とことん「本質追求」コラム第583話 営業効率を高める「売れる言葉の開発」3つのアプローチ

 

「売れる言葉をつくることが、営業効率を高める…今日の講義とワークを通じて
改めて実感しました」

先週、東京都中小企業振興公社が主催する「契約を勝ち取るプレゼン・ノウハウ
習得講座」の受講者が、セミナー終了後に嬉しい感想を伝えにきてくれました。

かれこれ7年ほど続いている定番セミナーですが、今回の受講者は驚くほど特殊な
業界の方ばかりが集まりました。

・アルミ材の長尺加工を強みとする金属加工会社
・塩化ビニール材を使ったオリジナル製品開発会社
・電子部品や太陽電池に精密な配線を印刷する技術を持つ会社
・端子台や表示等、警告灯などの部品を製造する会社
・樹脂系を出力とする塗料メーカー

などなど、普段の生活では関与することのない業種ばかり…

実際、冒頭で自社商品の紹介をしてもらったのですが、業界に携わっていない人には、理解し
にくい商品ばかりでした

業界の担当者同士であれば、専門用語を駆使し、説明が端的であっても伝わるかも知れません。
しかし、決裁権のある経営陣には伝わらない可能性もあるのです。

伝わらなければ、当然ながら売れません。
いくら優秀な技術や優れた商品を持っていても、それでは宝の持ち腐れです。

参加された方には、具体的な「売れる言葉」をその場でクリエイティブして、持ち帰っても
らいましたが…

読者の皆さまには、それは出来ません。

なので、今日は、そのクリエイティブにつなげる方法…「売れる言葉の開発アプローチ」を
ご紹介したいと思います。

「売れる言葉の開発」には、主に3つのアプローチがあります。

一つ目は、お客様が受け取るベネフィットがイメージできるよう「場面」を伝える
二つ目は、アナロジーを使って、商品の特性やベネフィットをイメージさせる
三つ目は、差別的優位性を浮き彫りにする切り口を見つけ出す

この3つです。

まず、一つ目の、お客様が受け取るベネフィットがイメージできるよう「場面」を
伝える方法を解説しましょう。

例えば「吸引力の高いコードレス掃除機」を販売する場合。

吸引力が高いことによる顧客のベネフィットは、細かい埃やペットの毛など目に見
えにくい汚れまでしっかりと取り除くこと。一回でゴミを吸引することによる掃除
時間の短縮などが挙げられます。

このベネフィットに「カーペットでも…」とか「車のシートでも…」と場面を付け
加えると、一気に利用イメージが湧いてきます。

イメージが湧かないと、人は行動を起こしません。
したがって、ベネフィットを享受することができる具体的なイメージを相手の頭の
中に想起させる必要があるのです。

二つ目のアナロジーを使って、商品の特性やベネフィットをイメージさせることも
同じです。

掃除機を例にもう一度考えてみましょう。

例えば、強力な吸引力をより魅力的に表現する際「竜巻の原理を応用した…」と伝
えることで「強力な吸引」というイメージをより鮮明に捉えることができます。

アナロジーは、理解の促進してくれるのです。

なぜなら「強力な吸引」…とだけ情報を提示されると、人は、「何と比較して?」
「どのくらいの吸引力?」と考え始めます。
ここで答えを導き出せないと、聞き手は思考停止に陥ります。
つまり、購買行動に移せないわけです。

人間は、新しい情報を理解する際「これは何者か?」をゼロから思考し始めると、
脳活動に多大な負担がかかります。

しかし、アナロジーで思考の手助けをすると、脳活動の負担を軽減できます。
抽象的な概念を具体化してくれるからです。
先に解説した通り、具体的にイメージができると、購買行動に結びつきやすくなるのです。

しかも、アナロジーを用いることは、関連性やストーリーを持つため長期記憶に残
ります。
なので、その場で購入に至らなくても、そのうち客としての見込客になってくれる
メリットがあるのです。

最後三つ目の差別的優位性を浮き彫りにする切り口を見つけ出すこと…も行動を促
進させる上でとても大切です。

多くの営業マンのプレゼンを聞いていて思うのは、なぜ貴方の話を聞かなければな
らないのか?という問いに全く答えていないケースが多いことに驚かされます。

客だって、忙しいのです。
必要のない情報はササッと耳を塞ぎたいのです。

強力な吸引力?
それなら「ダイソンの方がブランド力もあるし…」と相手の頭に想起された時点で
アウト。

もうその時点で営業マンの話を聞かずに、今晩何食べようかな…と考え始めてしま
うのが、人間心理なのです。

したがって、吸引力を謳い文句として使いたいならダイソンに負けない吸引力があ
ることをイメージさせる必要があります。

「なるほど。それなら話を聞いても良いかな」と、感じてもらえるような差別的優
位性がなければ、その説明は不要だと自覚する必要があるのです。

以上の3ポイントをプレゼンの中に織り込むだけでグッと説得力が向上します。

売れる言葉の開発や効果的なプレゼンロジックの組み立ては、優秀な営業マンを雇
うのと同等の効果をもたらしてくれます。

優秀な営業マンを雇ったら年間1000万円以上の費用がかかります。
雇っている限り、その費用は継続的に流出していきます。

しかし、言葉の開発・プレゼンロジックの組み立てに一度成功したら、固定費はか
かりません。

それどころか、固定費負担を押し下げ、変動費の投下資本効率を引き上げる効果さ
えあります。

・ホームページに売れる言葉を挿入したら、問合せ件数が増加します。
・提案書に挿入したら、受注率が向上します。
・広告やダイレクトメールの反響率は高まります。
・営業マンの成約率も向上します。

売れる言葉、プレゼンロジックの組み立ては、財務体質の向上に大きな貢献をして
くれるのです。

御社は、売れる言葉の開発、効果的なプレゼンロジックの組み立てを徹底的に練り
上げる努力をした経験はありますか?