とことん「本質追求」コラム第59話 会社が発するメッセージが「企業の人格」を印象づける。

モノゴトの『構造』が見抜ければ、やるべき事がクッキリと見えてきます。
そんな訳で、企業が発するメッセージの構造を見抜くべく、ちょっと解剖してみたいと思います。

人間は、目鼻顔立ち、手足胴体など他者と違いが物理的に知覚できます。 
第一印象で「何となくこんな人かな…」と感じる事ができます。 
また、ある程度年齢を重ねて様々な経験を踏めば、おおよそ自分に合うか、合わないかを瞬間的判断できるものです。

しかし、法人は容姿など物理的に知覚できるものがありません。 
本社がデカイとか、従業員数が何人だから大企業であるとか…その程度です。 
自分にとって、合うか合わないかを知覚できるものがありません。

唯一、知覚できるものが、企業が発信している「メッセージ」なのです。 
ホームページでは… 

  • 経営理念 
  • 会社概要 
  • 代表者の挨拶 
  • 会社の歴史 
  • 取扱商品や、各商品のキャッチコピー

DMや宣伝からは 

  • 商品の売り込みメッセージ 
  • 販売方法の特徴(安売り店か高級路線か…など)

様々なメッセージから「この企業はこんな商品を扱っていているな…」という印象を抱き、接触価値があるかどうかを判断しています。

「新規見込客」も「既存顧客」も、さらには”たまたま”知った「潜在客」も…すべてこのメッセージから判断していきます。

つまり企業から発信される一言・一言のメッセージが『企業の人格』や『買い手との相性』を決める重要な手掛かりとなるわけです。

ここを重視している企業と、軽視している企業では、販売力に大きな差がついていきます。 
いえ、顧客だけではありません。 
人材採用でも優秀な社員が入ってくるか、自社にマッチしない社員が入ってくるか、大きな影響を及ぼします。

なのに、多くの企業が「メッセージの発信」ついての意識が希薄です。

社長の挨拶、企業理念、事業概要、商品のPRメッセージまで、すべて一貫性を持って「情報発信」を作り込んでいる企業は極々稀です。

商品のPRメッセージにおいても「自社の鋭いウリ」「競合との差別化ポイント」「実績による信頼性」など、売上に直結する情報すら一貫性が取れていないケースも多く見受けられます。

ハッキリ言って…「もったいない」の一言です。

言葉というのは、人の心を動かします。 
営業マンがお客さんの心を動かしているのではありません。 
社長の思いやビジョン、そこから生まれた商品から発せられているメッセージが、お客さんの心を動かすのです。 
営業マンは、それを補完しているに過ぎません。

決して営業マンの力量を軽視しているわけではないです。 
営業マンの重要性は十分に認識しています。 
しかし、企業としてのメッセージがなければ、営業マンは手足もでないのです。 
売る商品のない営業マンは赤子同然です。

大事な事なので何度も言いますが、社長の思いや企業の理念、商品のあり方など…すべてから発せられるメッセージを磨きあげ、社外に一貫性をもって発信することで、無理なく売上は増大し、優秀な社員も集まってきます。

戦国時代の有能な武将の戦略、第二次世界大戦の敗因を持ち出すまでもなく、情報をコントロールしきったモノが、勝利の美酒を味わっています。

勝敗を分ける取り組み事ですから、メッセージの作り込みは「作業」では、事足りません。
全身全霊をかけた取り組みである事を忘れてはなりません。