とことん「本質追求」コラム第77話 営業部隊の成績を底上げする方法

売れない営業マンをどう底上げするのか…。

これは経営者や営業幹部にとっては永遠の悩みでもあります。

企業によってまちまちですが、売れる営業と売れない営業の成績格差は10倍以上開く場合もあるほどです。

だからといって、10倍の給与格差を付けられるか…と言うと、これはムリ。 
感情的には一生懸命会社に貢献する社員と、一件サボっているようにさえ見える社員に10倍の差を付けたくなる気持ちは、生まれてきてしまうものですが…。

だからこそ、そうならない為にも経営者や営業幹部は、「売上があがる構造」にメスを入れていかなければなりません。

売れる社員には、売れる構造があって初めて自分の成績があがっていることを認識させること。 
売れない社員は、売れる構造の中でキチンと努力さえすれば、成績があがっていくと認識させること。

ここに焦点をあわせ、たゆまぬ独力を続けなくてはなりません。

売れているのか。 
それとも売っているのか。

しっかりと「現状」を掌握して、対策を立てる必要があります。

そもそも、売れる社員と売れない社員の大きな違いはなんでしょうか?

様々な要素があるでしょう。

  • 第一印象 
  • コミュニケーション能力 
  • 諦めない資質 
  • 集中力 
  • 目標達成意識

…どれも営業が成果を出すためには、必要な資質や能力です。 
が、根本的にこれらの資質や能力を持続的かつ飛躍的にアップさせることは不可能と割り切った方がマネジメント・ストレスは、たまりません。

ムダな思考や努力は、リーダーのストレスをためるだけではなく、事業が成長する余地を目に見えないカタチで奪っているものなのです。

こんな話をすると、「あなたこそ、人が成長する可能性を奪っていませんか?」と言われる時があります。

もちろん、私は人が変わらない…なんて思っていません。 
そして、成長の機会を奪っているつもりもありません。

その逆です。 
成長の機会をしっかりと作ることに焦点を当てています。

人は外部の刺激で変わるのではなく、内部から沸き起こる感情で変わっていくものです。 
そして、成長の機会をつくる最大のコツは「こうすればデキる」という仕事の成り立ちを理解させ、実際に体感させることです。

営業は、見知らぬ商談相手とのコミュニケーションから成果を出していくので、「偶然の連続」に見えるものです。 
だから、「こうすればデキる」という構造を明らかにすることが容易ではありません。

業種、業態によって、営業プロセスや商談ロジックが異なりますから、一概には「こうすればデキる」というものを、ココでお伝えすることは出来ません。

それでも解明していくプロセスだけは、お伝え出来ます。

具体的には… 
受注に繋がった商談から、逆算していくことで、「あるべき営業プロセスや商談ロジックの組み立て方」が浮き彫りになり、「そうすればデキる」という自社独自の営業ノウハウが社内で共有化されていくのです。

例えば、失注しそうになった商談でも、急に風向きが代わり「受注」につながるケースは決して珍しくありません。

トップセールスの華麗なる商談テクニックに見え、一見社内で共有化できるノウハウはなさそうにも見えることもあるでしょう。 
しかし、商談相手の心の動きから見ると、十分に教育可能なノウハウが眠っているものです。

なぜ、商談相手の心は急に風向きが変わったのか…。

その多くは「新たな価値」に気づたからこそ、「それなら買おう!」となったのです。

新しくコートを新調するときに、単なる防寒であれば1万円のコートで十分かも知れません。

10万円のコートを買ったからといって、10倍温かくなるハズもなく、他に「新たな価値」が付加されなければ、10倍の価格には、誰も手を出さないのです。

  • 人から良く見られたい…という心が根底にあるのか。 
  • 営業上、それを着た方が有利なのか。 
  • 自分自身のモチベーションがあがり、生活や仕事上でメリットにつながるのか?

一つだけでなく、2つ、3つと商談中に「新しい価値」が気づけば気づくほど、受注角度は高まっていくものです。

自社の商品が顧客に与える価値を全社員共有しているでしょうか。 
どのような価値があるのか…という質と、そのパターン(数)。

もしも、営業マン全員で共有化できていたら、これだけでも業績格差を埋める材料となります。

受注に成功した商談事例から逆算し、営業マンと会いたい、話を聞かせてほしい、その商品が欲しい…といった心の遷移(せんい)を、一つずつ明確化していき、すべての要素を洗い出すことが、成績格差を縮めていく材料づくりに繋がっていくのです。

御社では、営業部隊の成績を底上げするための「営業プロセスと商談ロジック」の共有化は図られていますか?