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第367話 成功する新販路開拓戦略の意思決定プロセスとは

 

 

 

『新規事業の可能性を広げるために、新しい営業先を考えています。どう思いますか?』

 

 

以前、プロジェクトをご一緒した優秀な新卒者の方からメールが届きました。

 

とても新卒とは思えないほどのセンスがある上に努力家。

思わず応援したくなります。

 

与えられた課題をこなすだけでなく、現場での状況に応じて戦術を練り直している姿勢は、とても新卒2年目とは思えません。

私だけでなく脱帽する人が多いのではないでしょうか?

 

以前、藤冨と二人三脚で立ち上げた「中高一貫校向けのテスト問題の制作事業」は、継続的に新規開拓が進んでいるものの、昨年より立ち上げた社会人向けのテストは思うように伸びない

 

ならば、そのテスト問題を「大学への入学前教育」という分野で参入できないかと思案しているとのことでした。

 

商品の販売先を広げる新販路拡大戦略は、時として大きな利益を生みますから、魅力的な選択肢です。

 

以前「企業診断(2015.7号)」で公開させて頂いたケースでも大きな利益を生みました。

飲食店向けの呼び出しベルを、工場のアンドンとしてプッシュセールスを仕掛けて成功した事例です。

このケースでは、単に新規開拓が成功しただけでなく、利益率の高いブルーオーシャン市場に躍り出られたことが勝因です。

 

  • 飲食店向けの呼び出しベルは、海外製の安価な製品が出回り、価格競争に突入していること。
  • しかし、安価な製品は電波が弱く、しかも競合企業の専門知識、サポート体制も脆弱であること。
  • すでに商社を通じて、工場向けに使われていたこと。

 

この3つの条件をもとに、既存顧客(工場)に対して「なぜ当社の呼び出しベルを購入したのか?」「どのように使っているのか?」「購入意思決定の最大のポイントは何か?」を改めてヒアリングしたところ、大きなビジネスチャンスを感じたのです。

 

  • 工場は製造品目が変わると、工場レイアウトが変更されること。
  • その都度、有線のアンドンだと移設費用がかかること。

 

これが、彼らの抱える問題でした。

 

ところが、無線の呼び出しベルが利用できれば、移設コストがかかりません。

 

大量生産の時代は終わり、多品種少量生産の時代です。

多品種少量生産体制を築くには、より低コストで迅速に工場レイアウトを変更できなければなりません。

そのボトルネックの一つに、有線アンドンがあるなら、無線にしたいはず。

 

既存顧客に導入した背景をヒアリングしたときに知り得た事実の根底に横たわる「市場の渇望感」がハッキリと見えた瞬間でした。

 

一人の顧客の問題解決事例は、市場全体の問題解決にもなり、大きな市場を形成することが往々にしてあります。

反対に、その顧客だけにしか通用しない問題解決事例であることもあります。

 

その見極めのポイントは、問題解決事例を抽象化してみたときに、「問題が生じている背景」「行動(ビジネス)モデルのボトルネック」「利益や満足の棄損原因」など、根深い問題が市場にも横たわっているか否かを洞察することで見えてきます。

 

もっと簡潔に結論から言うと、Bto Bビジネスの場合、買い手の「損益計算書」への影響度合いが、営業の難易度を決定しているわけです。

 

呼び出しベルのケースを振り返ると

 

「問題が生じている背景」では、

多品種少量生産の必要性から工場レイアウトの変更が求められている。

 

 

「行動(ビジネス)モデルのボトルネック」

有線アンドンの移設コストが問題になっている。

 

「利益や満足の棄損原因」

結果、目に見える移設コストだけでなく、移設の手配やかかる手間などの目に見えないコストも発生している。(実はこれが担当者の一番の不満)

 

 

そして、結果的に見ると有線アンドンは「損益計算書」に悪影響を与えていて、無線にすればそれが解消される。

具体的な数字は言えませんが、とある自動車工場では、新規購入費用より1回の移設費用の方が安かったのです。

 

1年に1回。移設費用が発生すれば、毎年「無線呼び出しベル」が購入できます。

 

ちなみに、無線呼び出しベルの耐久年数は少なく見積もっても5年です。

つまり、有線から無線に買い換えることで、5年累計での損益計算書に与える影響は、5分の1になったということになります。

 

 

そんなバカな…という状況が現実にあったのです。

 

このロジックがハッキリと見えた瞬間に、営業の難易度がぐっと下がり、業績拡大への道が明るく照らされました。

 

 

新販路開拓においては、私たちが提案する商品・サービスが顧客の問題解決にどう役立つのかを吟味することからスタートしなくてはなりません。

 

 

  • お客様は、その対価を払ってでも問題解決したいだろうか?
  • お客様は、その対価を払うだけの満足が得られるだろうか?

 

という問いを、商談現場をイメージしながら自問自答をしてみると、そのターゲティングが正しいか否かが見えてきます。

 

 

冒頭のご相談に戻ると、「大学への入学前教育」にどれだけ学校側は問題を感じているのだろうか?

 

問題を感じているとしたら、どのような学校だろうか?

学力レベルは? 学校の教育理念は? 学校のキャッシュポイントは?

 

例えば、学校のキャッシュポイントが「企業との研究開発」であれば、どのような生徒が欲しいのだろうか???

 

そして、最終的には、学校側の損益計算書に、私たちの提案は貢献できるだろうか。

 

思考の幅を最高レベルまで引き上げて、顧客への貢献度合いを構想することが大切です。

 

そして、構想が出来上がったらテスト営業でぶつけてみる。

そこで、さらに買い手側の問題の本質を探ることができればチャンスが見えてくるでしょう。

 

御社では、新販路開拓の開拓先を検討する際「顧客への貢献度合い」を幅広く、そして奥行き深く、思考するプロセスを大切にしていますでしょうか?

 

 

 

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