーケティングの世界では「二人三脚」のような関係で作用しあっているのは、27年間の現場経験から感じている間違いのない事実です。

 

観察・洞察力あっての表現力です。

 

観察・洞察力を磨く前提は、自己責任論です。

 

そう考えると営業マンのリクルートで最も大事なのは、自己責任力の高い人を見分ける選別眼なのかも知れません。

 

みなさん、いかがお感じでしょうか?