「生産性向上に取り組んでいるつもりでしたが、コラムを読んでまだまだ…だと反省しました。抜本的対策に挑みたいと思います』
生産性向上とは、モノを早く沢山作る事…と、定義されていた読者の方から、感想を兼ねたお礼メールが届きました。
モノを早く作る事も、立派な生産性向上対策です。
短期間で大量のモノを出荷できれば、売上利益は増加しますから、対策自体は正解です。
しかし、それは『作れば作るだけ出荷量が増える状態にあること』が前提。
作るだけ作って在庫量が増えるだけなら、逆に生産性を低下させてしまいます。
結局は、売れてなんぼ。
生産性向上の本質は、売れる高付加価値商品をいかに安く早く作るか…にかかっているということになります。
説教じみたことは、もういい。
具体的にどうすりゃ良いんだ!って、声が聞こえてきそうなので、今回のコラムでは、粗利がザクザク稼げる高加価値商品の作り方について、書き綴ってみたいと思います。
まず最初に、正しい思考と行動をするために、単語をちゃんと定義したいと思います。
利益を稼げる商品=高付加価値商品
と言う図式は、違和感なく頭に入ってきます。
しかし、付加価値という言葉は、何かフワッとしています。
辞書を開くと、付加価値とは『生産によって新たに加えられた価値』と定義されていました。
めちゃくちゃ売り手目線(笑)。
そんな定義で、利益を稼げる商品を企画することができるのでしょうか?
残念ながら、全くもってイメージがつきません。
では、利益が稼げる商品を作るために…つまり高付加価値商品を企画する上で、付加価値と言う単語をどのように定義すれば良いか?
藤冨は、付加価値とは『他社商品では満足しきれない要素を解消した価値』と定義し直しています。
どうでしょう。
これなら、売れる高付加価値商品をどう企画すれば良いか、イメージがつきませんか?
しかも、商品の企画段階から「差別的優位性(=高付加価値)」と「潜在的顧客ニーズ(=売りやすさ)」を組み込んでいます。
企画・開発ステージから、営業ステージを意識し、売り込む材料を内包させているので、販売の成功確率までイメージできるようになります。
付加価値とは何か?
この単語の実務的な理解が、生産性を高めるカギとなります。
本当の高付加価値商品とは、マーケティングや営業の労力を奪います。
そうですよね?
マーケティング投資を抑制し、営業のリソースが最小限に済めば、営業利益率が高まるのは、必然的な流れですから。
しかし、残念ながら商品は企画・開発ステージから、売り込む材料を内包させる重要性や技術を知っている人は多くありません。
藤冨がコンサルティング先の商品や技術、サービスなどの営業戦術を作り込む際に、もっとも重視するのが「お金の匂い」です。
お金の匂いと言うと、いやらしく感じますが、そのコインの裏側は、顧客の欲求です。
顧客が喜び、驚き、歓迎する顔が見えない=お金の匂いがしてこないと言うこと。
商品やサービスが出来あがり、さぁこれから売っていこう!
と言う段階で、顧客が喜び、驚き、歓迎してくれるような「セールストーク」ができなきゃ、誰も買ってはくれません。
ホームページを作っても、3秒で閉じられ…
チラシを作っても、クシャクシャに丸められてゴミ箱に放り込まれ…
営業マンを投入しても、空振りの連続…
全ての努力が水の泡になります。
藤冨の仕事は「販売段階のコンサルティング」を請け負いますが、9割以上の案件は「商品のあり方」から改革していきます。
つまり、製造段階に遡って、やり直しをすることがほとんど。
製品そのもの…と言うよりは、機能であったり、素材であったり、またはネーミングやパッケージ、価格などの商品の付帯的な要素をやり直すことで、商品そのものからセールストークが生まれてきます。
営業は、製品の企画段階からスタートしているのです。
商品企画・開発の段階で、売り込む材料が内包されると、誰でも「お金の匂い」を実感できます。
商品を見せ、3秒のセールストークで顧客のハートをワシ摑みにできるようになれば、営業戦略の8割は完成したも同然。
これほど、生産性の高い仕事の進め方はありません。
営業利益をザクザク稼ぐ…と言うと、天才的なクリエイティングや剛腕なセールス手法に目が行きがちです。
でも、差別的優位性のない、どこからでも手に入る価値。
大したニーズのない価値を、まやかしのセールストークで売り込むのは、詐欺同然。
そんなビジネスが、長く愛され、持続的に営業利益を稼ぎ出すことなど不可能です。
売れない商品を営業マンに担がせ「努力は必ず報われる。 もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない。 」という王貞治さんの格言を真に受けて、迷宮入りするケースもあります。
努力すれば報われる?
それは、王さんに才能があったから生まれた言葉です。
商品にも才能があります。
その才能とは「顧客が渇望する他社には実現できない価値」に他なりません。
御社は、高付加価値商品をつくり出すために全身全霊で挑んでいますでしょうか?