とことん「本質追求」コラム第421話 攻めの営業に必要な3つのこと

 

『お客様が動いていないから、こちらから積極的に営業しなければいけない時期なのに、営業の動きが鈍くて 

 

コロナ騒動から2ヶ月が経ち、待ちの営業から、攻めの営業へと方針転換される会社が増えてきています。 

 

しかし、長年ホームページからの問い合わせ等による「待ちの営業」で慣れ親しんできた企業文化を変えるのは、並大抵のことではありません。 

 

そもそも営業と一口に言っても、受け身の営業と攻めの営業は、全く別物の仕事だと思った方が良いでしょう。 

 

必要とされるメンタル、能力の次元が違うのです。 

ここを経営者やマネージャーが踏み違えると、組織を破壊してしまいます。 

 

 

受け身の営業を「いらっしゃいませ営業」、攻めの営業を「こんにちは営業」とイメージをしやすいように、私はネーミングをしています。 

 

 

いらっしゃいませ営業は、最初から買い手の方に「興味・関心」があります。 

購買心理プロセスで、最も困難な「注意関心」の壁をすでに乗り越えてきてくれているのです。 

 

しかし「こんにちは営業」は、最初に相手の興味・関心がない状態からコンタクトする必要があります。 

テレアポや飛び込み営業でファーストコンタクトをする場合は、もっと過酷で「相手が何かしている忙しい時間」に割り込んで話を聞いてもらう必要があります。 

招かざる客を承知の上で、興味・関心を引きつけ無ければなりません。 

 

この招かざる客を「歓迎される営業マン」に変えるには、3つのポイントがあります。 

 

1番目は、「ファースト・インスピレーション」…つまり相手が受ける直感や印象への配慮です。

2番目は、何?と聞き耳を立ててもらえるような「注意」を引きつけるワードを打ち出すこと。

3番目は、矢継ぎ早に「興味・関心」を引き出すこと。

 

つまり、安心感を醸成し、購買心理プロセスの原点である「AIDMAの法則」のAIのプロセスを一気に進めることがポイントとなるのです。 

Attention(注意)Interest(関心)Desire(欲求)Memory(記憶)Action(行動) 

 

順番に解説します。 

 

1番目の、ファースト・インスピレーションで好感を持ってもらうためには、日々の生活習慣を見つめる必要があります。 

 

初対面の商談相手は、少なからずの恐怖感を抱くものです。

この恐怖感をどれだけ取り除けるか、が面談に漕ぎ着ける突破口となります。

 

・自然な笑顔で接すること。 

・清潔感のある容姿を保つこと。 

・堂々とした話し方をすること。 

 

このような基本的な態度は必須条件となりますが、それだけでは十分条件を満たすことは出来ません。 

 

十分条件は、私のために提案してくれる!というインスピレーションを与えることです。 

 

「人から好かれる能力」よりも、「人を好きになる能力」を磨くことで、このインスピレーションを与えることが自然と出来るようになります。 

 

  • 相手の良いところを探す習慣をつける。

仮に嫌な部分が見えても、人の長所・短所はコインの裏表のようなものですから、嫌な部分の裏側も見てみる習慣をつけることで、「人好き」のオーラを身にまとうことが出来るようになります。

「嫌味ばかり言う人だな…」と思っても、その裏側は「人に迎合しない素直な人かも」と弁解してあげてみるのです。

これで良いところを探す癖が身につきます。

 

  • 人を喜ばす習慣をつける。

人は何に喜び、何に感動するのか。

別にプレゼントを渡すわけではありません。言葉の投げかけだけでも良いのです。

これを日常生活で意識していると、自然と「提案力」が身につきます。

営業の仕事は、私が扱っている商品・サービスの何かしらの特徴が、相手の問題解決に繋がったり、欲求の充足に繋がったりすることを伝えることで、欲求が生まれ、購買に結びつくものです。

相手を喜ばすには、観察力が必要です。提案活動の出発点も観察力が必要なのです。

 

 

自分が好かれたいなら、まずは相手を好きになること。

この習慣が身についていると不思議と第一印象で「警戒心」を持たれないようなオーラを身にまとうだけでなく、永続的に相手から信頼を勝ち取ることが出来るようになります。

ぜひ、日々の習慣を見つめ直し、相手を好きになる能力を磨いてください。

 

 

次に警戒心をさらに解くために、“あなたに興味のある話をします!”と言うキッカケづくり…つまり「注意」をひく言葉を投げかけることが第2ステップになります。

 

 

注意を引くためには、相手が置かれた現状を察する力が必要となります。

 

そして、現状から「理想の姿」への橋渡し、または「相手が享受できる利益」を提示することで注意を引き出すことが出来ます。

このとき「時事的テーマ」や「みんなが抱いている常識が非常識かも?」と思わせるテーマだと、ベストです。

 

拙著「営業を設計する技術」にも取り上げた売上を3倍、10倍ベースで伸ばし続けた高反発マットレスは、「睡眠中の疲労を取るには、低反発マットレス」と言う常識を「寝返りを打つと疲労が取れる」と伝えることで、”あれ?低反発で身体を包みこむ方がいいじゃないの?”と「注意」を引き出すことに成功させました。

 

560億円もの累損を抱えていた近畿大学も、この「注意」を引きつけるマーケティング手法で20年弱で累損解消。今や私学でNO.1の収益力を誇る経営改革を成功させています。

 

注意を引きつける強烈なインパクトは、事業の成否を分けるといっても過言ではありません。

最初の一歩がなければ、二歩目はないのですから。

 

 

 そして、注意を引きつけたら、「次に興味・関心」できれば「欲求」まで引き出す。これが第3ステップです。

 

この段階で最も重要なのは、抽象的な表現を改め、より具体的に表現すること。

そして、先週のコラム「第420話 差別化とは「選ばれる理由づくり」https://www.j-ioc.com/wp2024/column/7216/

でも、お伝えした通り、競合と同じような売り文句にならないよう、自社独自の謳い文句を簡潔に伝えることが大事になります。

 

招かざる客が歓迎される客になるためには、相手に対する思いやりを一気通貫させることが一番です。

 

これは、飛び込み営業やテレアポに限ったことではありません。

招かざる客は、電子メールやFAX、郵送などによるダイレクトメールも然りです。

 

どこまで繊細に気を配れるか。

このキメの細かさが、反応率や成約率の差になって現れることは間違いありません。

 

御社では、攻めの営業に対するキメの細かい気配りをどこまで徹底させていますでしょうか?