とことん「本質追求」コラム第363話 成功する差別化戦略(その2)

 

 

 

「差別化に意識が行き過ぎると「顧客」を見失う」

「すべては顧客の感じる価値が正しい」と現実から直視することが重要」

 

 

先週のコラムでは、商品のあり方、見せ方について、差別化戦略における落とし穴について、書き綴りました。

 

 

差別化は「売上増大」と共に「販売コスト」をも引き下げるので、事業活動を行う上では、極めて重要です。

 

しかし、差別化はあくまでも手段。

競合他社を蹴落とすことばかりに意識が向き、手段がいつの間にか目的にすり替わってしまうことは、決して珍しいことではない…。

 

藤冨がわざわざ言うまでもなく、どの戦略書にも同じようなことは書かれていますし、世の中のコンサルタントも同じことを言うでしょう。

 

でも、現実は同じような過ちが溢れかえっています。

 

なぜでしょうか?!

 

その主因は「事業創造の手順化」が出来ていないからだと、藤冨は感じています。

 

ビジネスモデルごとに「事業創造の手順化」は微妙に異なりますので、ここでハッキリと明示することは出来ませんが、全てに共通する重要なポイントを2つほどお伝えしたいと思います。

 

 

まず1点目は、商品の企画・開発ステージにおける重要ポイントです。

 

商品の企画ステージにおける「事業創造の手順化」での最重要ポイントは、最初の第一歩目にあります。

 

ゴルフでもクラブの握り方、アドレス、玉の位置(ティーの高さ)が、最重要ポイントであるのと一緒です。

 

スタート地点を間違えると、全てが乱れていきます。

 

では、商品の差別化を企画しようと思った際に、何からスタートしていますでしょうか?

 

過去、自社商品の新企画や既存商品のバージョンアップを構想した時を思い出してみてください。

 

「こんな機能(商品)があったら、みんな驚くに違いない!」

「競合が見落としている機能を、いち早く製造に成功させ特許を取ってやろう!」

 

そんな発想が起点となってはいませんでしたか?

 

 

決して、間違いではないのですが、これでヒット商品が生まれても、たまたま当たったに過ぎず、再現性は期待できません。

 

しつこいようですが、ゴルフと一緒。

 

アドレスなどの最初の構えがしっかりと確立できていないと、再現性のある結果は生み出せないのです。

 

もう一度、伺います。

 

商品の差別化を企画しようと思った際に、何からスタートしていますでしょうか?

 

 

ここが明確に答えられないと、再現性のある結果は期待できません。

 

藤冨は幸運にも、23歳のときに就職した商品開発専門のコンサルティング会社で骨の髄にまで行き渡るほど「商品コンセプト」の重要性について実務を通じて実感させてもらってきました。

 

この「商品コンセプト」を市場と対話をしながら作り上げていくことが、商品の企画ステージにおける「事業創造の手順化」の第一歩目となります。

 

 

同社(日本オリエンテーション)が定義する「商品コンセプト」は、3つの構成要素から成り立っています。

  1. ターゲット
  2. ベネフィット(効用、便益)
  3. 場面

の3つです。

 

最初に「ターゲット」がきています。

 

企業と使命と目的を定義するとき、出発点は一つしかない。

顧客である。 顧客を満足させることが、企業の使命であり目的である。

 

ドラッカーの名言を最初の出発点に添えた間違いのない「発想手順」です。

 

これは知識として知っていても、全く意味がありません。

使いこなしていかなければなりません。

 

優秀な人材の宝庫であるシャープでさえ、知識はあっても失敗しました。

シャープの役員でドラッカーを知らない人はいません。

また顧客が重要であるという知識を持っていない人もいないでしょう。

 

それでも、大阪の堺に大型液晶パネルの生産工場を4000億円もかけて投資したものの、無残にも失敗して経営危機に陥りました。

 

知っていても意味がないのです。

発想の手順の一歩目を「商品コンセプト」からスタートすることで、知識を実践に置き換えることができます。

 

ぜひ、トライしてみてください。

 

次に、2点目の「事業創造の手順化」の重要ポイントが「商品コンセプトの伝え方」になります。

 

ここは、WEBサイトやチラシなどに「命」を吹き込むコピーライティング技術や動画、静止画の見せ方。

さらには、営業マンのトークスクリプトから提案書まで、多岐にわたりますので、とてもコラムでは書き切れませんが、最終成果物のチェック方法だけ、お伝えしておきたいと思います。

 

チェック方法は、2つの目で行います。

 

1つの目では、機能ではなく、効用(顧客メリット)で伝えられているか否か。

 

2つ目では、伝えたい内容をすべて伝えきれる「構成」になっているか否かです。

 

いくら優れた「売り文句」があっても、最後まで伝えきることができなければ、顧客の興味・関心を惹きつけることは出来ません。

 

今の情報化社会では、人は情報の洪水に溺れ、自分と関係のない情報には無関心を貫こうとしています。

 

そのような状況下で伝えなければなりません。

 

人は、情報を見聞きしたくない。

その情報が本当かどうか、すぐには信じられない。

情報が確かでも、本当にお金を出して入手する価値があるのか、今すぐに行動するには、リスクが伴う。

 

 

人は、情報を「見ない(聞かない)」

人は、情報を「信じない」

人は、「行動しない」

 

 

「見ない」「信じない」「行動しない」という厳粛なる真実を下敷きにして、「読んでもらう(聞いてもらう)工夫が施されているか?」「信じてもらう工夫は準備できているか?」「いますぐに行動してもらう仕掛けが組み込まれているか?」をチェックしてみてください。

 

優れた商品コンセプトが「企画」され、優れた「伝え方」で、市場とコミュニケーションできれば再現性の高い「事業創造」が可能になります。

 

御社では、事業創造の手順化に「キマリ」を作っていますでしょうか?