とことん「本質追求」コラム第403話 固定費を抑制して販売網を整備する時の注意点とは。

 

 

 

「新規事業の営業をフルコミッションの営業マンを雇って任せたいと考えています。契約の方法を含めて相談に乗っていただけることは可能ですか?」

 

 

先日、ホームページからのお問い合わせで、こんなご相談が舞い込んできました。

 

本コラムを経てご回答させて頂くことにご理解を頂けたので、この場をお借りして回答させて頂きます。

(3月まで個別相談を受け付けていないので、ご了承下さい)

 

さて、まず新規事業のため出来うる限りリスクを軽減して立ち上げたい…と言うお気持ちは痛いほど分かります。

 

しかし、同時にリスクを取りたくない…と言う気持ちが先行し過ぎると却って逆効果になり兼ねません。

せっかく企画した「新規事業」が飛び立たぬまま、終息してしまう羽目になるからです。

 

なぜ、逆効果現象が現れるのかというと、フルコミ営業マンに任せておけば売れるかも知れない…と、この時点で「責任転嫁」が起きているためです。

 

そんな気持ちはお持ちでないかも知れませんが、もし確実に売れる!という自信があれば、何も利益率が悪くなるフルコミを選ぶ必要はないはずです。

どこかで、売れる自信がないから、経費のかからないフルコミ営業を発想されたのではないでしょうか。

 

 

パッと売って、パッと儲けて次に行くぞ!というお考えなら、フルコミ営業を雇う…という発想でも良いと思います。

その場合は、私ではなくフルコミ営業の仕組みの中で生きてきた「保険セールス」などの経験者に相談した方がベストです。

 

しかし、5年、10年、20年という年月を見据えて新規事業を育てていくお考えなら、自社に「顧客の購買心理」のナレッジは蓄積すべきです。

 

長年事業を営んできている優良企業の経営者は、押し並べて「自分の手のひらで全てが回るように事業を設計しよう」とします。

決して、生殺与奪権を第三者に握られるようなことはしません。

 

昭和の時代に私たちが食べていた「お菓子」や「カップ麺」の多くは、全くそのままのカタチと味でコンビニエンスがPB商品を作って安く売ってしまう世の中です。

セールスを他者に全権委譲するということのリスクをしっかりと理解した上で事業を設計する必要があるでしょう。

 

そうは言っても、リスクはできる限り軽減したい。

変化の激しい時代だから、固定費をできる限り抑制して身軽な経営をしたい。

というお考えは、当然のことだと思います。

 

そこで、2点ほどプロセスの見直しのご助言をさせて頂きます。

 

まず「これは売れる!」という「お金の匂いがするまで、商品・サービスをブラッシュアップ」ことが大事です。

 

  • 誰にとって
  • どんな利益(メリット)があり
  • 買い手はどんなポジションを取るのか(代替商品などとの比較態度)
  • そしてコストパフォーマンスをどう捉え、
  • 何を訴えかければ「購買欲求」を刺激できるのか…。

 

商品を売り出す前に「新規事業の立ち上げで外してはならない企画プロセス」を面倒くさがらずに踏まえていけば、売れる商品であれば、この企画段階で「お金の匂い」がしてくるはずです。

 

そして、まずは直販で、その構想通りに買い手は感じてくれるのか?をテストして、仮説と検証を行い、ブラッシュアップの必要があれば真摯に対応し「売れやすい商品」に昇華させていく…。

この段階まできて、初めて本格的に「WEBサイトの立ち上げ」「本格的なチラシやカタログづくり」を行い、本格的な戦闘態勢が構築できるのです。

 

本格的な戦闘態勢の構想が出来たら、そこから「直販」でいくのか、それでもなお「フルコミ営業」を検討するのかを、考えれば良いわけです。

 

変化の激しい時代だから、固定費増加は極力控えたい…ということであれば、営業の外部化を検討しても良いと最近は感じています。

営業を外部化する功罪を正しく押さえた上で「デメリットを克服する策」を講じれば良いだけですので。

 

営業を外部化する功罪をピックアップしてみましょう。

まずメリットは、すでに記述している通り「固定費の抑制」ができます。

  • 人件費
  • 福利厚生費

以外にも、交通費やリクルート費用、教育費用などの変動費も抑制できます。

 

他にも、

  • 販売代理人が持つ顧客基盤の活用ができるため、売上を立てる初速の勢いがあるのも魅力の一つです。

 

逆にデメリットは…

  • 報酬体系によっては、既存の営業社員の不満が出る可能性がある
  • 営業活動の管理ができない(=顧客の購買心理などの情報が入手しにくくなる)
  • ライバル企業への情報流出リスクが発生し続ける

 

などがあります。

 

  • 既存社員の不満は、販売代理人の成果は、社員の成果と連動させ、社員にも成果報酬を連動させることで回避が可能です。

この仕組みを動かすと、社員は、販売代理人に「営業に有利な武器(情報やツール)」を渡すようになるので、販売代理人はさらに売りやすくなります。

また、武器を作る源泉は「営業現場」にありますから、「逆に情報を下さいね!」と言える立場になりますから、

 

  • 営業活動管理ができない事による「顧客情報の入手困難性」を同時に克服することができます。

 

  • ライバルへの情報流出も、社員が密にコミュニケーションをとることで、ある程度のリスクは減らせます。

そもそも、社員がライバル企業に平気で転職する時代ですから、完全に防ぐことはできません。

ある程度の諦めと、情報が渡っても「できない」複合的、累積的なノウハウでカバーすることが大事でしょう。

 

 

デメリットを克服する構想が固まったら、あとは「販売代理人(フルコミ営業)」の募集に入ります。

 

ここでのポイントは、自社商品を紹介することで利害関係が一致しやすい「法人」を販売網として構築することです。

 

 

「個人(フルコミ営業マン)」よりも「法人」の方が横展開しやすいため、スピーディーな事業展開が可能となります。

 

 

御社では、自社商品の特性に合わせた営業戦略を正しく設計していますでしょうか?