とことん「本質追求」コラム第383話 予想される大不況への取るべき経営者の態度

 

 

 

どう教育するかよりも、どう事業活動に向き合うか…。確かにそうですね。姿勢を正さねばなりませんね。

 

先日のコラムを読んだクライアント企業さんからメールが届きました。

 

元々、姿勢を正されている方が、さらに正されるのですから、より社内は引き締まること間違いありません。

 

これからは、とても厳しい時代が来る…という前提で事業を見つめ直す最良の時期だと私は感じています。

 

もちろん、何もないに越したことはありません。

 

しかし、備えあれば憂いなし。

 

「米中貿易戦争」「イラク問題」「日本債務超過額 過去最大568兆円問題」「アメリカ、中国も過去最大の債務超過」など、懸念すべき材料はあちらこちらに転がっています。

 

内部留保が心許無く従業員をたくさん抱える経営者は、大波が来た時にも耐えられるように小型の船に分散させるなど対策が必要になる時期だと言えます。

 

先週、愛知県で開催されたコンサルEXPOの会場で、藤冨のブースに訪れた社長もおっしゃっていました。

 

「論理的に組み立てて判断しているわけじゃないですけどね。昨年から設備投資を控えているんですよ」と。

 

リーマンショックの大激震を「多角化」で乗り越えられた社長さんだけに勘が鋭く、センスも抜群でした。

 

次なる対策案も、私と全く同じ感じ方をしていて意気投合。

来るかもしれないであろう激震に備え、事業の中心軸を確立させながらの「分散化」対策を実施するようです。

 

 

事業を強くするためには、「選択と集中」が基本です。

 

ただし、それは社会環境が安定していることが前提条件となります。

 

「選択と集中」をした市場が、バタッと無くなったら、売上という血流は一気に止まってしまいます。

 

私のクライアントさんにも、受託生産型の会社で、リーマンの時に大変な思いをされた会社さんがたくさんあったそうです。

ひどいケースでは、当時の売上が1/3まで縮小したと聞きました。

 

20人ほど社員を抱える社長は、震えが止まらなかったと回想しています。

 

相手の手の平で生きることの怖さを一度味わった社長は、少なからず「自社製品」を持っています。

 

自分で「商品に名前をつけて」「値段もつけて」「自ら“どうですか?”と売りに行ける」ことが、どれだけ凄い事か。

みなさん、身を以て知っています。

 

今後の課題は、その自社製品の売上・利益比率をいかに高めるか。

それこそ、本業は少し惰性に任せて、自社商品の売上・利益比率を高める「選択と集中」が求められている企業が多いはずです。

 

次に予想されている大きな波は「リーマン」を上回ると言われています。

その理由は明快です。

リーマンの震源地は「アメリカ国内の低所得者向けの住宅ローン」でした。

 

しかし、現在の状況は、もっと深刻です。

 

リーマンショックの苦境を脱するために、アメリカは大量にドルを発行しました。

当時、ヘリコプターからお金をばら撒くようにドルを刷ったことからそれを指示した当時のFRB議長のベン・バーナンキは「ヘリコプター印刷機」とまで揶揄されたほどです。

 

その目的は簡単に言うと金で金を稼ぐためです。

その結果、質よりも量だ! と甘い与信のまま低金利の金を「起業」や「企業」に貸し付けたのですが…

その貸し付けた企業が、今世界中に「ゾンビ企業」として、死に絶えそうになっているというのです。

 

その数、なんと5300社もあるとのこと。

 

▼日経新聞|ゾンビ企業、世界で5300社 規律緩み10年で2倍▼

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO4842631009082019SHA000?disablepcview

 

 

リーマンもアメリカ国内だけの問題だったのに、「ドル離れ→円買い→円高→輸出企業の株安→日本企業全体の株安」と日本にまで飛び火しました。

 

世界経済に「壁」が無くなっているので、世界のゾンビ企業たちが倒れ始めると、貸し付けた金融機関は大打撃を受けます。

 

これが引き金になることを考えると「低所得者向けのローン」と比較にはならないほどの激震が走ることは容易に想像できます。

 

 

経済政策の天才が登場し、ソフトランディングの道が創造できれば良いのですが…。

 

他人任せの生き方は、前回のコラム「第382話 生存者(生存社)の条件」の通り、破滅(絶滅)へと向かうリスクが高止まりしてしまいます。

 

生存者の条件は、自ら考え、自ら学び「活路」を開くこと以外に道はない!と考える方が、健全的です。

 

リスクの分散方法は、いくつか方向性を見いだすことが出来ます。

 

冒頭のように、受託生産型企業だったら「自社製品を作ること」。または、納入先企業の業種を分散化させていくのも手です。

 

家電業界を中心に取引しているのであれば、玩具業界にも販路を広げてみる。

または、海外販路にも目を向けて、国内依存の売上を分散化させるのも、良い視点となるでしょう。

今、世界196カ国中で最も政府の債務残高が多いのが、日本です。

https://ecodb.net/ranking/imf_ggxwdg_ngdp.html

 

国外に販路を見いだすのは、短期的な視点だけでなく中長期的に見ても有用だと感じています。

 

売上は、急には増えません。

安定的に売上・利益を稼ぐには、少なくても1年。普通であれば2ー3年の期間はどうしても必要となります。

 

いつ来るか分からない激震に備えることを考えると、時間的猶予はあまりありません。

 

私も「紺屋の白袴」にならないよう、対策を打っていきたいと思います。

 

御社は、今後自社を取り巻く環境がどのように変化するか? を推測し、しっかりとした対策を立てていますででしょうか?