『当社はマーケティング力が弱いので、全社員で藤冨さんのコラムを毎週読んで勉強しています』
クライアント企業さんから嬉しいお言葉。コラム執筆は、なかなか大変な作業なので、こういった感想はとても励みになります。
この嬉しい感想のお返しとして、今日は、マーケティング力の習得法についてお伝えしたいと思います。
藤冨が、マーケティングを修行させてもらった日本オリエンテーションでは、とてもシンプルな概念図を「アウトプットする道具」として提示しています。
下図の「商品コンセプト」の概念図です。
http://www.jorien.com/pdf/080820con-conka.pdf
・誰のための商品か?
・どんなメリットをもたらす商品なのか?
・どんな場面で利用するのか?
・それは競合よりも優れているのか?
概念を学ぶ上では、すっと頭に入る内容です。
道具として使うのも、一見するとさほど難しくなさそうです。
シンプルな概念なので、小学校の家庭科で、はじめて包丁をもつ子供が、じゃがいもを切ることができる程度のアウトプットは出せるかも知れません。
しかし、人々を感動させ、お金をもらえるくらいの「価値」を生み出そうと思ったら、ハードルは一気にあがります。
ただ、包丁で切っただけの料理である「刺身」でも、スーパーのものと、高級寿司店のものでは、同じ道具をつかったアウトプットでも雲泥の差が生まれます。
商品コンセプトを生み出す「概念図(道具)」も、同じようにアウトプットに雲泥の差が生まれます。
なんとなく「カタチ」となって見えるものと、実戦で成果をあげるためアウトプットでは、次元の違うレベルで道具を使いこなさないとなりません。
では、具体的にどのように道具を使いこなしていくのか。
藤冨が、日本オリエンテーションでの学びを経て「商品コンセプトを洗練させるために習慣づけてきたこと」をざっくりとお伝えしたいと思います。
① 世の中に転がっている商品を眺め、誰にとって、どんな役に立つ商品なのか…推察する。そしてできる範囲で検証する。
例えば、いま話題となっているサントリーが発売した「タコハイ」を見てみましょう。
このタコハイは、誰にとって、どんな役にたつ商品でしょうか。
一般的には、
・40〜50代の中年男性
などの答えが返ってきそうです。
でも、これだとターゲットがまだ絞り切れていません。
全ての中年男性が、タコハイを支持することはないからです。
では、タコハイは誰が支持してくれるのでしょうか?
タコハイは、街中の酒場での定番の売れ筋メニューです。
と、言うことは、これまで外飲みしていたビジネスが主要ターゲットになるのでは…と類推してみるのです。
私たちは、コロナ渦以降、家飲みの楽しさを見つけてしまいました。
YouTubeを見たり、ゲームをしたり、家族団欒をしながら、気兼ねなく酒を飲む習慣は、余計な金も使わずに済むので、改めて考えると気が楽です。
コロナ前と現在では、平均年収が100万円も減少していますから、物理的に外飲みできる余裕を持った人が少なくなっているのもデータ上からは推測できます。
そうした中、外飲みのクオリティーに近い“宅飲み生活”をより安価に実現したい!…という欲求は、外飲み習慣のあったビジネスマンであることは、イメージできます。
誰にとって、どんな役に立つ商品なのか…
具体的な顔つきが見えるまで、クリアーに主要顧客層を絞ってイメージしてみる習慣が「価値の想像力」を高めてくれるのです。
② どんな場面で使用され、具体的にどんなメリットを感じているのか?を考察する習慣をつける
上述のタコハイは、優秀なマーケッターがプランを練り上げたのでしょう。
タコハイは、酒場の定番メニューなので、あらゆるジャンルの食事に合わせやすい…という特性が商品コンセプトに組み込まれていました。
タコハイは、レモンサワーのような口内リフレッシュ効果と、料理の味を引き立てるマリアージュ効果を狙った「ハード(香味設計)」を実現しています。
「ジャンルを問わず、どんな家庭料理でも美味しく飲める!」
「場面」と「メリット」が密接にリンクしていることがイメージできるので、的確に「価値を伝える」ことができています。
このように、ヒット商品を眺めて、この商品は、リアル使用場面はなんだろうか?と考え抜く習慣を続けてみてください。
「価値の伝え方」のセンスが身につき、広告宣伝や営業に必要なマーケティング能力が自然と向上するはずです。
テレビ通販の巨匠であるジャパネットたかたの高田明氏のセールストークをYouTubeで見ると、納得してもらえるはずです。
氏は商品を売り込む際に、必ず「商品の利用場面」をイメージさせています。
ぜひ、そのポイントを注視してみてください。
マーケティングのアウトプットは、「価値をつくる」そして「価値を伝える」ことです。
これは、学びだけで習得できるほど甘くはありません。
習慣という鍛錬を通じて、能力を向上させるものです。
あなたも、マーケティング能力を向上させる鍛錬を習慣づけてみませんか?
[著:藤冨雅則]